見出し画像

用語集 親同士の関係を強化し、子のアウトカムを向上させるのに有効な事

この記事は、イギリス労働年金省の委託を受け、EIF(早期介入財団)が実施したレビュー「WHAT WORKS TO ENHANCE INTER-PARENTAL RELATIONSHIPS AND IMPROVE OUTCOMES FOR CHILDREN」の用語集を転載したものです。

重要な用語

  • アタッチメント理論:ジョン ボウルビイが提唱した幼児発達理論です。ボウルビィは当初、「特定の個人と強い感情的な絆を築く傾向は人間性の基本的な要素」であり、赤ちゃんの生存にとって有利であると観察しました。ボウルビィは、この絆を子どものアタッチメントと呼び、繊細で予測可能な養育行動が安定したアタッチメント関係を促進すると観察しました。安定したアタッチメント関係は、子どもが自分の感情を最適に調整する方法を学び、自分自身や他人に対する前向きな期待を育むことができる状況を生み出します。生後9か月から12か月の間に測定された安定したアタッチメントは、子どもが成長するにつれ、一貫して子どもの望ましいアウトカムと関連しています。

  • 帰属(心理理論における):個人が出来事は勿論のこと、他人の行動、感情、態度、および出来事の因果関係を説明したり帰属させたりするプロセスです。[訳者註 誰かもしくは何かのせいにすること]

  • 認知行動療法:自分の思考、気分、感情を管理するための精神的戦略を人々に提供する一連の治療法の総称です。

  • 素行障害:不遵守、攻撃性、家族や社会のルールの違反など、さまざまな行動上の困難を指します。[訳者註 行為障害とも言います]

  • 葛藤の再評価:再評価(リアプレイザルとも言います)は、人々のネガティブな出来事や感情を引き起こす状況(葛藤など)の意味についての考え方や解釈を、反応を修正するために変えようとする試みです。介入としての葛藤の再評価には、夫婦が特定の関係上の意見の相違を中立的な第三者の視点から検討することによって熟考する必要があります。

  • 対照群:(比較群とも呼ばれる)は、調査中の介入を受けていない研究参加者の集団です。代わりに、プラセボを投与するか、または治療を行わないこともあります。

  • 横断的(デザイン):同じ時点での差別化した研究群の観察または測定を含む研究方法。対象を年齢ごとに区別して観察することで、発達傾向や遅れたアウトカムを研究するためによく使用されます。導き出される結論は、それ以外の群は同様に一致しているという仮定を考慮する必要があります。

  • 効果量(ES):治療群と対照群間のアウトカムの差の大きさを示す指標。

  • エビデンスに基づく:有効性のエビデンスに裏付けられた介入またはプログラム。エビデンスに基づくとは、ランダム化比較試験のエビデンスに裏付けられた介入に最も一般的に適用されます。

  • エビデンスの格付:プログラム、実践、またはシステムに割り当てられた、それが肯定的な評価結果が観察された厳密さの観点からどの程度効果的であると見做せるかを示す値。

  • 実験研究:治療の効果を研究するために対照群と治療群に無作為に割り当てることを含む、慎重に統制した研究。

  • 外在化問題/外面化する困難:外見上の行動を通じて現れる精神的健康問題。多くの場合、望ましくない、または攻撃的な行為が伴います。外在化問題の例として、攻撃性、行動問題や素行障害、暴力、反社会的行動問題などが挙げられます。

  • 家族の機能:(機能不全とは対照的に)家族単位の機能を改善する、家族メンバー間の効果的な行動の集合を指します。機能的な行動の例には、家族間の明確な役割と境界線、効果的な家族コミュニケーション、お互いの尊重、共感、家族問題の解決スキル、共同子育ての実践、葛藤を解決のための非攻撃的な言葉遣いや態度が含まれます。

  • 治療企図(デザイン):実施した治療ではなく、最初の治療意図に基づいて分析を行う研究方法。これは、治療を完了したかどうかに関係なく、治療対象者の治療前後のアウトカムを評価することを意味します。

  • 内在化問題/内面化する困難:自己に向けられた否定的な行動や感情を通じてストレスに対処する方法。内在化行動の例としては、不安障害、うつ病、薬物乱用を含む自傷行為が挙げられます。

  • 介入:若者と家族のアウトカムを向上させることを目的とした教育プログラムまたは実践。

  • 論理モデル:インプット(例えば、スタッフ、建物、学習教材、ガイダンスなどのリソース)、アウトプット(家庭訪問、イベント、講座)とも呼ばれる活動、および意図された短期間や長期間のアウトカム(即ち、短期的には親の関与、長期的には子どもの発達への影響)に関する介入の説明。論理モデルには、測定の枠組みと、構造的特徴(インプット、アウトプット出力など)が意図した目的を達成するための指定されたメカニズムの両方が含まれていなければなりません。

  • 縦断的研究:同じ郡の人々を長期間にわたって繰り返し観察または測定する研究デザイン。発達傾向や遅れたアウトカムを追跡するためによく使用されます。

  • ニーズ:個人またはコミュニティのニーズを指します。個人のニーズという文脈の中で、低ニーズとは、普遍的に実装されているサービスでは満たすことができない高レベルのサポートを必要としない大多数の人々が経験するニーズを指します。例えば、全ての子どもは文字の読み方を学ぶ必要があり、大部分はサイトワード認識を通じて学習します。中程度のニーズがある場合は、通常、より高いレベルのサポートが必要です。文字を読む例では、中等度のニーズは、単語攻略スキルや音韻認識の修得を含む、標準カリキュラムに追加のサポートを必要とする子どもに当て嵌まるかもしれません。高いニーズとは、平均的な人口よりもはるかに高いニーズを指し、多くの場合、専門の訓練を受けた専門家によって提供される、より的を絞ったサービスが必要です。

  • 客観的尺度:測定のバイアスや個人的な意見を減らすことを目的とした尺度を指します。非常に客観的な尺度の例としては、ストップウォッチ、巻尺、スケールなどが挙げられます。プログラム評価において、客観的尺度は、標準化された方法(即ち、毎回同じ方法)で実施され、経験的に現実生活の行動に関連付けられたアンケートや評価方法を指すことがよくあります。

  • アウトカム:介入の主たる短期および長期目標。

  • アウトプット:プロジェクトまたは介入の成果。アウトプットという用語は、活動または活動に参加する人々を指す場合があります。

  • プログラム前後の比較:客観的な尺度を使用して、介入の開始前と介入終了後の参加者の行動を再度比較する研究。この用語は通常、比較群を含まない形成的評価を指します。

  • プログラム評価:有効性は不明であるにも拘らず、大規模に実施されている介入の継続的な評価。

  • 心理教育:一連の治療法の総称です。 殆どは専門家によって提供され、心理療法と教育的介入が統合されています。

  • 質的方法:観察、インタビュー、フォーカス・グループなど、数値以外の情報を生み出す調査方法。

  • 量的方法:統計分析に使用できる数値データを生成する研究方法。

  • 準実験研究:参加者を治療群と対照群に割り当てるために無作為化を使用しない実験的デザイン。

  • ランダム化比較試験(RCT):治療の有効性を判定するために、参加者を1つ以上の治療群と対照群に無作為に割り当てる研究デザイン。割当てを無作為にすると、既知または未知の交絡因子が介入群全体に均等に分散されます。

  • スキルトレーニング:多くの場合、教育、観察、議論、実践を通じて人々に特定のスキルを提供することに重点を置いた一連の治療法の総称です。

  • 統計的有意性:治療群と対照群の間で観察された差が、偶然に起こる可能性よりも大きい結果であること。通常、有意性は0.05、即ち、20回に1回発生する水準で認められます。

  • 体系的(文献)レビュー:一貫性および透明性のある方法を使用して、特定のトピックを中心に公開されているすべての情報を体系的に検索、評価、要約します。

  • 目標母集団:介入の対象となる特性と状況を備えた個人の集団。

  • 変化理論:介入の理論的基礎をそのインプット、アウトプット、短期間や長期間のアウトカムに結び付ける理論。

  • 治療群:調査中の介入を受ける一連の研究参加者。

  • 普遍的予防:特定の対象群内の全ての人々が利用できる戦略、サービス、または介入

[訳者註]サイトワード sight word
サイトワードとは英語を習得する際によく使われる頻出単語のこと。サイトワードは規則性のない発音の単語を集めたもので、目で見て覚える以外に学習する方法はないとされています。「sight(視覚)で音を丸暗記するしかないword(英単語)」と考えられていることからサイトワードと呼ばれている。

[訳者註]フォーカス・グループ Focus group
マーケティングリサーチで、製品に対する感想や意見といった情報を収集するために集められた一定条件を満たす顧客のグループを表す。当該グループに対して実施する「フォーカス・グループ・インタビュー(FGI)」は定性調査の一種にあたる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?