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ホテル業界とITシステム#3

こんにちは。アイシーティーリンク株式会社の三好です。
ブログのルーティンから少し遅れてしまいましたがホテルのおはなし第3弾です。
前回までのあらすじ・・・
私がバーラウンジに配属され、POSレジとよばれる電算機で会計をして部屋付けの場合はフロントに走る話をいたしました。

今回はいよいよ宿泊部門に異動になった話をしたいと思います。
FB部門(バーラウンジ)に配属されてから4年が経過したころ、とうとう人事異動の辞令が下りました。しかもFB部門から宿泊部門という畑違いな異動です。恐らく新入社員の面接のときにフロントやりたいです!と言ったことが要因となり、宿泊部門で欠員が出たため私が対象になったようでした。

ここから23年にわたり宿泊道を突き進むことになります。

宿泊部門と言っても色々ありまして、フロント・ドアベル・ハウスキーパー・ルームリザベーション(宿泊予約)などです。私はルームリザベーション(宿泊予約)に配属されました。

ホテルではチェックインやチェックアウトをするのにホテルシステムと呼ばれるPMSを使用していました。PMSとはProperty Management Systemのことで直訳すると資産管理システム。資産とはホテルでいうところの客室のことを表しています。私が使用していた1995年ころのホテルシステムはN○CさんやT△SHIBAさん、FUJ◎TSUさんなどのメーカーのものがあり、それぞれいろんな特徴がありました。残室カレンダーが1画面で1週間表示のものだったり、2週間分表示されるものだったりメーカーによってさまざまでした。

このPMSは前回も記載したとおり宿泊部門以外とは連携していないものが多かったです。宿泊部門は宿泊予約がPMSを使って部屋タイプ毎に管理されたカレンダーから部屋の空き状況を確認して、紙の料金表と照らし合わせてお客様にご案内し、話がまとまったら予約カードと呼ばれる複写のカードに記入し、それをPMSに入力するという流れでした。今のパソコンとは違い本体はコンピュータ室に置いてあり、フロントや宿泊予約にはエミュレータとモニタ、キーボードが配線されているというもので、本体一つ、モニタとキーボードはたくさんあるというものです。画面も単色で黒い画面に黄色や緑色のもので決して快適なものではありませんでした。

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キーボードもカナ入力が主流でとても入力しにくく、残室確認するには「リクエスト」キーを押して、ファンクションキー(F1~F9)を押すというもの。残室確認はF3、予約入力はF2とか決まっていて、残室で空き状況を確認したら予約入力画面へ移るにはいちいち「画面終了」ボタンを押して「リクエスト」+「F?」を押すという面倒な作業が必要で今では考えられないくらいのシロモノです。

宿泊予約が入力した予約がチェックイン当日を迎えると今度はフロントの出番です。フロントはチェックインは「F1」?だったか忘れてしまいまいたが、これもファンクションキーに割り当てがあり、フロントはフロントが使用するファンクションを使ってチェックインやチェックアウトをするのです。

ここでひとつ、ホテル業界の隠語をご紹介します。

宿泊でチェックインの際、お客さまの名前を伺って、予約の確認をするのですが予約が入っていないケースがあります。この時、ホテルでは予約がないお客様のことを「お化け」と呼んでいます。
※正式には「GoShow」といいますが、どこのホテルでも「お化け」で通用します。ちなみに予約されていたゲストがキャンセル連絡なしに来なかった場合「NoShow」と言います。


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予約が入っていないケースには様々な理由が考えられます。
① 予約が違う日付で入力されている
② 名前を間違えて入力している
③ GWや年末年始など予約が取れなかった繁忙日に予約したフリしてる
④ 違うホテルを間違えて予約している
などなど・・・

①や②は、宿泊予約が電話で予約を受ける際聞き間違いだったり、予約カードに記載した字が汚くて読めないパターンでよく起こります。
当時はネット予約がありませんでしたのでほとんどが電話予約です。
そうなると1月(いちがつ)と7月(しちがつ)を聞き違えていたりします。また予約を受ける際、忙しいときは残室だけPMSで確認して予約カードに記載し、予約入力する前に次の電話をとってしまうため未入力の予約カードがどんどんたまっていきます。

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こうなってくると残室数がズレてしまうので、気づいたときはオーバーブックしてしまう事があります。それを防ぐため、電話を受けて予約カードを書いている人の横で溜まった予約カードをひたすら入力する別のスタッフが必要になります。

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この時、予約カードを書く人の字が汚いと間違って入力することがよくありました。当時のPMSはカタカナしか入力できなかったため、「シ」と「ミ」を間違えたり、ひどい文字になると「エ」と「コ」を間違えたりします。

フロントスタッフも慣れてくると、予約が見当たらない場合これらの文字の変換ミスを予想して探し出せたりなってきます(笑)

③なんて、確信犯ですがホテルは満室でもたいていいくつか予備の部屋があるものですので、ホテル慣れしているゲストはわざとやってくるのです。しかもホテリエは断れないことを知っているので威圧的な態度で迫られるとフロントにいる若い社員は根負けして部屋を出してしまうのです。こういう経験をしたお客様は次回もまた同じことをやるので困ったものです。

④のパターンも意外とあるんです。似た名前のホテルだったり電話番号が逆で間違えやすい番号だったり、(例)03-3333-6789 と 03-3333-7689 とかで、たまたま両方ともホテルだったりすることが意外とあります。こうなってくるとフロントで聞くことは、予約を受けたスタッフの名前を確認したり、間違えているであろう他ホテルに電話して確認するとそっちに予約が入っているというケースがよくありました。

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こんな時、フロントではお客様に予約がないことを悟られないように、そっとバックヤードに入り「お化けが来たぞ!」と言って宿泊予約に調べるように文句を言ってきます。フロントはたいてい①や②のパターンだとかんぐってきて宿泊予約!しっかり予約とれよ!と言わんばかりにグダグダ言ってくるのです。そんな大きな声で「お化けが来た!」なんて言ってるとお客さんに聞こえちゃうぞ!と思いつつ予約カードを探していました。
ホテルシステムとは紙の台帳で管理していた頃に比べれば飛躍的に効率よくなったのでしょうけど、今から比べれば恐ろしいくらいアナログチックなシステムだったなと改めて思います。

今回もだいぶ長くなってしまいましたので、とりあえず#3はこの辺で終わりたいと思います。#4もホテルネタで頑張ります! (^^)/ それでは~

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