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コロナ、休校、タブレット(1)Teamsでスタート

新型コロナウィルス感染症の影響で私の勤務校も3月2日から休校になりました。そこから3月20日の卒業式までの間、タブレットPCを家庭に持ち帰らせて行った実践について何回かに分けてまとめておきたいと思います。

状況

勤務校で一人一台タブレット環境が整っているわけではありませんが、私のクラスでは、文科省「発達障害の可能性の児童生徒に対する教科指導法研究事業」の一環としてSurfaceGoを児童数分導入し、「一人一台タブレット環境を整えることで可能になるICT×インクルーシブ教育」の研究を進めています。

タブレットの利用は多岐に渡ります。学習者用デジタル教科書を開くこともあれば、Teamsで意見交換を行うこともありますし、マイクラだってやります。タブレットを授業で全く使わない日はほとんどなかったのではないでしょうか。私が使わせなかったとしても、子どもたちが自分の活動としてタブレットを手にしていました。

家庭への持ち帰りは「希望者はどうぞ」という形にしていました。下校後の子どもたちの生活は(もちろん子どもによりますが)非常に忙しく、強制的にタブレットを持ち帰らせて家庭学習をさせるのは不可能だったからです。また、タブレットを持ち帰ることに対してのご家庭の考えも様々で、そこで無理を言って全員に持ち帰らせることはないだろうという判断もありました。ただ、全家庭にWi-Fi環境があることだけは確かめてありました。

新型コロナウイルス感染症が世界的な流行を見せ始めたのを受けて、2月の半ば過ぎから子どもたちには「万が一、休校なんてことになったら、全員にタブレット持ち帰ってもらうからね」と話してはいましたが、まさかそんなことになるとは。(それも、あんな急に。)

急なことだったので27日のうちには管理職と話ができず、28日に「児童にタブレットを持ち帰らせます」という報告をしました。ただ、その時に「他のクラスとあまり対応に差がつくのはよくないので、実験的なことに留めるように。」という指示がありました。つまり、国語や社会の授業をオンラインで行うようなことはするなよ、ということです。えっ、と思いましたが、よく考えてみたら今年度の指導事項はほぼほぼ終えていたので、何かやるとすれば教科の指導事項を超えたことになるのは自明のことでした。

怒涛の2月28日(金)を終え、29日(土)はオンライン成果報告会。3月1日(日)に色々とアイディアを練り、いよいよ2日(月)から様々な試みを始めました。

アナウンス

はじめのアナウンスはこのようなものでした。

【今日からの学習について】
せっかくみんなタブレットを持っていて、家にいて時間は自由になるわけだから、「1時間目は何時から何時まで!」なんて決めません。僕からは、その日の課題と、大まかな目安しか出さないので、あとは自分のペースが進めてください。みんなに議論して欲しい話題は、「何時までにフォームに送って」くらいは書くけれど、それくらいかな? まあ、とにかく時間はあるので色々試しながらやっていきましょう。
そうそう、Teamsの使い方でいくつかお願い。
・「一般」チャネルは僕からのお知らせを書き込むので、君たちは投稿しないでください。(返信で質問したりするのはいいけれど、自分で新しい投稿はしないでね。)
・お暇な皆さんのために「おしゃべり」チャネルを作りました。雑談等々はこちらでどうぞ。
・課題に応じてチャネルを追加していくのでよく見てね。

最初の課題

「課題はこの時間に発表するうからね」と約束してあった8時50分(いつもなら1時間目が始まる時間)を待てずに送った3月2日の課題がこちら。

いきなり新しいことをやるのは大変だと思うので、まずは前にやったことがあることを家でやってみましょう。「昔話法廷」って覚えてる? あれを見て自分の考えをフォームに打ち込むというのをやってみましょう。みんなからの答えが集まったら僕が結果をアップするので、それにまたコメントを打ち込む。そんな感じです。
まあ、でもその前にこれを見ておきましょう。みんなには裁判員の気分になってもらわないといけないからね。
裁判員制度
さあ、それでは今日のお題はこれ。
「ブレーメンの音楽隊」裁判
以下のフォームに今日の11時までに答えてください。11時までに寄せられた回答を僕がまとめてアップするので、それについてTeamsで議論しましょう。
https://forms.office.com/.....

他にも色々と課題を出しましたが、基本的なコンセプトは「自分のペースで、自分のやりたいことを、みんなと繋がりながらやる」ということ。と言っても、子どもたちもこんなことは初めての経験ですから、まずは教室でやったことをオンラインでも再現してみようと考えたわけです。(休校期間中、NHK for school を活用して欲しいな)という思いもありました。

この日の11時半に私からこんな投稿をしました。

「ブレーメンの音楽隊」裁判へのみんなの意見、まとまりました。まず結果はこうです。

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かなり拮抗(きっこう)していますね。みんなの意見は添付したPDFファイルにまとめました。次は、
・みんなの意見を読む。
・「この人に質問したい」ということがあったら、このチャネルで書き込む。その時、@マークを使うと、その人にお知らせが表示されるので便利。例えば、相手が山田君だったら、半角で「@Yamada」くらいまで打つと候補が表示されるので、それを選ぶといいです。やれる人はやってみよう。
・みんなの意見を読み、質問や議論をした後、この後、送るフォームに答えてください。これはそんなすぐできないね。まあ今日の15時過ぎくらいからでしょうか。
といったことに取り組んでみましょう。

午後は子どもたちが盛んにTeams上で議論を展開しました。

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夕方に最後の振り返りのフォームを送り、打ち込んでもらって、この課題は終了しました。

とりあえずスタートは順調

初日の感想は「オンラインでも教室と変わらないクオリティでできるな」というものでした。その大きな要因は「子どもたちがTeamsを使いこなせている」ということだったと思います。

Teamsは高機能ではありますが、元々がビジネス向けに作られているものですから、小学生にとってはややとっつきにくいものかもしれません。ですが、私のクラスの子どもたちは普段から使って完全に慣れ親しんでいたので、ネットワークにさえ繋がれてしまえば、Teamsは教室にいるときと同じ学習環境が得られるツールとして機能していたわけです。

これはもちろんTeamsでなくてスクールタクトでも何でもいいのでしょうが「自分のペースで、自分のやりたいことを、みんなと繋がりながらやる」ための環境があること、これが何より大切だということを再確認することになりました。

ということで、順調な休校期間のスタート?を切れたわけですが、翌日以後、成果も課題も非常に多くありました。それは、私にとっては本当に大きな学びになるものだったのです。(続く)

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