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ATAC 2023

12月はここまで尋常でない忙しさだったので、大切なことがたくさんあったのにふり返る間がありませんでした。ちょっと時間は経ってしまいましたが、いくつか書いておきたいことがあります。まずはATAC2023について。

2019年以来の対面開催となった今年のATAC。相変わらず盛りだくさんのプログラムでしたが、私は3セッション、登壇させていただきました。

最初は「保健室で学びを探す子どもたちー2.5プレイス保健室の試みー」でした。これは登壇と言ってもほぼほぼ佐藤牧子さんが話してくれるのでかなり気楽。「プロジェクターのスピーカーの音が小さいのでマイクを当てる」とか、そういった地味なサポートに徹していました。(来年はBluetoothスピーカー持っていかなくっちゃ。)

こんな写真を撮れていることからも余裕がうかがえます。

佐藤さんの「2.5プレイスとしての保健室」というコンセプトを聞くのは初めてではなかったのですが、「これ、大切な視点だよな」と改めて思いました。教室に行けない。行きたいけれど行けない。そんな子どもたちにとって、2nd プレイスに戻るにしても、3rdプレイスに行くにしても、その橋渡しをする場所は確かに必要。

佐藤さんはそれを保健室で行っているわけですが、実は学校の中でも外でも色々なところが2.5プレイスとして機能するようになるといいわけですよね。その大切さを再認識する発表でした。

午後はソフトバンクセッション「インクルーシブ教育をどう実現するか? 魔法のプロジェクトのICT活用の実践から考える」「GIGAスクール端末をどのように活用するか?」に登壇。でも、圧倒的に前者が刺激的だったし、自分としては学びが大きかったです。

このセッションは中邑 賢龍先生、佐野 将大先生と登壇しました。これは今回一番緊張したと言うか、自分にとってはハードルの高いセッションでした。流れは以下のようなものです。

  1. 鈴木から話題提供
    「通常教育の現場で、特別支援の必要な子どもがいたらどのようにインクルーシブ教育を考える?」

  2. 佐野先生や会場の参加者と議論

  3. 鈴木の考えるインクルーシブ教育例

  4. 佐野先生から話題提供
    「通常教育の現場に、重度の障害のある子どもがいたら、どのようにインクルーシブ教育を考える?」

  5. 鈴木や会場の参加者と議論

  6. 佐野先生の考えるインクルーシブ教育例

私からは、主に読み書きに困難を抱えている児童の例を出して「この子がクラスにいたらどうしますか?」という問いかけをしました。佐野先生も、会場で発言された方も特別支援学校の先生がほとんどだったので、そちらの視点からの発言になるわけです。これが通常級の担任である私にとっては非常に参考になりました。

ひとしきり意見が出たところで中邑先生に「さて、鈴木先生はこの子がいる学級でどうされたのですか?」と問われます。そんなに時間はなかったのでまずは「学び方を複数用意して自分に合った学び方を選べる環境を作る」というコンセプトを語りました。

発表スライドから

合理的配慮が必要なA君にとっては学び方③がそれに当たるとしても、みんなが違う方法で学ぶ中で一人だけ③を選ぶのはしんどい。だったら、学び方を複数用意して、各自が自分に合った学び方を選べるようにすれば良い。そうすればどれを選ぼうと構わないという雰囲気が学級に生まれるし、他にも学び方③を選ぶ子もいるかもしれない。それならA君も躊躇わずに③を選ぶことができる。

例えば、国語で読み物教材を読むとき、ある子は紙の教科書で、ある子は学習者用デジタル教科書で、ある子は読み上げ音声を聞きながら読む。そんな環境ですね。このコンセプトはどうやら会場の皆さん、納得してくださった模様。ホッ。

佐野先生が出された事例は相当、厳しいものでした。重度重複障害の子どもが通常学級に入ったらどうすればいいのか。インクルーシブ教育と言っても、その実現はなかなか難しいと、改めて思わされる時間になりました。

しかし、もしセンシング技術が更に進歩し、それとAIの連携が容易になったら、状況は変わってくるかもしれません。通常学級の子は絵筆を握って絵を描き、障害を負った子はAIの助けを借りながら絵を描く。そんな時代が来るのは、もしかしたらそんなに遠い先の話ではないのかもしれません。

でも、そういった時代が来るためには、今の技術でできることにどんどん取り組んでいくことや、新たな技術の開発に努めていくことが必要でしょう。このセッションを通じて「さぼっているわけにはいかないぞ」と思ったのでした。

AIに描かせてみましたが、ちょっと違う…。


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