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地球の歩き方との連携可能性を探る!

今回は前回に引き続き、当社取締役でもあり、株式会社地球の歩き方の代表取締役社長である新井邦弘さんに、地球の歩き方とアイ・シー・ネットの連携可能性についてお伺いします。

新井邦弘
株式会社学研ホールディングス 執行役員
株式会社地球の歩き方 代表取締役社長
アイ・シー・ネット株式会社 取締役
大学卒業後に学習研究社(現・学研ホールディングス)へ入社。世界各国のミステリーを取り上げる「ムー」や古今東西の歴史を扱う「歴史群像」など雑誌編集を経て、2015年に学研ホールディングスへ転籍し、グローバル戦略室長に就任。2020年、学研グループへの事業譲渡によって設立された株式会社地球の歩き方の代表取締役社長に就任。

地球の歩き方、全世界網羅

-地球の歩き方Webではアイ・シー・ネットの社員が月に1回連載記事を書かせていただいていますが、今後更なる連携としてどのようなことが考えられるでしょうか
実は私自身、連携のアイデアはたくさん持っているんです。
その一つに、途上国に詳しいアイ・シー・ネット社員が持つ現地の情報を活かし、地球の歩き方で全世界網羅することを考えています。
今、地球の歩き方は約160の国や地域を扱っているんですが、全世界をカバーするにはまだ100ヶ所近くも残っているんです。アフリカで言えば北アフリカや東アフリカのガイドブックはありますが、日本では観光資源化されていない西アフリカの国々は現状ガイドブックがありません。西アフリカのそれぞれの国に対してガイドブックを作るのは出版ビジネス上現実的ではないですが、Web上で公開するなどの方法はあると思います。
例えそのWeb版ダウンロードで採算がとれなくても「地球の歩き方、全世界網羅しちゃいました!」と打ち出せることは、地球の歩き方のブランディング的にも非常に大きなインパクトがあると思います。
アイ・シー・ネットであればまだ地球の歩き方でガイドブックになっていない西アフリカやアフガニスタンでも経験がありますし、その国々に精通した社員がいるので、やろうと思えば作れると思います。そんな地域のガイドまで手掛けることができるなんて、他の出版社じゃあり得ないですよ。

当社が実施したアフガニスタン農業プロジェクトでの一枚

この3年間はコロナ禍からの事業回復に重点を置いていましたが、今後はそういったブランド価値の向上に繫がるような取り組みも進めていきたいです。今年地球の歩き方は45周年を迎えるんですが、50周年までにぜひアイ・シー・ネットと一緒に「地球の歩き方、全世界網羅しちゃいました」を達成したいですね。

-いいですね。当社社員は自分が携わった国のことを、もっと皆に知ってほしい!という想いを持っていますし、地球の歩き方と連携してガイドブックに載らないような途上国も網羅することで「アイ・シー・ネットは途上国に詳しい」というイメージが付けば当社のブランディングにもいい影響があると思います

紛争地帯の歩き方

他のアイデアで言うと「紛争地帯の歩き方」も作ってみたいなと思っています。
観光ガイドブックは基本的に危険地帯を避けて旅行してください、という立場に立つのが普通ですが、私はあえて紛争地帯にスポットを当て、行けなくなってしまった紛争地帯で今何が起きているのか、紛争地帯に隣接する地域へ行くときの配慮すべき点やノウハウなどが掲載されているコンテンツを作ってみたいと思っています。

というのも、今や、紛争地帯やその隣接地域にビジネスで行かなくてはいけない、という状況が起こりうる時代です。実は地球の歩き方の既存ユーザーの中にもビジネストリップで使用している方は多く、初めてその国に商談に行ったり赴任したりするときに手に取るのは、地球の歩き方なわけです。
そういう人たちに「こういうことに注意すれば安全に旅ができますよ、こういうところは絶対に入らないでくださいね」といった情報を発信できたらいいなと思うんです。アイ・シー・ネットでも、外務省のWebサイトで渡航中止勧告の出ている国や地域に出張している事業は多いですし、その国で安全に事業を行う上で気を付けることやノウハウなどの情報はたくさん蓄積されていると思います。

また、「危険」というイメージに埋もれてしまっている現地の有益な情報をしっかり提供していくことは、非常に大事なことだと思っています。例えば、アイ・シー・ネットもイラクでの事業を実施していますが、「イラク全土が危険」というわけではないですよね。
「実はこの国にはプライドを持ったフレンドリーで素晴らしい民族がいる」とか「実はこんなに近代化している」という様に、報道とはまた異なる「旅をする」という文脈で、現地の有益な情報を届けることは、地球の歩き方としてぜひやっていきたいです。

当社がイラクで実施しているCSR支援事業

30秒動画

あとは、30秒くらいの実用動画コンテンツの発信も面白いかな、と考えています。
インスタで出てくるような素敵で映える動画ではなく、「地下鉄のチケットの買い方」のような実用的な動画です。これまでテキストで紹介してきた情報を動画にすれば、実際に困ったときに動画を見れば一発で解決しますし、何より分かりやすいですよね。
実は先日私自身も、そんな動画があったらよかったのに、という体験をしたんですよ。
トルコ旅行中に現金が必要になったんですが、キャッシュディスペンサーの操作画面に言語選択の「Language」の表記が無かったんです。全部トルコ語だから何書いてあるかわからないし、閑散としたバス・ターミナルだったので周りに聞ける人もいないので、一回諦めたんです。
しかしやっぱり現金が必要で「もう最悪、戻ってこなくてもいいや」と腹をくくってカードを入れたら、そこで初めて「Language」の表示が出てきたんです(笑)
「えー!その順番ってないよね!?」と思いましたね。

例えばそういう時に「トルコでのお金の引き出し方」みたいな動画があれば、腹をくくってカードを入れてみる、みたいな勇気も要らなかったわけじゃないですか。
地球の歩き方ユーザーにとってはまさに旅中での「地獄に仏」の様な存在になると思いますし「この動画のおかげで安心してお金引き出せました!」みたいな口コミや投稿でバズる気がしているんですよね。

イスタンブール空港のCOVID Test Center の受付機
英語の説明文も書いてあるが、機械操作やカード払いに躊躇する旅行者はいるはず

-確かにそういう動画でしたら、出張している社員に「撮ってきて」と言えばすぐ作れそうです

そうなんです。アイ・シー・ネットの皆さんは日常的に海外の現場に行っていますし、各国でお役立ち動画が作れると思います。
今回の話に限らず、今後も面白いことを仕掛けていきたいですね。


今回は、当社の取締役である新井邦弘さんに、地球の歩き方社とアイ・シー・ネットの連携可能性についてお話しいただきワクワクする話をたくさん伺うことができました。
圧倒的なブランド力・コンテンツ力を持つ地球の歩き方と、途上国に詳しいアイ・シー・ネットがタッグを組めば、地球の歩き方はますます旅行ガイドブック界の唯一無二の存在になりそうですし、アイ・シー・ネットのブランド力・認知度向上にもつながりそうです。
新井さん、インタビューにお応えいただき、ありがとうございました!