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認知〜10の歪み〜

【認知】(にん-ち)
人間が自身の五感を通じて外部からの情報を受け取り、それを理解し、意味を付与する過程を指す言葉である。

実用日本語表現辞典

人間は考え、そして認知する。
心理学の世界では、思考と認知は同じレベルにあって、人間の行動は、

外界からの事象

認知(思考)

感情(気分)

行動

というプロセスをとる。
この中で、認知(思考)は、 感情(気分) に直接影響を及ぼす重要なファクターであり、そこには10の歪みがあるとされている。(デビッド・D・バーンズ)

認知行動療法は、その認知の10の歪みを意識することで、感情に与える影響をコントロールする試みである。
以下に、その認知の10の歪みを紹介しよう。


01.全か無か思考(all-or-nothing thinking)

スプリッティングとも呼ばれる。これは、グレーがなく物事の全てを白か黒かで認識するという、誤った二極化をすること。オール・オア・ナッシングであり、少しでもミスがあれば完全な失敗だと考えるようになる。真実でも、真実らしくもない場合でも「常に」「すべて」「決して~でない」などの言葉を使うのが特徴。

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02.一般化のしすぎ(over-generalization)

経験や根拠が不十分なまま早まった一般化を下すこと。 ひとつの事例や、単一の証拠を元に、非常に幅広く一般化した結論を下すことである。たった一回の問題発生だけで、その問題は何度も繰り返すと結論付けてしまう。

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03.心のフィルター(mental filter)

選択的抽象化ともされ、物事全体のうち、悪い部分のほうへ目が行ってしまい、良い部分が除外されてしまうこと。

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04.拡大解釈と過小評価(magnification and minimization)

失敗、弱み、脅威について、実際よりも過大に受け取ったり、一方で成功、強み、チャンスについて実際よりも過小に考える。

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05.感情的決め付け(emotional reasoning)

単なる感情のみを根拠として、自分の考えが正しいと結論を下すこと。

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06.マイナス化思考(disqualifying the positive)

上手くいったら「これはまぐれだ」と思い、上手くいかなかったら「やっぱりそうなんだ」と考える。良い事があったことを無視してしまうばかりか、それを悪い方にすり替えてしまう。

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07.結論の飛躍(jumping to conclusions)

 a.心の読み過ぎ(mind reading)

他人の行動や非言語的コミュニケーションから、ネガティブな可能性を推測することである。当人に尋ねることなく、論理的に起こりうる最悪のケースを推測し、その予防措置を取ったりする。

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 b.先読みの誤り(the fortune teller error)

物事が悪い結果をもたらすと推測することである。悲劇的な結論に一足先にジャンプしてしまう。

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08.すべき思考(should statements)

他人に対し、その人が直面しているケース(状況・状態)に関係なく、道徳的に「すべきである」「しなければならない」と期待すること。

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09.レッテル貼り(labeling and mislabeling)

偶発性・外因性の出来事であるのに、それを誰かの人物像やこれまでの行動に帰属させて、ネガティブなレッテルを張ることである。

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10.個人化(personalization)

自分がコントロールできないような結果が起こった時、それを自分の個人的責任として帰属させること。

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このような思考を、意識せずにしてしまうことを、自動思考という。
無意識での思考であるため、このような考え方をしてしまうこと自体はしょうがない。重要なのは、このような思考をしていることに気付けるか(認知できるか)どうか。
そこから生まれる行動こそが、認知行動なのであり、その認知行動によって治療する方法こそが、認知行動療法なのであろう。

気分が、上下(躁鬱)に振れている時、思考は、上述した10の歪みになり易い。それをいち早く認知し、今の自分の精神状態を分析して行動できれば、寛解の一助になるのではないだろうか。

ickey(2024/02/22)

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