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幻の「長くつ下のピッピ」 高畑勲,宮﨑駿,小田部羊一 共著

エヴリデイマジック
 「子どもの心を解放するアニメーションを作るために、僕らは一生懸命考えました」と高畑勲監督。日常生活の中で、こんなスゴイ友達がいたら、こんなことができたら、こんな道具があったら、という子どもの願望や夢を叶えさせる。それによって子どもを夢中にさせ、まず子どもたちの心を解放してやろうと、まさに「エヴリデイマジック」です。

 「そもそも僕はスタジオに就職したのではなくて、“画工”になったんです。……安定を考えるならアニメーターなんて初めからやるべき職業じゃありません」。宮﨑駿氏は、芸術家としての“画工(絵師)”を選択していました。45年前の「イメージボード」を見ると、作品のアイデアスケッチにおいて才能豊かなことがうかがい知れます。

 スタジオ・ジブリ社とピクサー・アニメーション・スタジオ社、双方の中心人物である宮﨑駿氏とジョン・ラセター氏。二人と両社の親密な関係はよく知られていますが、「宮﨑さんの全ての作品にはハートがあります。そして、作品ごとに必ず独創的なアイディアが取り入れられています。ネコバスというキャラクターもそうですし、ポニョが波の上を走るなんていうのも考えつかないことです。そうしたオリジナリティに私も刺激をもらい続けてきました」。「ピクサーの作品がほかのアニメスタジオの作品と違うとよく言われるのは、宮﨑さんの映画のように静かな瞬間を祝福して、なおかつハートがあるからだと思います」と宮﨑作品のピクサー作品への影響を明かしています。

 ジブリ社に代表される邦画はすべて伝統的な手描きの2Dを基本とするセル・アニメーション作品、ピクサー社やドリームワークス社などの洋画はフル3D-CG作品のみという、対極的な特徴が見られます。宮崎氏は幻のピッピのインタビューの最後に言っている、「アニメーションというものはほんとに献身的な大労働をしないとできないものですから」。当時、宮崎アニメーションはスタッフに一枚一枚の原図をきちんと描くことからはじめたそうです。

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