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COIAS Tips集
自分で調べてTwitterに書いたもの、ほかの人が呟いたもの、公式が発信したものをまとめます。
COIASのウェブページのほうに書いていない情報が山ほどあるのと、それがSNS上に散らばっているのはあまり良くないと思うので、ひとまとめにしてみました。twitterのほうにあるのはツイートをそのままくっつけて、適宜補足します。
随時更新します。
重要事項・全般の背景知識
複数日を同時解析する際の注意
重要!上級者の方は、複数日まとめて測定されている方もいるかと思います。複数日で3点以上の観測点があっても、1日の観測点が1点しかないとMPCから観測報告却下されます。#COIAS
— 未発見小惑星検出アプリCOIAS公式 (@coias_t09) October 14, 2023
1点しか測定していない場合はもちろん、レポート作成画面で最終的に1日1点しか残らなくてもアウト。そうなったら再描画をやり直して該当天体の該当日分は絶対にすべて削除おかないと、報告して却下されてもCOIASに報告の記録は残っているので後で別で解析しても重複扱いになってしまう。
COIASでの解析領域エリア
COIASはすばる望遠鏡HSCの戦略枠観測サーベイの画像を用いていますが、広い範囲を撮像した「Wide」と狭い範囲を集中的に撮像した「Deep/Ultra Deep」という2つの観測レイヤーがあります。
— 未発見小惑星検出アプリCOIAS公式 (@coias_t09) October 11, 2023
「DeepA」などの表示がある場所が後者、それ以外が前者に対応しています。https://t.co/bt7aXrJcjO
Area2のDeepはUltra Deepと呼ばれるもので、特に短期間の撮影夜数が連続して多いです。この領域はCOSMOSフィールドという、以前から世界中の様々な大望遠鏡が深い観測をしている領域です。
既知天体の表記
【仮符号小惑星の表記1】
— 未発見小惑星検出アプリCOIAS公式 (@coias_t09) September 28, 2023
仮符号とは、小惑星だと思われる天体に与えられる仮の符号です。
レポート上では、Kから始まる7文字で表現されるものが該当します。(IとJもあったがほぼ絶滅している)
仮符号そのものの付け方は以下の「仮符号のルール」をご覧ください。https://t.co/EcTxDPz23H#COIAS pic.twitter.com/aGmerPr8Yo
【確定番号小惑星の表記1】
— 未発見小惑星検出アプリCOIAS公式 (@coias_t09) September 12, 2023
確定番号とは軌道がきっちりと定まった小惑星に与えられる番号です。(例: 4 Vesta の 4)
レポートでは頭に空白がないものが該当し、必ず5文字で表現しなければいけません。
99999番までは0詰めで表現すれば良いですが、それを超えると定められたルールに従って変換します。 pic.twitter.com/6t1TFuUEfa
【確定番号小惑星の表記2】
— 未発見小惑星検出アプリCOIAS公式 (@coias_t09) September 13, 2023
100000番を超え619999番までの小惑星は、5文字で表現するために先頭2文字を以下の規則で英字に変換します。
A = 10, B = 11, ... Y = 34, Z = 35, a = 36, b = 37, ... y = 60, z = 61。(変換例は画像参照)
多くの方がレポートモードで目にするのはこの変換結果です。 pic.twitter.com/2ouOZAK4tD
620000番を超えた場合、頭に~をつけた上で、残りの4文字を「62万からの余剰分を[0-9][A-Z][a-z]の62進数で表現」します。
— 未発見小惑星検出アプリCOIAS公式 (@coias_t09) September 14, 2023
例えば画像の場合、
~00g8 = 620000 + 0 * 62^3 + 0 * 62^2 + 42 * 62^1 + 8 * 62^0 = 622612 番
になります。
ものすごく難解ですね。。。https://t.co/OYC6ETG876 pic.twitter.com/0JQzGkp4LH
要は62進数で圧縮しているのですが、仮符号天体の4文字目までの発見期間を示す部分は順序通りなのですが5文字目以降は7,5,6文字目の順に読むという漢文みたいな変な構造をしています。
ITFとは
#COIAS
— グランプリ地球にフリーパスの佐久呂 杏bot (@icigasu_shine) August 20, 2023
Isolated Tracklet Fileはこれまで世界中から報告されて仮符号化/同定を待っている天体をプールしているファイル。https://t.co/0S0EuZNRqQ
ダウンロードもできるけどクソデカテキストファイルなので普通のテキストエディタだと開くことすらできない。
H~~~から始まる名前で報告したらまず全部ここに格納されます。
解析編
探索準備のパラメーター
いつもご利用ありがとうございます!
— 未発見小惑星検出アプリCOIAS公式 (@coias_t09) October 4, 2023
自動検出された天体が多すぎて減らしたい場合は、「探索準備」画面に戻り、パラメータを変更できます。
解析スタートボタンの右下にあるボタンを押し、
・最低検出画像枚数を増やす
・検出光源数を減らす
と、検出数が少なくなります。#COIAS pic.twitter.com/zNvelSTrND
ちなみに自動解析で時間がかかるのが嫌で、全部手動でやるからスキップさせてくれと思った場合は、最低検出数=解析する画像全数+検出光源数=0にするとほとんど時間を要しません。
#COIAS
— グランプリ地球にフリーパスの佐久呂 杏bot (@icigasu_shine) August 2, 2023
使ってみて気付いたTips①
・さすが生画像、画像中にCCDの関係で星が全く映らないデッドゾーンが多い
・最低検出数=画像数にしちゃうと上記デッドゾーンの関係で自動検出に引っかからない
・手動測定の赤点囲む正方形で位置が決まるけど、この位置で軌道決めるから結構シビアに追い込む必要あり
解析する画像すべてに目標天体が写ることはありそうで無いのです。
TNO候補あるいは、順行から逆行に移行するタイミングで天体の移動速度が遅く、点状に撮像できているときは、解析パラメータ設定画面にて自動測光半径を「4」あるいは「5」にすると、より正確な明るさが算出できます。#COIAS
— 未発見小惑星検出アプリCOIAS公式 (@coias_t09) February 20, 2024
他にカプセル状でなく点に写った、移動速度の遅い天体についてはパラメータを小さくするといいそうです。
でも、そういう天体ってそもそも自動検出に引っ掛かりにくいんですよね。マスク画像をもとに検出するにも、同じ位置にある天体を背景星として消す仕組みだから動きが遅い天体も巻き込まれてしまう。
画像のマスク
2回目はぜひマスク有りをお薦めします
— グランプリ地球にフリーパスの佐久呂 杏bot (@icigasu_shine) November 12, 2023
探し尽くしたつもりがまあ出てくる出てくる
マスクなし→マスクありだと消えてしまう天体も全部見えるので絶対必須
マスクあり→マスクなしだとわちゃわちゃして見逃す天体も見やすくなるので、一度は見たほうがいい
画像端の天体の測定
@coias_t09
— 佐々木暁彦 (@1akihikosasaki1) September 21, 2023
画面左上の明るさとコントラスト調整バーの場所に天体が入ってしまうと手動測定ができません。測定できるように改良していただけると嬉しいです。#COIAS
めちゃくちゃ拡大したらいいですよ
— グランプリ地球にフリーパスの佐久呂 杏bot (@icigasu_shine) September 21, 2023
虫眼鏡マークでも十字キーの上でも使って
画像は大きくなりますがバーの大きさは一定なので見えるようになります。#COIAS
手動測定の矩形選択
@coias_t09
— 佐々木暁彦 (@1akihikosasaki1) October 1, 2023
質問です。
手動測定しようとした天体が切れてしまっている場合の囲み方はこれで良いですか? #COIAS pic.twitter.com/WKZlKLkW3M
それでOKです。COIASの良いところは、目視確認するところで、今回のような画像でも人間なら「きっと
— 未発見小惑星検出アプリCOIAS公式 (@coias_t09) October 2, 2023
このあたりまで星像はあるのだろう」と予想して四角で囲める点にあります。
誤差が大きいデータは除かれる
#COIAS Tips2
— グランプリ地球にフリーパスの佐久呂 杏bot (@icigasu_shine) August 2, 2023
・手動測定の位置決めが雑だと、その数点内での軌道フィットの誤差(残差?)が大きくなる。これが大きいとレポート作成時に自動で弾かれる
・あとそもそも解析画像で最低3枚以上の画像に写っていないとレポート作成時に弾かれる。だから5枚以上ある夜の画像は最低5枚以上一気に解析すべし
かといって20枚くらいあるのを一度に解析するのも大変。そういう日はフィルター別で分かれていたりするので、フィルターごとで解析したほうがいいですね。
手動測定の矩形設定と誤差の導出+軌道フィッティング
手動測定の矩形について気になっていたのですが、測定結果は矩形の中心座標にのみ依存し矩形の形状・面積自体は無関係なのでしょうか?
— グランプリ地球にフリーパスの佐久呂 杏bot (@icigasu_shine) October 7, 2023
例えばこの2つは同じ測定結果を示す仕様ですか?(アップデート前/後ともに)#COIAS pic.twitter.com/zcVtFXOcnl
矩形の範囲内の明るさで天体の等級を、矩形の中心座標で天体の位置を測定します。
— 未発見小惑星検出アプリCOIAS公式 (@coias_t09) October 7, 2023
そのため、星像全体を囲むように四角形を描きつつ、矩形の中心がなるべく星像の中心と一致するように選ぶと良いと思います。
星像が欠けていたりする場合は、中心位置は主観で決めていただければと思います。#COIAS
うーん。質が悪すぎると良くないかもです。あと、測定点の中央値から0.7等級以上ずれているもの。測定点を直線で最小2乗フィットして、そこから0.7"以上ずれているものを除外しています(プログラムを見返しておらず記憶を頼りのコメントです。ご参考程度に)
— 未発見小惑星検出アプリCOIAS公式 (@coias_t09) October 8, 2023
修正です。直線フィットでなくてfindorbの計算結果です。タイミングをみてウェブページにも記載できればと思います。Xは速報的かつサービスな回答となります。
— 未発見小惑星検出アプリCOIAS公式 (@coias_t09) October 8, 2023
findorbとは軌道フィッティングの有名なプログラムです。
解析後ダウンロードされるfinal_allではその解析内でのデータ点しかフィットできませんが、複数回分の解析で得られた違う日のデータ間で軌道フィットがしたいときは、findorbを使えば可能です。
以下にオンライン版があります。
測光領域そばに輝星がある場合
仕様となっています。もう少し詳しく解説すると、測光を行う際、夜空の明るさを推定する必要があるのですが、その推定を測定天体周辺の領域で行っています。明るい天体がその領域に入った場合は正しく測光できないのでリジェクトするようにしています。#COIAS
— 未発見小惑星検出アプリCOIAS公式 (@coias_t09) October 29, 2023
明るい星のそばに天体が来てしまったら諦めましょう。
大量の予測位置
あの…この大量の予測は一体…?
— このしろ (@konosirus12) September 8, 2023
中央右に本物の小惑星出てくるけどこんなに遅くはないし…#COIAS pic.twitter.com/20C6mAO0Vn
大量の予測は過去の誤検出報告の影響です。それより中央付近の上に動く候補天体が気になります。上方向(赤緯方向)に動く天体は珍しいです。ぜひ手動測定で報告すると共に、測定結果(final_all.txt)をダウンロードして開発チームにお送りいただけると嬉しいです。
— 未発見小惑星検出アプリCOIAS公式 (@coias_t09) September 8, 2023
レポート画面などでの入力内容記憶
【追加機能4】
— 未発見小惑星検出アプリCOIAS公式 (@coias_t09) October 9, 2023
レポート画面での測定者名(MEA欄)およびブリンク速度の設定を記憶しておき、次回以降は前回の記入内容・設定がデフォルトで入力されている状態になりました。
MEA欄が毎回固定の方は、打ち直さずともレポートが送信できるようになりました。#COIAS
COIASが記憶しているのではなくブラウザに記憶させているようです。なのでログアウトしてキャッシュ等を消すと、ログインしなおしたときにリセットされています。
解析済み領域の再解析
発表内であったけど、Area1 DeepAの解析率100%の画像(2019年秋とか16年夏とか)は再解析おすすめ。
— グランプリ地球にフリーパスの佐久呂 杏bot (@icigasu_shine) February 19, 2024
なぜなら一度解析されることで予測円が出現し、その付近(数百px以内)をもう一度目を凝らすと確かに何かあるってパターンがいっぱいある。
予測円の補助無しだとしんどい暗さだから見逃されてる#COIAS
ファイルの保存を忘れた場合
If you forget to download your #COIAS report, it looks like you can get it from here. pic.twitter.com/rrTvWG0sho
— ArdaG (@Astro_Guler) April 2, 2024
send_all.txtの中身は、解析終了画面のソースコードに含まれています。保存忘れに直後に気づいた場合は、ブラウザーの「ソースを表示」からサルベージさせましょう。
解析後編
WAMOの使い方
【自分の観測結果を見てみよう】
— 未発見小惑星検出アプリCOIAS公式 (@coias_t09) August 20, 2023
小惑星センター(MPC)では、観測の報告の処理状況を確認できる"WAMO"が用意されています。
レポート画面でダウンロードできる"send_mpc.txt"をお持ちの方は、天体名から始まる行を枠に貼り付け、Submitボタンを押してみてください!https://t.co/wqIoW7bqvC#COIAS pic.twitter.com/H2VR6hOHEc
【WAMOの結果の見方】
— 未発見小惑星検出アプリCOIAS公式 (@coias_t09) August 20, 2023
... has been placed in the Isolated Tracklet File (ITF)となっている場合、未発見天体の可能性があり、他の観測と照合待ちの状態です。
... has been identified as xxxとなっている場合、既知の天体として認定されたことを表します。#COIAS
なお、WAMOを使う際にsend_mpc.txtの最初17行(CON, OBS, MEAなどと書かれている部分)を貼り付けるとエラーになってしまいます。
— 未発見小惑星検出アプリCOIAS公式 (@coias_t09) August 20, 2023
その下の、天体名から始まる行だけを貼り付けるようにお願いします。#COIAS
WAMOの結果として出力される可能性のある表記リストは以下にあります。
また、1回の解析で得た3行以上の観測を全部入力しなくとも、*のついたイニシャルの観測だけ入力すれば処理量が減ります。
別の測定にも、*付きで新たに仮符号2019 WJ33が割り振られた。こちらは私が報告したのは1夜のみなので、他のチームCOIASの誰かが追加報告をしたのかもしれない。 pic.twitter.com/zq5jFOWrCS
— akwr2 (@akwr2) January 29, 2024
WAMOの活用その他
COIASの自分のデータを手動で問い合わせるのに疲れてきたので、指定場所内のsend_mpc.txtを探してきてMPCに問い合わせた結果を一覧表示するプログラムを作りました。
— けいえぬ (@kn1cht) November 5, 2023
GitHubに公開してます→ https://t.co/9cvjsjFrNL
(非公式です。実行は自己責任でお願いします)#COIAS pic.twitter.com/HOKhBOLodk
これはDaily Minor Planet関係で知ったけど、WAMOのURLの末尾をいじったら観測ログを持ってなくても指定した観測所からの指定した天体名(報告時のもの)の観測の追跡ができる。
— グランプリ地球にフリーパスの佐久呂 杏bot (@icigasu_shine) November 28, 2023
COIASだと%20のあとにT09。#COIAS https://t.co/RDqc8GJwGP
https://www.minorplanetcenter.net/cgi-bin/cgipy/wamo?obs=H200334%20T09 とかです。
ここでWAMOの出力のうち、各行80文字目(観測コードの末尾)まではそのまま報告時の観測内容に相当するので、81文字目をカットすれば各天体の観測ファイル(send_all.txtに相当する内容)を入手できます。
WAMOの出力から観測部分のみを抽出する(81文字目以降をカットする)ツールを作ったhttps://t.co/E4y6riIW2bhttps://t.co/FUsvLZ05r6#COIAS pic.twitter.com/C5dF3rwqzH
— mtnsuzuki (@mtnsuzuki) April 3, 2024
いちいち消していくのが大変であればWAMO cutterが便利です。
既知天体についての情報取得
final_all.txtについては、今後解説するかもしれませんので気長にお待ちください。軌道やサイズなどの情報をまとめてグラフにしてみるなど、自由研究の素材のように使えると考えています。
— 未発見小惑星検出アプリCOIAS公式 (@coias_t09) September 23, 2023
既知の小惑星は、仮符号あるいは確定番号を https://t.co/Ucd73sDgAp に入れると検索できます。
紹介されているのは小惑星センターのデータベースで、これまでの観測結果に重点が置かれています。もう1つ、NASAのジェット推進研究所が運営するSBDB(Small Body Data Base)というサイトがあり、ここでは観測結果は見れませんが軌道の図や現在の位置などをぐりぐり動かして見ることもできます。あとSBDBのほうが新天体の反映が早いです。
これらのページで表示される軌道精度については
COIASで受かった仮符号天体の軌道を調べた先で見る、軌道誤差を示すUの目安画像見つけたhttps://t.co/JdJmuP4k6q
— グランプリ地球にフリーパスの佐久呂 杏bot (@icigasu_shine) October 11, 2023
U=9だと10年で40度とか位置が狂ってもおかしくないとか
観測期間1ヶ月とかだとだいたい9なのに
軌道改良って大事だなあ#COIAS pic.twitter.com/Gys5i95iWr
自分で既知天体かどうか判別する
ちなみに既知天体かどうかは以下のサイトで確認できます。https://t.co/Q1f0APb3R0
— 未発見小惑星検出アプリCOIAS公式 (@coias_t09) November 1, 2023
測定後、send_mpc.txtをダウンロードして観測結果の1行を上記サイトにコピー&ペースト、さらにthese observationsのトグルにチェックをいれます。#COIAS
COIASの再描画ではCOIASが自動で同定した既知天体しかわかりませんし、WAMOでは、あくまで小惑星センターが同定した既知天体しか分かりません。しかしここで紹介されているウェブ「MPCheckr」では、近い予報位置の天体が全部見れるので、多少ずれててすぐに同定できなくても+COIASが対応していない彗星でも分かります。
自分が発見観測を得たといち早く知る方法
WAMOに突っ込めばH20000みたいな番号が仮符号に置き換わっていることがあります。その場合元々付いていた*が消えますが、自分の報告した観測がそのまま新仮符号の発見観測になれば仮符号表記になっても*はついたままです。
— グランプリ地球にフリーパスの佐久呂 杏bot (@icigasu_shine) October 21, 2023
テキストファイルはある程度まとめておくことをお勧めします。
新しい仮符号が反映される順番として、早いほうからWAMO、NASA-JPLのSmall Body Database lookup、
MPCのデータベースサーチ
の順番でしたが、MPCがテスト中のサイトに
MPC Explorer
というものができ、WAMOの次に早くなっています。
JPLのサイトは軌道要素がすぐに出て、インタラクティブな軌道図も閲覧できるが個別の観測は表示されず、MPCの旧データベースだとまず軌道要素などが載った天体のページができて観測がそのあとだいぶ日がたって表示されるというシステムでしたが、新エクスプローラーは個別の観測が早くから確認できます。
軌道要素が表示されないのが唯一の欠点ですが、同定の項で後述するfind_orbなどで自分でフィッティングすれば、まあ…。
すばる望遠鏡内での観測グループ分類
毎回COIASの観測報告後にMPC側がフォーマット内で日付の前に付ける「4」って何だろうって思ってたけど、すばる望遠鏡内の4つ目の観測者チームって意味だそうで。
— グランプリ地球にフリーパスの佐久呂 杏bot (@icigasu_shine) October 26, 2023
プラネットナイン探してるチームとか外惑星の衛星探してるチームとかとCOIASを区別してるのか。そういえば回報でも4番だった。#COIAS
発見天体が発見観測になるためには
それは少し違いまして、自分の観測所だけで2夜分揃わなくとも発見者になる場合があります。他の観測所も含めて2夜以上同じ天体が観測されていれば、その中で最も速く提出された報告が発見観測となります。
— 未発見小惑星検出アプリCOIAS公式 (@coias_t09) September 20, 2023
したがって、COIASで1夜分しか報告できなくとも、他より報告が早ければ発見者になれることがあります。逆に、COIASから複数夜分報告したとしても、さらに以前になされた報告が見つかればその観測所の発見になることもあります。
— 未発見小惑星検出アプリCOIAS公式 (@coias_t09) September 20, 2023
このあたり我々も理解100%でないのですが、仮符号取得は1回の衝期間中に2回以上の観測が必要となります。2019GY173は、衝期間中に2回観測できたのがCOIASチームのみなので仮符号取得となりました。
— 未発見小惑星検出アプリCOIAS公式 (@coias_t09) November 5, 2023
COIASの「もっと詳しく」には小惑星の発見が暫定で認められる条件を「2夜以上の観測」としていましたが、そのもっと細かい内容。1つの衝期間(天体が地球と最接近してから、再度最接近するまでの期間。だいたい1年余り。)に自分たちもしくは世界中で2夜以上観測し、その中で一番早い報告をしていれば発見観測(=発見者を名乗れる観測)が取れるようです。
ただし、番号登録時点までその発見観測の地位を維持している必要があります。(後日になって、先に報告されていた別観測所の複数夜観測と同一天体と同定されたらダメです。あくまで報告日が先後の基準。)
MPECへの掲載
MPEC(Minor Planet Electronic Circulars)とは、NEOやTNOといった特異天体の発見、あるいは軌道改良に貢献した観測を知らせる速報的な回報です。天文台コード別のMPECの掲載情報をまとめたサイトがあります。T09で調べるとCOIASを含めたすばる望遠鏡の掲載状況がわかります。#COIAS
— 未発見小惑星検出アプリCOIAS公式 (@coias_t09) October 27, 2023
こちらがMPECをまとめたサイトです。#COIAShttps://t.co/2dnM1skIdd
— 未発見小惑星検出アプリCOIAS公式 (@coias_t09) October 27, 2023
MPECは
でも読めるのですが、紹介されているサイトのほうが見やすいです。ただし紹介されているほうは数日ラグがあるので最新のものはRecent MPECsを見ましょう。
MPCの読み方
#COIAS の数年間の開発・テスト段階で6000個以上の新天体候補が見つかっているそうなので、数年分のMPCを当たってみた。
— グランプリ地球にフリーパスの佐久呂 杏bot (@icigasu_shine) August 6, 2023
一度に4000件以上の既発見天体の観測が公表された回報もあったけど、実際に仮符号登録までこぎつけたのは2天体のみ。やっぱり先は遠いのかもしれない。 pic.twitter.com/Nd8XTEgqyf
観測所内のサブグループごとに天体が列挙され、最後に3つ数字がある。1つ目は期間中観測を報告した天体数、2つ目は報告した夜数。そして3つめが重要な、その間発見観測が認められた天体数で列挙された天体中、発見観測を示す*がついている天体の数。
MPSのテキストファイル版とその活用
下記アドレスに80桁フォーマットのテキストファイル(Observations)があります
— v..V (@W883_L780_D337) November 2, 2023
スクリプト言語などで行末T09で検索したり抽出して別ファイルに出力すれば管理が容易になると思いますhttps://t.co/MUs6AwAb0M
これを解凍したフォルダでPowerShellを起動して
Select-String "T09" tot_00.obs -CaseSensitive | Select Line | ft -AutoSize -Wrap > T09only.txt
とでも打ち込めば(かなり横着コードです。仮符号にT09が入っても引っ掛かります。)T09からの観測が取り出せ、そのファイルで*を検索すれば発見観測になった観測が見つかります。
発見天体の追観測
つづき
— グランプリ地球にフリーパスの佐久呂 杏bot (@icigasu_shine) August 2, 2023
・数年以内に世界最先端の望遠鏡は30m級になり、10m級望遠鏡も型落ちになる。そして10m級望遠鏡も一晩中全天しらみつぶしの贅沢運用ができるようになる。実はもう建設が大部分終わっているのがhttps://t.co/w9LVDPccWd 。COIASで見つかった小惑星候補の多くが一気に追観測されると思う。
ヴェラ・ルービン天文台のLSSTは2025年に観測を始める予定だそうです。経験則からいくと、そう言われているなら実際に動くのは2026年でしょうね()。
COIAS HPでの発見天体リスト
COIASから報告し仮符号が付与された小惑星と、その発見に貢献した方(ニックネーム)の一覧を公開しました!
— 未発見小惑星検出アプリCOIAS公式 (@coias_t09) January 11, 2024
「データ解析状況」のページ下部からご覧になれます。
現時点で、最新の小惑星回報(Minor Planet Circulars)に掲載された36天体の情報を収録しています。https://t.co/ih24zXodTI#COIAS pic.twitter.com/bBnL5MEMTB
「貢献した方」なので、発見観測を報告した人以外にもその天体を報告した人が列挙されています。発見観測を持っている人は、各天体の詳細表示(+)で確認できる報告時の天体の番号が一番若い人が一番最初に報告したことになりますのでその人、ということになります。ただし名前の付け替え機能で後で報告した人も同じ番号で報告している場合があるので、その場合はこの表からは確認できません。
2023年末の観測再アップ関連
同定済みの天体
はい、修正前にH番号のものが修正後に既知天体名になっているものは、再報告時にも既知天体名で報告しています。
— 未発見小惑星検出アプリCOIAS公式 (@coias_t09) December 28, 2023
MPCから削除リストが送られてきたときに既知天体名になっていたので、MPCが同定したものです。
再報告時の天体名はMPCの同定に従った形になります。
また最初から同定待ちになる事態は回避しているようです。ちなみにMPCから再アップを求められた天体リストに発見観測を示す*マークは無かったようですが、そもそもこのマークに絶対的な意味はなくマークがなくても最終的に発見観測になるときはなるそうです。
便利なプログラム
COIASのデータ修正に手元のsend_mpc.txtたちを一括で対応させるプログラムを作りました。自分の200ファイルは約2分で完了しました。
— けいえぬ (@kn1cht) December 31, 2023
細かくディレクトリ分けしていても、それを保ったまま新データに書き換えます。https://t.co/ZNouiRDbVk
(非公式です。実行は自己責任でお願いします)#COIAS https://t.co/QAjpeyfxdm
一部観測のサルベージ
はい、開発チームで把握している限りでは、オーダー0.1%程度の測定が様々な事情でどうしてもサルベージができず、送り直せないことがありました。
— 未発見小惑星検出アプリCOIAS公式 (@coias_t09) February 19, 2024
今後このようなことがないように改善していく予定ですが、ご了承いただけますと幸いです。
良いニュースとして、水曜からのメンテナンスで測定済み天体の削除機能を改善し、再送できてないデータの一部が再測定可能になる予定です!
— 未発見小惑星検出アプリCOIAS公式 (@coias_t09) February 20, 2024
再送信困難の一因として我々の保有データが欠けていて正しい修正方針が立たないことがあるため、独自にMPCに報告するより今から再測定する方が望ましいです。
再報告されたのが30万件らしいので、0.1%オーダーとなると数百件前後が復旧できていないようです。
Identifications(同定)
長くなるので別記事を書きました。
その他
HSC-Mapの活用
step2. final_all.txtの最初の方にファイル名が記載されています。例えば、warp-HSC-R-9467-2,7-124538.fits。ここで9467がトラクトと呼ばれる撮像エリア名。2,7はパッチと呼ばれる詳細撮像エリア名。この値を覚えておく。また、観測日も覚えておく。
— 未発見小惑星検出アプリCOIAS公式 (@coias_t09) September 15, 2023
step3. 国立天文台がhscMapというアプリを提供しています。hscMapにアクセス。https://t.co/8dmjrS4vyt なお #COIAS の星図はhscMapを元に作られています。
— 未発見小惑星検出アプリCOIAS公式 (@coias_t09) September 15, 2023
Step4. hscMapのタブで、ビュー→レイヤー→トラクト&星座名に印を入れる。そうすると画面にトラクト番号と星座名が出てくるので、自分が撮像した領域のトラクト番号を星図から探す。星座名も領域探しの参考になります。これで自分がどのあたりを捜索していたのかあたりをつける。
— 未発見小惑星検出アプリCOIAS公式 (@coias_t09) September 15, 2023
step5. COIASに戻って、hscMapで見つけたトラクト番号付近の領域を選ぶ。さらに観測日が自分の報告日と同じ日のものを選ぶ。
— 未発見小惑星検出アプリCOIAS公式 (@coias_t09) September 15, 2023
step6. ファイル名が表示されるので、 トラクト名、パッチ名が同じであるか確認。違っていれば、step5. に戻って再捜索。何回か繰り返すと見つかります。
— 未発見小惑星検出アプリCOIAS公式 (@coias_t09) September 15, 2023
このツイートではhsc-mapを、前回自分が解析した位置を再現するためのツールに使っていますが、hsc-mapの便利なのは画面右下に、画面中央の一の赤道座標が表示されるところです。これによって、COIAS上での画像領域と座標が相互参照できるんですよね。だからある座標位置を狙いたいときは、hsc-mapを使って入力した座標に飛び(左上のビューから「座標を指定して移動」)、その位置がどのトラクトの何行何列目かを見ればその画像を解析できます。
ちなみにhsc-mapを見ればわかりますが、各トラクトの端の領域は隣のトラクトの端と重複しています。
この機能と、NASAのHorizons-systemなどで得た特定天体の日ごとの位置や
MPCheckerで得た、特定トラクトの特定時刻付近に周辺に位置する天体一覧などを使えば、狙った天体を解析することができます。彗星とかNEOとかTNOとかをこれ狙うのもありです。
さらに、HSC-Mapには決められた形式の座標ファイルを読み込ませれば、任意の位置に任意の天体を表示させることができるカタログ機能が搭載されています。
hscmapに1時間刻みの位置推算表をcsvファイル経由で入力してみた・・・
— mtnsuzuki (@mtnsuzuki) April 3, 2024
#COIAS pic.twitter.com/DG0MsvBVvb
こんな使い方も可能です。
#COIAS
— mtnsuzuki (@mtnsuzuki) April 17, 2024
位置推算表をhscMapに読み込む方法(Excel利用)
Find_orbで位置推算するとephemeri.txtというファイルができるのでそれを読み込む。
Excelを立ち上げ、開く→(Find_orbのフォルダ)ファイルの種類をすべてのファイルに変更→ephemeri.txtを選択→開く
画像1の設定で、次へボタンを押す。 pic.twitter.com/5Ldw1Wsy5d
#COIAS
— v..V (@W883_L780_D337) April 17, 2024
hscMap4のcsvファイルでのカタログ機能の利用方法 pic.twitter.com/j3OVUhYroV
既知天体のリカバリー
小惑星は1回の衝期間でしか観測されていないと軌道が不正確だけど、2回目の衝期間に観測が複数夜あるとリカバリーと呼ばれ軌道が劇的に良くなる。
— グランプリ地球にフリーパスの佐久呂 杏bot (@icigasu_shine) November 13, 2023
その期間の観測が1夜あり、あと1歩でリカバリーになる天体はリスト化されていて、COIASがリーチにしたのが2天体ある。https://t.co/7EcwskdI5g#COIAS
上のリストにあるのはNEOのリカバリーリスト。NEOやTNO等のレア天体でリカバリーが成功すればMPECに載ります。
NEO-rating
send-allでダウンロードした観測内容を貼り付けると、その天体がNEOである可能性を計算してくれるサイトです。65より大きいとNEO候補とされます。
解析画像の撮影時期
#COIAS Tips7
— グランプリ地球にフリーパスの佐久呂 杏bot (@icigasu_shine) August 2, 2023
・恋アスでも言ってた小惑星を探しやすい衝の位置に各撮影領域が来るのは、エリア1が秋でエリア2が春頃。おおよそその時期に撮られている。ただし例えばエリア1DeepAだと、撮影時刻がUTCで5時〜6時台が多いが、UTC-10hのハワイだと19時〜20時なので衝の位置を取るベストでは無い。
他の市民科学プロジェクトとの成果比較
$$
\begin{array}{|c|c|c|c|c|c|c|c|c|} \hline
プロジェクト & COIAS & DMP & IASC & cazasteroides&IceHunter&Hubble&AsteroidZoo&COSSS\\ \hline
既知天体報告数 & 65858 & 1307 & ? & 3700 &?& 670&?&14\\ \hline
未知天体報告数& 114105 & 1263 & 14583 & 760 &143?&1030&1344?&0\\ \hline
仮符号取得 & 1217 & 74 &114&?&143?&? &?&0\\ \hline
(上記うちTNO) & 144 & 0 &?&?&143?&?&?&0\\ \hline
確定番号取得 & 1 & 0 & 82&?&?&?&?&0\\ \hline
命名済み & 0 & 0 & 29&?&?&?&?&0\\ \hline
最終更新 & 24/6/6 & 24/5/31 &24/6/2&2020?&14/5/5&2020/7&17/10/3&23/4/15\\ \hline
現在の状況 & 運用中 & 運用中 &運用中&運用中?&運用終了&運用終了&運用終了&運用終了\\ \hline
\end{array}
$$
DMP・・・Daily Minor Planet,ソースはhttps://www.zooniverse.org/projects/fulsdavid/the-daily-minor-planet/talk/5639/3240057 でWAMOを基にしているためMPS等で公表されていないものも含む
IASC・・・Asteroid Hunting International Astronomical Search Collaboration、ソースはhttp://iasc.cosmosearch.org/Home/HallOfFame
IceHunter・・・ソースはhttps://en.wikipedia.org/wiki/New_Horizons#KBO_Search
cazasteroides・・・ソースはhttps://eu-citizen.science/translateProject/120
COSSS・・・Catalina Outer Solar System Survey ソースはhttps://www.zooniverse.org/projects/fulsdavid/catalina-outer-solar-system-survey/about/results なおプロジェクト代表のD.Fuls氏によると予算が付けば再開するかも(https://www.zooniverse.org/projects/fulsdavid/the-daily-minor-planet/talk/5639/3304551)?
Asteroidzoo・・・情報がないのでソースはhttps://reporting.asteroidzoo.org/のFailになっていないものを発見と見なした。情報の少なさはユーザーからも不満が出ていた。
Hubble・・・Hubble Asteroid Hunter、ソースはhttps://www.zooniverse.org/projects/sandorkruk/hubble-asteroid-hunter/about/results
COIASの既知天体・・・MPCに公表された天体の延べ合計数(36652+14782+14424)なので、COIASが発見して仮符号として公表された観測も(おそらく数%)含まれている。
なおDMP以外は未知天体中に、報告後既知と同定されたものも含まれる。
研究者向けのCOIAS発表資料
ここの2023年度・22年度の「発表プログラム・発表資料」から閲覧できます。他にも以下の通りがネットで閲覧できます。
https://www.nayoro-obs.jp/stellanova2021/slides/S4_Urakawa.pdf
https://confit.atlas.jp/guide/event-img/jpgu2022/PPS03-19/public/pdf
https://www-hou-usra-edu.translate.goog/meetings/acm2023/eposter/2109.pdf
https://www-hou-usra-edu.translate.goog/meetings/acm2023/pdf/2109.pdf
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