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既得権益を排し大胆な規制改革を行うことによって、経済の停滞から成長に

4 財政破綻を回避するための処方箋

② 既得権益を排し大胆な規制改革を行うことによって、経済の停滞から成長に

 第1章でみたように、1995年以降で一人当たりGDPを減らしたのは先進国では日本だけです。膨大な借金がある日本が財政破綻を招かないためにはGDPを上げ経済成長をすること、それにより税収を上げることが必要になります。
 そこで、1990年代初頭にバブルが崩壊して以降、日本経済が低迷している理由について考えていきたいと思います。

 1945年に日本は第二次世界大戦で敗戦し、東京・広島・長崎は焼け野原になりましたが、1955年から1973年までの高度経済成長期を経て、世界第2位の経済大国になりました。
 その大きな要因の一つは、日本の教育制度の特徴である読み書き算盤の基礎的学力が高いこと。そして時間や規則を厳しく守らせるという管理的な教育が、トヨタ自動車や東芝などの製造業での仕事に非常にマッチしたこということが言えるでしょう。

 しかし、マイクロソフトやGAFAなどIT産業が経済の中心になると、正解(お手本)があって、それをひたすらより完璧により安く作り上げるよりも、
 ・完全でなくても自由な発想やスピード
 ・優秀な頭脳を集める柔軟な報酬体系
 ・優秀な社員が活躍できる環境
を備えたアメリカや中国の企業が飛躍しました。
 更に日本が強かった製造業も人件費の安いアジアに製造現場が移り、エレクトロニクスの分野も中韓に技術が移管されたり盗まれたりして衰退しています。

世界の企業の時価総額ランキング

4.2時価総額ランキング

 このような日本経済の低迷を打開するために、2013年にアベノミクス「3本の矢」が発表されました。

第一の矢→大胆な金融政策:金融緩和で流通するお金の量を増やし、デフレマインドを払拭
第二の矢→機動的な財政政策:約10兆円規模の経済対策予算によって、政府が自ら需要を創出
第三の矢→民間投資を喚起する成長戦略:規制緩和等によって、民間企業や個人が真の実力を発揮できる社会へ

 第一の矢、第二の矢では、日銀に国債や株を買い取らせる一時的な禁じ手を使い、円高を食い止め株価もバブル後の最高値を更新してうまく行った面もあります。
 しかし、肝心の第三の矢の規制緩和による成長は実現できていません。
日銀は大量の国債を買い取るために、大量の日本円を発行しているため、早く今後の日本経済が成長できる姿を世界に示さないと、日本円が信頼をなくし、ハイパーインフレを招いてしまいます。そのためには成長を阻む既得権を排し大胆な規制緩和を実施しなければなりません。(日銀の国債等保有額は1992年末128兆円→2020年末495兆円に増加)

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