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消費税20%、利子課税30%、マイナンバーの活用で財政破綻を回避する

4 財政破綻を回避するための処方箋

③ 増税を考える-消費税20%、利子課税30%、マイナンバーの活用

 『少子高齢化対策』と『既得権益を廃して規制緩和を進めることによる経済成長』だけでは、2017~2019年に年平均35兆円もあった赤字(新規国債発行)の解消はできません。
 そこで、収入を増やす面から税金の増税について、欧米の制度と比較しながら見てみましょう。

4.3増税のメリデメ

(参考:財務省 わが国の税制 国際比較 より)

 消費税と預貯金の利子や株の売却益への課税については、日本は他の先進国と比べ税率が低いので、コロナ禍による景気への影響も見ながら税率を上げていけばいいと思います。

 所得税・相続税については、日本ではマイナンバーが活用されていないこともあり、税金をしっかり取れていません。マイナンバーを活用し税逃れをなくしていかなければなりません。

 1980年前後の所得税の最高税率は、日本は75%、アメリカは70%、イギリスは83%。また日本の相続税の最高税率は75%でした。その頃は労働組合が強くて中間層が分厚く、生活に余裕のある人も多くて、優しい社会だったように思います。
 しかし、労働者の権利が強く、規制の厳しい社会はグルーバル化する世界の中では企業の競争力が落ちます。特にイギリスの経済は長らく低迷していました。
 そこで、1979年に首相に就任したイギリスのサッチャー首相は、アメリカのレーガン大統領と共に新自由主義政策を進め、規制を緩め、個人の所得税や法人税を下げました。
 この政策は自由度を上げ経済を発展させた反面、格差を拡げていきました。
 「富める者が富めば、貧しい者にも自然に富がこぼれ落ち、経済全体が良くなる」というトリクルダウンが期待されましたが、巨額な利益を上げているグーグルやフェイスブックなどの大企業、個人の富裕層はタックスヘイブンを利用して富を貯めこむことで、富める者はより豊かに貧しいものはより貧しくなってしまいました。

 またアメリカでは、新自由主義政策により豊富な資金を得た企業や富裕層が、“軍事面でも経済面でも世界の超大国”であるアメリカ大統領を決める選挙に多額資金を提供し、影響力を増すようになりました。

強まる富豪の政治力
 米大統領選まで2週間を切り、両陣営の広告合戦が激化している。民主党のバイデン前副大統領は16日までの1週間で、トランプ大統領の約2倍のテレビ広告費を投じた。選挙戦を支えるのは上限が撤廃され青天井となった政治献金だ。大口献金者ほど強い影響力を持つ構図で、民主主義の理念が揺らいでいる。
 連邦選挙委によると、議会選向けを含めた全米の献金額は右肩上がりで増え続け、9月末時点で計150億ドルを超えた。08年選挙時の2.5倍で、過去最高だった16年選挙時も6割上回り、膨張が止まらない。
 特に多額の資金が流入するのはバイデン陣営だ。ウォール街の金融・投資関係者が豊富な資金力で他業種を圧倒する。
 トランプ氏だけでなく、金融業界に資金を依存するバイデン氏にも癒着の懸念が強まる。金権選挙に拍車がかかり、「1人1票」の民主主義の理念が損なわれつつある。
(日本経済新聞 2020年10月22日)

 このような選挙で選ばれたバイデン大統領ですが、利害関係者と調整しつつ中間層の復活を目指し、所得税・法人税の増税を計画しています。
 日本は、他の先進国よりも少し税率が高めなため増税は難しいかもしれませんが、アメリカのような格差による弊害を招かないためにも、マイナンバーを活用して、所得税・相続税・法人税をしっかり取っていくべきでしょう。

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