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国の予算を高齢者偏重から若者・少子化対策へ大胆にシフトする

4 財政破綻を回避するための処方箋

 第2章・第3章では、財政破綻が迫っているかどうか、肯定派・否定派の有識者の意見をみてきました。
 今後も特に否定派の方の意見を勉強していきたいと考えていますが、やはり日本のGDP比での借金の大きさや毎年の赤字の多さ、少子高齢化、将来的には電気自動車の普及などによる日本の産業を支えてきたメーカーの国際競争力の低下などを考えると、日本の政治・社会を”余程”大きく変えないと、世界から「日本の財政、円は信用できない」と見なされ、遠くない将来にハイパーインフレ・財政危機に陥るのではないかと思います。
(注 ここでは、ハイパーインフレ、財政危機も財政破綻と同じとして使用します)

 そこで、ここからは財政破綻を回避するための処方箋を提案していきます。対策としては、「1.日本の財政が破綻する3つの理由」で見てきたように、①少子高齢化への対策、②「国の借金」を増やさないための収支均衡への対策、③成長への対策(GDPを増やし税収も上げる)が柱になります。

① 国の予算を高齢者偏重から若者・少子化対策へ大胆にシフトする
 中流以上の高齢者には応分の負担をしてもらい、子育てに負担がなく若者の将来に不安がない社会にする。

〇年金制度
 高齢者も今若い人も、払込年金保険料(会社負担分も含む)×物価上昇率+αの受取額を保証する。
 高齢者は払込保険料に対して受取り額が非常に多いため、平均寿命時点で上記の金額になるように大幅に減額し、将来的に持続し財政的にも負担にならない年金制度にする。
(ただし、総資産・収入が少なく生活が苦しくなる高齢者には上乗せをする。欧米では既に普及しているマイナンバー制度で把握する。)

 私の家族のケースをお話ししますと、両親は80代で父は会社員をしていたので厚生年金をもらっています。特に年金額は多い方ではないはずですが、毎年黒字で貯金ができていたようです。
 最近は介護が必要になり収支は少し赤字になったようですが、介護保険で毎月27万円を限度として1割負担で介護サービスを利用できています。家族としてはありがたい限りですが、将来につけを回してこのような手厚い支給をしていていいのだろうかと感じます。

4社会保障費世代間不公平

(参考:学習院大学 鈴木亘教授 自民党・年金制度を抜本的に考える会での資料より)

〇医療・介護制度
 医療・介護費用は、高齢化率の増加とともに今後大幅に増えていくことが確実です。
 そこで高齢者の医療・介護費用負担も現役世代と同様として、原則3割負担にします。(これも資産・収入が少ない方は1~2割の負担に減額します)
 また、日本でよく行われている終末期の延命治療をなくします(希望者は10割負担で受けられる)。延命治療にお金を使って将来世代から借金をするよりも、若者に夢を与え自殺者を減らすことにお金を使うべきです。

 わが国の高齢者は、老衰や病気の終末期に口から物が食べられなくなると、当たり前のように人工栄養(点滴、鼻チューブや胃ろうからの経管栄養)が行われる。そのため高齢者の病院は人工栄養で生かされている何もわからない寝たきりの患者が多くを占めている。たんの吸引は苦しみを伴い、不快な人工栄養の管を抜こうとする高齢者は、手が縛られる。このような最期を本人が望むはずもない。
 ある外国人の医師が日本の病院を見学したとき、「日本には物言わぬ寝たきり老人がたくさんいる!」と驚いたそうだ。われわれが訪れた欧米豪には、「物言わぬ寝たきり老人」はいなかった。この20〜30年の間に欧米豪では、終末期の延命治療を控えるようになった。高齢者は人生の終わりが近づき食べなくなると、わが国のように無理に食べさせられることはない。
(「寝たきり老人」はいない延命治療を控える欧米の常識 週間東洋経済2018年8月4日号より)

〇少子化対策
 子供を持つことによる負担を軽減する。少なくとも金銭的な負担はゼロにする。
 産まれてから大学までの保育料や学校の費用をゼロにします(私立については上限あり)。専門学校や大学については、バウチャー制度にして一旦働いた後でも利用できるようにします。一方で天下りのための大学や存続のために留学生を連れてくるような大学は廃止します。
 また、学習塾や習い事、部活動の負担も大きいですが、欧米などの制度を参考にして負担を減らした方がいいように思います。
 児童手当を増額する
 学校費用以外にも子育てには多くの出費があるので、18歳あるいは大学卒業までは食費や生活に必要な額(月3万円程度)を支給し、金銭的な負担をゼロにする。
 反対に、配偶者控除や厚生年金の第3号被保険者制度など、結婚するだけで得られる優遇措置は廃止し、子育ての財源の一部とする。
 子供がいなければ社会は衰退するし、極端に言えば人間社会はなくなるので、子育て費用は社会全体で負担する。これにより、生涯独身志向の人や子供を望まない夫婦、LGBTsの人達も間接的に子育てに参加をすることになり偏見がなくなることを期待します。

〇外国人の受け入れ
 技能を持ち日本の文化を尊重する外国人を一定数積極的に受け入れる。既に若年層の人口が減ってしまっていること、また社会を活力のあるものにするためにも外国人の受入が必要です。
 タレントのパックンさんやプロ野球の王貞治さん、帰化した大相撲の鶴竜関、プロレスラーの長州力さん、ソフトバンクの孫さん、外国人ではないもののハーフのダルビッシュ有さんやSHELLYさん等々外国由来の方によって日本が元気になり活性化されています。有名人ではなくてもIT技術者などは貴重な戦力になります。
 今はまだ日本はアジアの国と比べて豊かで、治安も良く、アニメを見て日本に憧れや親しみを持った外国人も多いので(最先端の技術に憧れを持つ外国人がいなくなってきたのは残念ですが)、魅力が残っている内に早く外国人に門戸を開き、技術力や日本の文化に親しみを持つ外国人を受け入れるべきです。
 受入時には、技術力や日本語能力、日本の文化や歴史・ルールについてのテストをすれば、マイナスよりもプラスの方がずっと上回ります。

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