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一石二「鳥」クイズ その3
回答していくだけで野鳥に詳しくなれる&野鳥への愛が深まる、「一石二鳥」のクイズです。基本的に3択形式で、問題の後に解答と解説を記載しています。ご自身の回答をどこかにメモしながら、読み進めていただければと思います。
【一石二「鳥」クイズに挑戦いただく方へ】
・野鳥に詳しくない方にこそ野鳥に興味を持ってもらえるように、という思いで作成しました。もちろん、詳しい方にもチャレンジしていただけたら嬉しいです。
・書籍やインターネットで知りえた情報をもとに紹介しています。参考にした書籍やURLなどは記載していますが、内容によっては諸説あることをあらかじめご了承いただけますと幸いです。
・このクイズは正解数の多寡に関わらず、公に野鳥の知識を保証するものではありません。野鳥に関するトリビアとしてお楽しみいただけたらと思います。
【問題編】
Q1 暖かい地域の鳥は、寒い地域のよりもくちばしや脚が大きい傾向があります。その理由はなぜだと考えられているでしょう。
↑オニオオハシ。熱帯雨林に生息する
(Domingo TrejoによるPixabayからの画像 )
①くちばしや脚は羽に覆われておらず、熱を放出しやすいため広い面積にすることで体温を調整しやすくしている
②暖かい地域では、大きい食べ物が多いため、食べるのに使うくちばしや脚が大きくなる
③くちばしは骨の一部であり、暖かい地域にはカルシウムを含む食糧が豊富だから
Q2 あなたがもし、粉々に砕けた野鳥の卵の殻を道端で見つけたら、それは何を意味しているでしょうか。
①何らかの事故に遭ったか、天敵に食べられてしまった
②親鳥が卵を巣から放り出して捨てた
③ヒナは無事に生まれた
Q3 あるハヤブサの仲間は、頭部のどの側面を見ても「眼」があるかのように黒い斑点があります。なぜだと考えられているでしょう。
↑アメリカチョウゲンボウ。後頭部に「眼」のような黒い模様がある
(Frank MagdelynsによるPixabayからの画像 )
①敵に狙われにくくするため
②獲物がどの方向に逃げたらいいのか惑わせ、捕まえやすくするため
③オスのほうが斑点が大きく、大きいほどメスにモテるため
Q4 ペリカンは大きなのど袋を持つのが特徴的な鳥です。こののど袋は、たくさんの魚を「運ぶ」ためだと思われていますが、実はそうではありません。では主な役割は何でしょう。
↑カッショクペリカン
(Egor ShitikovによるPixabayからの画像)
①魚をよく味わってできるだけ多くの栄養を吸収するため
②メスにアピールするときに使う
③水中でたくさんの魚をすくい取るため
Q5 ペリカンののど袋には、最大でおよそどのくらいの水が入るでしょう。
↑ペリカン。下くちばしの下部にのど袋がついている
(NickyPeによるPixabayからの画像 )
①5リットル
②8リットル
③11リットル
【解答編】
Q1 暖かい地域の鳥は、寒い地域のよりもくちばしや脚が大きい傾向があります。その理由はなぜだと考えられているでしょう。
①くちばしや脚は羽に覆われておらず、熱を放出しやすいため広い面積にすることで体温を調整しやすくしている
②暖かい地域では、大きい食べ物が多いため、食べるのに使うくちばしや脚が大きくなる
③くちばしは骨の一部であり、暖かい地域にはカルシウムを含む食糧が豊富だから
解答 ①くちばしや脚は羽に覆われておらず、熱を放出しやすいため広い面積にすることで体温を調整しやすくしている
解説 あくまで「傾向」なので、暖かい地域=大きいくちばしと脚、というわけではありませんが、生きていく上で適応したと考えられています。
例外として、ニシツノメドリ(Puffin、パフィン)という鳥は北極海などの寒いエリアに分布しますが、くちばしが体の割に比較的大きいです。生存には不利なはずですが、理由は分かっていません。
Q2 あなたがもし、粉々に砕けた野鳥の卵の殻を道端で見つけたら、それは何を意味しているでしょうか。
①何らかの事故に遭ったか、天敵に食べられてしまった
②親鳥が卵を巣から放り出して捨てた
③ヒナは無事に生まれた
解答 ①何らかの事故に遭ったか、天敵に食べられてしまった
解説 殻の割れ方は、何が起きたのかを知る手掛かりになります。例えば下記のようなものです。
・2つに割れている:ヒナが無事に生まれたことを意味する。親鳥は天敵にヒナが襲われないよう、ヒナがいることの証拠になる殻を巣から持ち出し、巣の近くではなく遠くに捨てに行きます。
・小さな破片や粉々に砕けている:残念なことに、事故に遭ったり天敵に襲われたことを意味します。卵の中身だけを食べ、殻はその辺に置いていきます。鳥の仲間や小さな哺乳類などが卵を食べます。
Q3 あるハヤブサの仲間は、頭部のどの側面を見ても「眼」があるかのように黒い斑点があります。なぜだと考えられているでしょう。
①敵に狙われにくくするため
②獲物がどの方向に逃げたらいいのか惑わせ、捕まえやすくするため
③オスのほうが斑点が大きく、大きいほどメスにモテるため
解答 ②獲物がどの方向に逃げたらいいのか惑わせ、捕まえやすくするため
解説 この偽物の眼によって、獲物となる生き物は「見られている(狙われている)」と感じてしまったり、チョウゲンボウがどの方向を向いているのかが判断できないために、どの方向に逃げたらいいかを分からなくするメリットがあると考えられます。
小型のタカやハヤブサは、自分よりも大きな獲物を捕らえることがあり、この偽の眼はそれにも役立っているのでしょう。
Q4 ペリカンは大きなのど袋を持つのが特徴的な鳥です。こののど袋は、たくさんの魚を「運ぶ」ためだと思われていますが、実はそうではありません。では主な役割は何でしょう。
①魚をよく味わってできるだけ多くの栄養を吸収するため
②メスにアピールするときに使う
③水中でたくさんの魚をすくい取るため
解答 ③水中でたくさんの魚をすくい取るため
解説 ペリカンは水面の上空から魚を探しながら飛行し、たくさんいそうなスポットを見つけると頭から突っ込みます。その時、口は開いた状態。下あごの縁が湾曲し、袋部分が風船のように広がって、大量の水と一緒に魚をすくい取ることができるのです。
魚が逃げてしまわないように上あごを閉じ、ゆっくりと頭を上げ、上下のくちばしの隙間から魚が逃げないように水を排出します。
全ての水を出し切ったら、頭をひょいと上げることでのど袋の中の魚を浮かせて飲み込みます。
一度この一部始終を実際に見てみたいですね。
Q5 ペリカンののど袋には、最大でおよそどのくらいの水が入るでしょう。
①5リットル
②8リットル
③11リットル
解答 ③11リットル
解説 Q4の出題と関連しますが、ペリカンののど袋には11リットルもの水が入るそう。2リットルペットボトルにして5.5本分ですね。
【一石三鳥な情報】ペリカンと殺虫剤
ペリカンと殺虫剤、一見何の関連性も内容に思えるかもしれませんが、実は過去には悲しいことがありました。
アメリカで強力な殺虫剤(DDT、虫の数をコントロールするためのものだった)が広く頒布されていた1950~60年代の影響で、ペリカンの数は一時期減少しました。ペリカンが食料にしているのは魚ですが、魚が食べる虫(死んで海水を漂っているものなど)に殺虫剤の成分が含まれていると、食物連鎖の過程でより密度が高くなり、魚を食べるペリカンに多大な影響を与えてしまうというわけです。
DDTという殺虫剤は、カルシウムに影響します。そのため汚染されてしまった鳥は卵の殻(=カルシウムで作られる)が脆くなり、孵化させようと温める際に殻が割れてしまいます。結果として、個体数の減少につながってしまったのです。
DDTの使用は1972年に禁止され、アメリカの南海岸では再び野生のペリカンの姿を見られるようになったそうですが、人間の都合で作ったものが生き物を犠牲にしていることがよく分かる例です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
【クイズ作成に参考にした書籍】
WHAT IT'S LIKE TO BE A BIRD
この本のレビューはこちらで紹介しています。
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