19-事例3


 

四十歳の女性のクライアントさんの事例です。仮に彼女を佐藤さんとします。

佐藤さんは今まで三回の結婚をして、今は三人目のご主人と暮らしてらっしゃるのですが、今までのご主人が全てギャンブル、借金、暴力と三拍子そろっていたのです。さらに結婚する前に付き合っていた二人の彼氏も同じような人で、つまり五人続けて暴力や借金に苦しめられてきました。


しかも、今の旦那さんが一番ひどく、ほぼ毎日パンチ。さらには半年前にはあごの骨を折られて、二か月入院をしなければいけないくらいの暴力を受けていたのです。もうそこまでいっていますから、二回も警察沙汰にもなっていますので、スムーズに離婚届は出せているのです。しかし、ご主人がヒモ状態になっていますから、家から出て行こうとしません。


彼女は彼女で、自分で商売をしていますから、自分が出ていくわけにもいきません。「いい加減に出て行ってよ!」と言おうものなら、殴る蹴るが始まる。もうどうにもならなくなって、当方に相談に来られました。


彼女は、「どうしてこんな男ばかりに引っかかるんでしょうか。新しい彼を見つけるたびに、この人なら真面目そうだし、優しそうだから大丈夫、と思ってもそれは最初の三カ月だけ。しばらくすると仕事をしなくなる。借金が発覚。ギャンブルにはまりだす。それを責めると暴力。もう本当に嫌なんです。私に何か原因があるんでしょうか。」と、疲れ切った表情です。


セッションを続けていくうちに、なぜ彼女がそのような男性ばかりと縁が出来るのか、その原因が明らかになり始めました。

彼女は前世で七回続けて、武士や兵士ばかりをやっていました。しかも、とてつもなく強かったようで、戦のたびに功績を上げ、どんどん出世をしていました。功績をあげたということは、たくさん人を殺していたということですよね。


しかし彼女は「俺はとても強いんだ! みんな俺のことを尊敬してるんだ! 俺はすごいんだ!」と反省もなく、とても傲慢な男になっていったのです。しかもそれを七回もの人生で繰り返していました。


七回目の人生も同じようにやっていたのですが、その人生では最期に、一番信頼していた部下から殺されてしまいました。その時にハッと思ったんですね。「俺は尊敬されていると勘違いしてたんじゃないか。こんな傲慢で残忍な自分なんか、実はみんな軽蔑してたんじゃないか。嫌ってたんじゃないか。」とやっと気づいたんです。

 

そして、「こんな自分ではだめだ。次の人生では人の痛みが分かる、優しい自分にならなくちゃ。そして、今まで沢山の人にご迷惑をかけてきたから、今度は苦しんでいる人を助けられる自分にならなくちゃいけない。」と思って生まれてきていたのです。

 

では、人の痛みが分かる自分になるためには、どんな体験が必要になるでしょう。

先程の事例一の田中さんと同じです。自分が痛い思いをする必要がありますよね。ですから彼女はご主人たちに「私に痛みを教えて」とお願いをして生まれてきていたのです。自分がお願いをしていたんだ、ということを思い出したのです。

その瞬間、彼女は泣きながら「ありがとう」に変わっていました。

 

私 「あなたがみんなにお願いをして生まれてきてたんだね。」

佐藤「そうです(涙)。私がお願いをしてました。」


私 「そのことについてどう思う?」

佐藤「今まで私は被害者だとばかり思ってました。実はそうではありませんでした。私が、どうしようもない自分だったから、みんなにお願いをして生まれてきたんです。」


私 「では、お願いされたご主人たちは、どんな気持だっただろう?」

佐藤 (号泣)


私 「あなたの願いを聞けば、自分の人生が台無しになる可能性だってあったんだよね。実際に今のご主人はあなたへの暴力で、警察に二回も捕まっているもんね。」

佐藤「はい、そうです。」


私 「そのリスクを背負ってでも、あなたの望みを聞いてくれたご主人たちに何て言いたい?」

佐藤「本当にごめんなさい。ありがとう。」(号泣)


私 「そうだね。」

佐藤「はい。」


私 「そして、あなたは痛みを通じて、優しさを身につけようと思って生まれてきてたんだね?」

佐藤「そうです。」

 

私 「では、まだあなたには『痛みを通じて』という前提条件は必要なの?」

佐藤「いえ、もういりません。」 (彼女にとって、痛みを通じて学ぶ、という前提条件が教科書だったのです)


私 「もういらないよね?」

佐藤「はい。もういりません。痛みは充分体験したし、それによって優しさも少しは身につきました。そして、苦しんでいる人を助けたいというのも、出来つつあります。ですから、もう痛みを通じてという前提条件は必要ありません。」 (彼女は虐待児を助けたいと、既に活動をやり始めていたのです)


私 「では、手放しなさい。」

佐藤「はい、手放します。」(涙)


彼女は自らに「痛みを通じて、優しさを身につける。」という課題を課して、生まれてきていました。そして、自分に痛みを与えてくれるように、ご主人たちにお願いをして生まれてきていたのです。そのことに気づいた瞬間、全ての意味が解かりました。全ては自分が望んだことだったことを、思い出したのです。全てが感謝に変わりました。そして、教科書を手放すことが出来たのです。

 

その日の夜から、ご主人の暴力はピタリとやみました。ご主人に何かを言ったわけでもなく、ご主人のセッションをしたわけでもありません。ご主人も彼女との魂レベルの契約から解放されたのです。


先ほども申しましたが、決して暴力やいじめを肯定しているわけではありません。そこには、前世からの深い理由と、魂レベルの契約が存在している場合が多いのです。そこを明らかにして、解消することで、根本的な解決に至ることができます。


佐藤さんの場合もそうでした。「優しい彼が欲しい」と言いながら、無意識に暴力的な男性を選んでいるのです。それは、「痛みを通じて学ばなくてはいけない」という魂レベルの思い込みが、彼女の中にあったからです。

その課題を自分に課したままだと、次の旦那さんも暴力を振るうことになるでしょう。お互いの悲劇です。

課題を課した原因を明らかにして解放することで、人生の流れが大きく変わるのです。

 

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