20-第三章 なぜ問題が発生してくるのか
では、出来事や人生のストーリーは、何に基づいて起きているのか。
そこにはとてもシンプルで、簡単明瞭な人生の法則が存在しています。それに基づいて物事を考えていくと、実に見事に答えが見つかってきます。
全ての出来事は、「私がなりたい私になるために、私が望んだ素晴らしい出来事」なのです。つまり、物事は「どういう自分でありたいか」に基づいて起きてくるのです。
ここからは、当方でのセッションの前半の実際のやり取りを、会話形式で再現したいと思います。ごく一部ではありますが参考になれば幸いです。
小野さん(仮名 二児の母 三五才)は自分に自信がなく、いつも不安とイライラを抱えてご相談にいらっしゃいました。彼女は、小さいときから両親の仲が悪く、そんな両親の元で、自分の気持ちを言えず、甘えることも出来ませんでした。そんな両親に対して、ずっとどこかに怒りを抱えていたのです。そして、大人になって、大切な人にも自分の気持ちを素直に表現することが出来ず、漠然とした寂しさやイライラ、不安感を抱えていたのでした。可愛いわが子に対しても、ついついイライラして感情的になったりしてしまうのです。そしていつも人の目が気になっているのでした。
では、その彼女とのやり取りの一部を元に再現いたします。
読者の皆様にわかりやすいように、脚色をしておりますので、その点をお含みおき下さい。
私 「ところで、小野さんはどういう自分になりたいですか?どういう自分でありたいと思っていますか?」
小野「ん~。人のことを気にならなくなりたいです。」
私 「人のことを気にしない自分になりたい。そして?」
小野「ん・・。これ! と思ったことに一生懸命になりたい。」
私 「そう。人のことを気にせず、自分の信念を貫くということかな?」
小野「はい。」
私 「他に何かありますか?」
小野「えっと、自分に自信がないんです。」
私 「自信が持てないんだ。だから信念が持てないのかな?」
小野「そうなのかもしれません。」
私 「そう。自信を持ちたいんだね。そして・・?」
小野「人に愛情をあげる側になりたいし、子供を純粋に愛したいです。」
私 「素晴らしいね。愛情をいっぱい与えられる人になりたいの? 子供も素直に可愛がってあげたい?」
小野「はい」
私 「ではその愛情を実際に与えることができるためには、さらに何が必要だと思いますか?」
小野「ん・・・・。変な言い方かもしれないけど、余裕?」
私 「そう、余裕ね。それ必要ですよね。他には?」
小野「思いやりと優しさが足りないような感じがします。」
私 「そう、思いやりと優しさも必要ですよね。さらに、実際にそれを実行しようとすると、勇気も必要だね。どう思いますか?」
小野「はい。必要です。」
私 「そうだよね。じゃあね、思いやりがあって、優しくて、自信があって、余裕があって、勇気があって、人を気にせず信念を貫く、そういう自分でありたい、と思っているんだよね。他に何かありますか?」
小野「それと、どうしても許せない人がいるんです。毎日のようにその人のことが頭をよぎるんです。」
私 「それはきついよね。いじめにでもあいましたか?」
小野「そんな感じです。今でも頭をよぎって、イライラしたり不安になったりするんです。」
私 「辛かったり悔しかったりしたんでしょうね。だから今でも忘れられないんだ。では、その出来事を許すことができたならどうだろう。」
小野「でも、それって難しいです・・・。やっぱり許せない人はいます。」
私 「そう。難しいよね。でも、もしできたらどうかな?」
小野「ん・・。とても楽になれそうです。」
私 「そうだよね。自分が楽になれそうだよね。許せない人のために、自分が苦しい思いをするなんてバカらしいよね。」
小野「確かにそうですね。」
私 「では、思いやりがあって、優しくて、自信があって、余裕があって、全てを許して受け入れることが出来て、勇気があって、人を気にせず信念を貫く。そういう自分になれたなら、どういう人生になりそう?」
小野「パッと思ったのが、しっかりして明るい人生。」
私 「そう。しっかりした明るい人生になったならば、さらにどうなりそうかな?」
小野「充実して楽しそう。」
私 「そうだよね。充実して楽しくて、明るくイキイキとした人生が送れそうだよね?」
小野「はい。」
私 「じゃあね、こういう人生って、一言で言うとどんな人生?」
小野「・・・・。幸せ?」
私 「そう。幸せになるよね。あなたは一番この『幸せ』が欲しいでしょ?」
小野「はい!」
私 「そうだよね。しかも最高の幸せを望んでいるよね。」
小野「はい! でも幸せと思っているところもあります。」
私 「そう。ご主人もいて、可愛いお子さんもいて、幸せなところも沢山あるけど、あなたが欲しがっているのは『最高の幸せ』だよね。しかし、今はそうではないから、そこに悩みが発生してきているんじゃないかな?」
小野「そうです。」
私 「しかし、自分に思いやりがあって、優しくて、自信があって、余裕があって、勇気があって、人を気にせず信念を貫く、そして全てを許して受け入れることが出来たら、充実したしっかりとした人生になって、明るくイキイキとした自分になれそう。そして最高の幸せが手に入りそう。というのが分かっているんだよね。『幸せ』になる方法を分かっているんだ。」
小野「あ、そうですね。」
私 「実はこれがあなたの今回の人生の目的なんだよ。こういう自分になること。それがあなたの今回の人生の目的。(図15)
ほとんどの人が人生の目的を知りたいとセッションを受ける動機に書いていらっしゃるんだけど、実はみんな人生の目的は分かってるんだ。『あなたは、どういう自分になりたいですか?』と聞くとほとんどの人がちゃんと答える。実はそれが人生の目的なんだ。
しかし、ほとんどの人がそれを人生の目的だと思っていない。『人生の目的』と言われると、『どんな仕事につくかとか、何を成し遂げるかとか、どこまで出世するかとか、どれだけ稼ぐか、名誉が得られるか』そんなことを目的だと勘違いしている。実はこれは手段とオマケなんだよ。
『夢を実現する』というと、裕福になるとか出世するとか有名になるとか、そういう話になっている。確かにそれも素晴らしいし、うらやましい部分もあるけども、本来の目的はちょっと違うとこにあると思う。
仕事や勉強、人間関係などは手段。そして、名誉や地位やお金はオマケ。しかしほとんどの人が手段やオマケを目的だと勘違いしている。
そうではなくて、仕事や、そこに生じる人間関係など様々なものを通じて、いま小野さんが言ったような自分になろうとしている。実はそれが『目的』なんだと思う。しかし、ほとんどの人が、目的と手段、オマケがひっくり返っている。だから、わけが分からなくなっている。でも、それは仕方ないと言えば仕方ない部分もある。みんなそういう教育を受けてきてるからね。例えば小野さんも、小さいときに『将来の夢は?』と何度も聞かれたよね? なんと答えてましたか?」
小野「看護師さんとか、先生とか・・・」
私 「ね? 職業を答えていたでしょ?」
小野「うん。そう。確かに。」
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