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うつけもの、髪をどうにかしたい。

髪。



髪という字を見るたびに思い出す。

小学生の頃、国語の授業で【髪】の漢字を習った。
「髪という字は『長〜い友だち』と覚えてください。」

昔こういうCMがあったんです。と先生は得意げに言いながら黒板に大きく、
かみかんむりの下に友の文字を書き上げた。


髪。


なるほどたしかに覚えやすい、と感心した思い出がある。
そこから一度も髪という字を間違ったことはない。

その教えがなければ今頃【髪】と【髭】の二者択一を間違えたり間違えなかったりする人生だったように思う。
アベレージとアドバンテージ然り、加藤あいと阿藤快然り、まなとかな然り、
この世には似たような名前でも全然違う意味の言葉が多い。

ちなみにこの授業を担当していたのはK島という教師だった。
このK島、なかなかの曲者である。

小学校6年生の担任で、当時30代後半〜40代前半くらい。
K島は中肉中背で短髪、眼鏡をかけていて瞳の奥には光がなく宇宙が広がっていた。
当時、クラスはこのK島の恐怖政治により独裁政権を強いられていた。

教科書を生徒に投げるわ生徒を黒板に叩きつけるわ。
今考えればかなり問題になりそうな教師だった。

K島一番のエピソードは、タバコの害についての授業で、実際に自身がタバコを吸い、それを見せるというものだった。
しかも教室で。

奇行も奇行。
そして小島は非喫煙者だったのだろう、
とても苦しそうな顔でタバコを吸っていたのを覚えている。
俺たちは何を見せられていたのか。

翌日、小島は風邪を引いて休んだ。
当時どのような教育理念を小島が持っていたのか、
なぜこの授業が完遂されたのかは謎だ。

当時からほうけ者だった俺は小島に目をつけられ、毎日何かしらを理由にみんなの前で叱責されていた苦い記憶がある。

何をするにも目の敵にされていたが、
体育の授業でサッカーのミニゲーム中、俺の蹴ったクリアボールが小島の顔に吸い込まれていったことで一矢報いる。

クラスを共に過ごした親友とは今でもK島の話で盛り上がれるので
結果良い思い出に昇華された。



だいぶ話は逸れたが、髪についてのこだわりを話したい。

そう、だいぶ長く付き合ってきた頭の上のこいつなのだが、未だに扱いが難しい。
こいつは生まれてこの方、美容室に行って100点満点の満足を感じたことがない。
決して今までのスタイリストがこいつを上手く調理できなかったわけではない。
単純に理想が高すぎるのだ。

お前よ、ヘアカットも恋人も理想は程々にしろと。
ただ、自分の髪質・量・骨格・生え癖、どれをとっても難易度Sランクだと自負している。

その上で発見したことなんだけど、美容室より理容室が良い。
これは自分の剛毛多量な髪質に関してだが。
まずは量感を減らしてもらい動きが出るようにしたい。軽めでいい。
そうした自分の理想とするヘアスタイルは男性の髪を扱い慣れてるbarberの方が上手い。

そしてスタイリストは男性にお願いしたい。
偏見だが、女性はふんわりしたナチュラル系に仕上げてくれる気がする。
女性が好きな男性の自然なヘアスタイルみたいな。

ただ俺が欲しいのはスタイリング剤で毛束がしっかりまとまったツヤ感スタイル。

仕上げ時に少量のスタイリング剤を毛先にちょっと付けて少し揉み込んだ後「気になるとこありますか?」ではダメなのだ。
ガッツリ付けて欲しい。一缶使い切るまで塗りたくって欲しい。
風に吹かれて終了するようなスタイリングはあっさりしすぎてて好きではない。
スタイリング剤なんか塗れば塗るほど良い。

ただ、学生時代に行った美容室で担当してくれた女性スタイリスト。
後ろから俺の頭を抱き抱えるように前髪をカットした際、後頭部にふくよかな質感を感じた。
あれは良い。あの時はカットの値段以上のものを感じられた気がする。


まぁつまり期待が高い。
そのためベストマッチする美容室を探して毎度違うお店に新規で入るも満足しなくて、また新しいとこにいっては消化不良で…のサイクルだった。


そんな折、セルフカットするに至る。


これ、もう自分で切ろうかな、と。
自分で切った方が納得いくべ、と。

そう、何を隠そう俺は美容師免許保持者。
美容専門学校を卒業し湘南の美容室に就職するも2年で辞めた美容師崩れの成れの果てである。
そのため髪の切り方は心得ている。

ただまぁ人の髪を切るのと自分の髪を切るのは全く思い通りにならないよな、と思い実行には移してこなかった。
だが、いつもの如く美容室に行った帰りに満足いってない箇所を自分で切ってからというもの、ここ2年くらいは自分で切ってて美容室に行っていない。
セルフカット。
もうセルフカッター金城。

趣味:セルフカット
特技:セルフカット

オーディションとかでもたまに言ってる。
食いつかれるが、さほど興味は長く続かない。
「じゃあやってみせてください」
とはならないからか。


セルフカットは一日にして成らず。
一回で切り終えるのではなく、「まぁこんなもんか」くらいで終わるのがミソ。

そして次の日スタイリングしてる時に「あー、ここもうちょっとこうしたい」って思ったところをその日の夜に切る。次の日スタイリングする時に気になるとこがあれば…と。これを数日間繰り返し完成に至る。
満足行くまでこの作業は終わらないため、一週間くらいちょこちょこ切ってようやく終わる時もある。

セルフカットをする理由として、東京のカット代の高さもある。
いや、東京って美容室の施術代高くね。
カット5,000円て。
ブッフェ行けるわ。
だがさすがメトロポリス東京。
技術も高いわけだ。あと場所代とかそんなんだろう。

とにかく高い。
いやこんなこと言うとケチ臭いけど
地元沖縄なら3,000円でもかっこよくカットしてくれるお店があるわけだ。

いや、わかるよ?
地方と比べるのが間違ってる。
わかるよ、わかる。でもここ舞香ん家だから。

この差額2,000円の差を諦められない。

それもあって自分で切るという選択をとってるわけだ。

お金も浮くし、自分で切ってるから上手くいかなくてもまぁ許せるべ、と。

しかもしかも、これが結構上手くいくのだ。
生意気だけど、ベリーショートなら
「どこに動かしたいか」
を考えて切るだけで、そこまで難しくはない。

どうせスタイリングするしそこまで神経質に切らなくても余裕だ。

まぁそんなこんなで自分で切るのってメリットしかないじゃん、と。
しかも切ってる時間をめんどくさくも思うけどそこまで嫌いじゃない。



ただね、切ってる最中ってパン1なので寒い。
冬は特に浴室が冷える。
そのため、たまにシャワーを出しては湯に当たって体温が下がらないようにする。
なんなら出しっぱの時もある。
そんなこんなで1時間〜2時間夢中になって切ることもあるから
ガス代が一人暮らしなのに1万超えてたよね。

美容室ケチってガス代で倍かかってた。

たっはー。

美容室行こ。




fin.


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