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公用車広告⑤~オンブズマンX氏から指令。事業の背景調査と怒涛の情報公開請求

まずは議事録で事業導入の経緯を調べる

 驚いたのは、協力依頼した次の日にはもう、千葉県市民オンブズマン連絡会議のX氏から指令が届いたことだ。
①市議会の議事録で「公用車広告事業」の市の提案内容、議員との質疑内容を調べる。2018年9月の定例会との情報あり。
②船橋市の「主要な成果に関する説明書」(年1回のレポート)に、この事業が記載されているかチェックする。
③公明党のH議員が、公用車広告は私が提唱したと言っているようだ。それが事実か否か。
④情報公開請求をする。

 す、すごい情報収集力! オンブズマン、恐るべし。

 要するに事業の概容をつかみなさい、ということだ。②は全然意味がわからなかったが、事業の規模を把握するために必要な調査だったらしい。これはX氏がやってくれたが、船橋市では広告事業は事業という格に至っておらず、その収入も雑収入という位置づけであることがわかった。

 ①と③については、X氏の情報にあったとおり、2018年9月の定例議会の議事録に記録があり、確かにH議員は千葉県松戸市の例を挙げて「公用車広告をやりましょう」と提案していた。またその発言を受けて、財産管理課の上部組織、企画財政部のS部長が以下のように答弁していた(骨子)。

「平成30年(2018)8月の松戸徹市長を本部長とする行財政改革推進本部で、広告事業を積極的に推進することが決まった。その、財源確保に向けた取り組みのなかで、公用車広告事業の検討&準備を進めている。
 他市の事例では月3000円の広告料を設定しているところが多い。現在広告代理店に聞き取り等を実施して、有効と考えられる様々な手法について検討している」

 つまりこの事業は、松戸徹市長が推進している「メディカルタウン構想」という、新しい街づくり計画のための資金作りの手段であることがわかった。またこの事業と公明党がつながっていることも、うっすらわかった。
 ちなみに閲覧者の方々には、太字部分を覚えておいていただきたい。

人生初の情報公開請求は、驚きの連続

 ここからは人生初の情報公開請求について熱く語りたい。
 
 X氏の指示は非常に濃やかだった。請求するのはとりあえず「事業の起案書」「入札調書」「契約書」。申請書類のあて名は市長、もらう文書は「写し」の欄に丸。「開示文書を受け取る際、わからないことがあれば、その場で聞けばよろしい」。 

 なるほどなるほど。なんとなく流れがシュミレーションできた。請求初挑戦の人間には、本当にありがたかった。

 どうせ請求するならと、公用車広告だけでなく、広告代理店を使っている他の8つの広告事業についても情報公開請求することにした(プロフィール欄参照)。市の広告事業の全体像が見えなければ、公用車広告の本質はわからないと思ったからだ。

 X氏の指示ではない。良くも悪くも、それが私の性分なのだ。しかし…。

<学んだこと>

●欲張ってはいけない。
「起案書、入札調書、契約書など、予算執行から契約締結に至るまでのすべての文書。および広告主の審査記録」的な欲張りな請求の仕方をしたために、文書の量が膨大になってしまったのだ。白黒コピー1枚10円、計3万円近く払った。文書をそろえる職員も大変だったに違いない。

 X氏には「受け取るとき、これはいらないと言って、その場で返せばよかったのに」と笑われたが、各部署が持ってくる、厚さ30センチもある書類の束を一枚一枚チェックするなんてできません! ゆえに家に帰って文書を整理するのに、大変な時間がかかった。

いったん払ったお金は返ってこない。
 文書を整理したら、いらない書類、重複した書類が出るわ出るわ。嫌がらせ? と思うほどだったので、法務課の情報公開係に電話をして、「いらない文書は返すので、お金を返してほしい」と言ったが、「できません」と断られた。

広告主の審査記録は、請求の仕方に工夫が必要。
 イメージは審査結果が記された一覧表だったが、出てきたのはただの広告紙面のコピー。職員がチェックした痕跡もない、30社あったら30枚のただのコピー。
 請求するときは「広告主の審査記録」ではなく、「広告主の審査結果の一覧表」もしくは「審査結果がわかるもの」とすればよかった。財産管理課は頼んでも広告主の一覧表をくれなかったから、一覧表はそのコピーを見ながら自分で作った。

●できるだけ具体的な文書名を挙げる。
 情報公開請求するときは、文書名が明確だと間違いがなくなり、自分にとっても職員にとっても仕事が楽になる。
 またそのためには、その事業がどういうステップを踏んで実行に至るのか、調べることが大切だ。事前に情報公開係の職員に調べてもらってもいいかもしれない。

●重要な書類が隠されることがある。
 上記ステップがわからなかったので、必要な書類が、実は意図的に隠されたことに気づくのが遅くなった。たとえば事業計画書や概算見積書は重要な文書だが、それがないことに気づくのが遅れたのだ。

 さて、請求を受けて市が書類を調える期限は2週間。もし間に合わなければ最大60日が期限だと情報公開係の職員から説明を受けた。財産管理課は2週間で書類を調えたが、その他の商工振興課、駅前総合窓口センター、広報課は60日時間がほしいとのことで、結局すべての事業の文書がそろったのは、2か月後の2020年12月26日だった。

※地域子育て支援課のパンフレットは、広告代理店が作って市に寄付したものとわかったため、代理店と交わした協定書だけ受け取り、それ以上は調べなかった。しかしこれもパンフレットに載っている広告主の審査はしていないとのことだった。

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