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今日で4年

「ワールドの翌日?当然練習だよ。来年のワールドに向けて練習するよ」

これは柔術魂か何かのインタビューで当時ハファエル・メンデスが言った言葉で、すごく感銘を受けたのを覚えている。

うちの祖父が実業団の卓球の監督としてチームを全国優勝に導いた話を聞いた時も同じ事を言っていた。
「盆も正月も試合の翌日も関係ない。毎日練習しなきゃ勝てない」

なので自分も当時ワールドで負けて帰って来た時、毎年その足で道場に向かい練習した。勿論時差ぼけも旅の疲れもあるからそこまでハードにはやらなかったけど、とにかく練習をした。

世界一の人間が世界一の練習をしているのに、世界に片足も突っ込んでいない自分がそれより練習してなければ勝てるわけない。そんな気持ちだった。

怪我をしたら練習休みますよー。

大きな試合終わったんで気持ちをリフレッシュさせるために練習休みますよー。

オーバーワークは気を付けないとねー。

根性論じゃ強くなれないよー。

もっと理論的にいかないとー。

これは一般論としては正解。でも世界レベルになる人間はどこか頭のネジが飛んでいる人が多い。そして本当に強くなる人って、例え理論的には間違った練習方法だったとしてもそれすら強さに変えていける人だと思う。

だから根性論の練習が必要だと言うわけではなく、頭のネジが飛んでいる人が本当に狂ったように練習してると結果的に根性論の世界になってくるという感じかな。なので学校の部活とかで強制的にやらされる練習は、また違うと思う。

当時の自分の身近な存在として最上級の狂気を身にまとった柔術家が吉岡大さんだった。吉岡さんは本当に柔術に対して狂人だった。あれほどの熱量を20年もの長きに渡って持ち続けた人を他に知らない。どんな怪我をしても練習を休まなかったし、大雪だろうと台風だろうと必ず道場にいたし、東日本大震災の当日ですら練習しようとしていた。

そんな吉岡さんと身近に接することで、世界で勝つためにどれ程の熱量を持たなければいけないのかを身をもって教えてもらえた。自分自身は内面の狂気のレベルとしてはそこまでトップクラスではなかったけど、吉岡さんの真似をすることで少しでも近づこうと努力した。そのおかげで自分みたいな29歳で柔術を始めた特別な才能がない人間でも、ある程度の結果は残すことが出来た。

そんな吉岡さんが亡くなって今日で4年。

もう4年か。早いものだ。

故人を偲ぶ時に自分の命のことも考えてしまうのは皆同じなのではないか。僕自身も身近な人間の死に直面した時に、その都度自分のこの先の生き様みたいなものを考えてきた。僕自身の命の火は、まだ当分燃えていそうなので、これからも故人の分まで生きて生きて生きまくるよ。


今日のクラスでは吉岡さんを思い出しながら、昔よく吉岡さんにやられた技を次世代に伝えていこう。

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