前所属事務所との訴訟について【1】

役者の魁戸一鈩かいと いちろです。
現在、以前所属していた芸能事務所から民事訴訟を起こされ、裁判が進行中です。
これは自分自身の記録と共に同じような目に遭っている人の参考にと記す記事です。
名誉毀損だのと言われては面倒なので(笑)、事務所名等は出しません。


双方の訴え

事務所側(原告)の訴え

被告=魁戸(以下、被告)が事務所との所属契約期間中であるにも関わらず、レッスン費用を支払わず消息を絶った。
また、原告は被告のプロフィールを作成の上で営業を行っており、マネジメントの義務は果たしていた。
契約期間中に支払う予定であったレッスン費用全額を一括と裁判費用を支払え。
※60万円以下の請求だが、少額訴訟として訴訟を起こしてない。

被告の訴え

原告側は「被告が当事務所のイメージに合わない」とし、「事務所名を公表する事を禁じ、被告の芸能活動には一切関わらない」と宣言した。
原告がマネジメント業務をする義務を怠った事から、契約期間満了前に、被告から原告の契約不履行を主張する契約解除通知を送付した。
よって、マネジメント契約の継続及びその為の費用の支払い義務は無い。


事件の流れ

告訴に至る前

2020年(令和2年)8月
被告はインターネットで「声優タレント募集」を謳う、新設事務所と某タレント事務所の合同オーディションを見て、所属を目当てに応募した。


2020年(令和2年)10月
被告は、先のオーディションにて新設事務所(以下、事務所A)の前身である事務所Bの養成所生として合格し、年度一杯(2021年3月)まで所属した。
この際、養成所生も積極的に業界に売り出すとの説明が原告よりあった。


2020年(令和2年)12月
2021年度(令和3年度)より始動する事務所Aへの所属の為の事務所内オーディションが開催され、このオーディションに合格し被告は2021年(令和3年)4月より預かり所属になった。

2021年(令和3年)4月
事務所Aへの所属開始。
第2日曜(11日)にマネージャーより「被告の髪型や服装が当事務所のイメージに合わない為、事務所名を公表する事を禁じる。被告の芸能活動には一切関わらない」と宣言された。
その後、宣言通りプロフィールの作成もされず、被告自ら所属前と同じくインターネットでオーディションを探す、過去の伝からオファーをもらうなどして活動を続けた。


その後
所属者としてオーディションや仕事の案件を受ける許可が必要であった為、都度原告側に許可を求める連絡をしたが、返事が非常に遅く(通常であれば2・3日で返答をすべき所を)最低でも1週間、多くは10日以上返事をもらえなかった。
直接事務所にてマネージャーと対面した際に返事を求めてやっと返答を得られる場合や、「他の人からも毎日連絡をもらっているのだから、自分だけだと思わないで」と言われ結局相手をしてもらえないという事もあった。
これらにより、オーディションやオファーの返答への締切を迎え、案件が流れてしまう事も多々あった。

2023年(令和5年)2月
所属の形でありながらプロフィール作成もされず、事務所名の公表すら許されないだけでなく、自ら得た案件すら事務所の返答がなかなか無い事により阻害されたとして、被告より「事務所側(原告)の債務不履行である」と通知書面にて契約解除を申し出、レッスンにも行かずフリーとしての活動を再開した。
一度、原告より債務不履行はない旨と"事務所に債務不履行はない為"所属費を一括で支払うよう書面が届いたが、弁護士の勧めにより返答しなかった。


告訴以降

2024年(令和6年)2月
原告(事務所側)より告訴状が届いた。

2024年(令和6年)3月
第一回期日(出廷)を迎えた。
告訴状と答弁書の内容確認のみで終了。
※内容は当記事「双方の訴え」の項目の通り。

2024年(令和6年)4月
この記事を書く時点で、第二回期日を予定している。


第一回準備書面

※準備書面とは、一回目の期日(裁判所への出廷)の際に双方の主張を告訴状と答弁書にて確認した上で、第二回以降の期日に向けての書面である為、出廷が二回目となる際に第一回準備書面をまず原告が用意する。

原告準備書面

1.事務所の義務(マネジメント業務を行う事)は認める。
2.事務所名の公表を禁じた点は認める。
3.被告自らが芸能案件を探して活動していた事は不知
4.原告は被告を含め全タレントのプロフィールを作成しており、そのプロフィールを取引先に見せ営業を行っていた
5.ところが、被告が所属し早々に取引先より「髪型や服装からこのような容姿の人はいらない」との旨の発言をされた。
6.そこで被告に注意をしたが受け入れない為、それ以上営業活動を行えなかった
7.所属に辺り、「レッスン費の支払い」または(レッスンを受けない場合)「レッスン費と同額の所属費」を支払う必要があり、レッスンを受けないならば所属費に名称を変えた費用を被告は支払うべきである。また、レッスン費と所属費は実質同一のものである。
8.所属は3年契約、レッスンは1年契約となっており、レッスンについては自動更新ではない為、所属者本人がレッスンを受けない選択をしたのであれば、所属費として費用を支払うべきである。


被告の次回(第3回期日)の反論予定

※番号は先の原告準備書面の項目に対応。

3.被告は何度も原告側にオーディションやオファーを受ける許可を求める連絡を取っており、少なくとも「連絡が来ている事は認識している」とマネージャーより言われている為、不知とは言えない。

4.答弁書の段階で、プロフィールの実物を見せるよう要求しているが原告は証拠として提出してこない。プロフィール実物とデータ作成日時、営業先の企業等の開示を求める
また、被告は原告より求められなかった為、身長や芸歴等プロフィール作成に必要な情報を提示した事が一度も無い

5.被告は原告より「既に営業を行っているが取引先から指摘された」とは一度も言われた事が無く、「当事務所のイメージに合わない」としか言われた事が無い。
その上、マネージャーからは「髪や服装その物が駄目なのでは無く、被告に似合っていないから指摘している 」と言われ、一例としてとある所属者にはピンクや赤に全頭を染める事を勧めているとの話もされた。

6.原告は「営業を行えなかった」と主張しているが、マネジメント業務の一つに営業業務がある。営業職として、仮に商品が粗悪であっても売る努力を続けるべきであり、営業活動をしていない事を原告は認めている事になる。
また、原告は「注意を被告が受け入れなかった」と主張しているが、所属のオーディション(2020年12月)の段階で「作品により髪色を変えたりしていきたい」との話に社長もマネージャーも同意した。このオーディションには審査員として社長、マネージャー、実質事務所の専属となっている音響エンジニア1名がいた。

7.レッスン費から所属費に移り変わった所で、原告側が義務であるマネジメント業務を行っていない為に被告が支払う必要は無い。

8.契約書上レッスンは自動更新ではないが、年度毎に更新の確認や手続きが無い上に、2022年時点で翌年(2023年度)のレッスンをやめたいと被告から相談した所、マネージャーより「やる気が無いと捉える」との発言をされており、実質自動更新であった。


備考

原告は過去にも訴訟をいくつも経験しており(中には訴訟を起こされ激怒し起こし返すという事もしている)、おそらくこれはスラップ訴訟(訴訟を起こす事による嫌がらせ)だと思われる。
「法的措置をとる」という文言で脅す事も幾度もある。