花物語~ロウバイ

花の行商をしていたおかあさんから
お花の話を聞いて育った少女は
大きくなって念願のお花屋さんを開きました
少女のもう一つの夢は子どもにお花のお話をすることでした
おかあさんがしてくれたように・・・
 

画像提供:「花ねこ日記」

花の神様の居眠りのせい

2009/1/8(木) 午後 8:54 童話『花物語』 小説

春先には黄色い花が多いと思いませんか
蝋梅に黄梅
満作にさんしゅゆ
なかでもひと際目立つ蝋梅の花
どうして蝋細工のような花になったのでしょうね

花好きのアリさんから聞いた話です
アリさんは蝋梅のお花さんから聞いた話だと言ってました
アリさんの話にはいつも尾ひれが付いていますから
そのつもりで聞いてくださいね
みなさんも知ってることがあればあとで教えてください

花の神様はお花さんの話を聞いて
環境に適するようにお花さんのいろんな部分に手を加えるのです
花びらを大きくしたり小さくしたり増やしたり減らしたり
色を濃くしたり薄くしたり
話を聞きながら素早く蝋でひな形をつくっていきます

それは神様のすることですから神業の早さなのですが
なにしろ花の数が多いので神様も大変なのです
ひな形をつくりあげてこれでよしとなったらそれを花にします
その作業もそろそろ終わろうとした時のことです
神様もさすがに疲れたのか作業に飽きたのか居眠りを始めたのです

神様のことですからひと眠りは人間の千年にあたります
ぐっすり寝込まれたら一万年は過ぎてしまいます
というわけで蝋のひな形のままになった花が残されてしまったのです
蝋梅のほかにも蝋細工のような花を見かけたら
それも花の神様の居眠りのせいなのです

 まぐまぐ!「花を歌うかな」'09/1/5 No.1288

「花を歌うかな」で発表していたものです
そのメルマガはすでに廃刊しましたが
ブログに保存していたものを再掲しています

藤川一郎
京都市北区紫竹北大門町37 葵荘17号
075-493-4676

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