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溢れるお客様。そして、移転決定。

体力の限界まで働き、意地で売り上げをあげようとしていたシステムを変えるため、まず深夜3時までの営業を深夜0時で切り上げる決断をした。オープンから1年半が経ち、お客様も増え、売り上げも順調に伸びていた頃。週末には深夜1時から必ず満席になっていたため、苦渋の決断ではあったが、その溢れたお客様が早い時間帯に来るようになるのではという算段もあった。

これまで深夜帯に来ていたお客様が、早い時間帯に来ると、お客がさらに増え満席となり入店を断ってしまうことになる。だが断ることによって、次回飲みに行く時はまず一力に予約電話しようという流れを生み、「外食=一力」という図式が頭の中に浮かぶのではと思ったのだ。

営業時間を凝縮させてお客様を溢れ返す…この狙いが見事的中。オープン2年目の年末には、9.8坪22席で月商420万円を達成した。

開業し1年半たったころ、1年間以上月の売り上げが9.8坪22席で300万円を切らず、お客様の来店数が安定してきて、遂に2号店の出店を決意をした。平日は確実に1回転、週末には2回転し、満席状態でお客様を毎日のようにお断りしていた。フル勤務のスタッフが1人いたため、1号店目を彼に任せ、僕は2号店目をメインで運営するつもりで物件探しを始めた

出店場所の希望は、既存店よりなるべく離れていない場所。なぜかというと、既存店が満席でお客様を逃してしまっているので、その受け皿となるには近くがいい。近ければ近いほうがいい。できれば道を挟んで、真向かいでもいいぐらいだと考えていた。

毎日10人はお客様をお断りしている。週末となれば電話予約を入れると30人ぐらいは断ってる。その断ったお客様は、次にまた飲食店を探すだろう。その他の店に流れていたお客様が、自店の2号店に流れたとしたなら、もし30席のお店を開業したとすると、平日は3分の1の10席、週末に限っては初めから満席状態を作ることができる。繁盛し築き上げた自店のブランドを店舗展開に有効に使うには、お客様を共有するってことがとても重要になる。

探し始めて数か月。運良く近くにいい物件が見つかり、ここに決めようと思いスタッフを現地に案内した。「ここで、2号店をやろうと思う。」「1号店をお前に任せる、頼むぞ」と。そう言ったとき、彼の表情が一瞬曇った。あれ?うれしくないの?繁盛店の店長だよ?自由にできるよ?そうなんです。僕は自分の感情だけしか考えていないで、だれでも皆、店長になれたらうれしいと思い込んでいたのです。従業員からしてみると、店長にもなりたくなければ、忙しい店で働くのもうれしいわけではないし、独立目指してるわけでもなければ、焼鳥技術を極めたいわけでもない。僕が独立するために修業した時の気持ちを修行する立場の人がみな持っていると思い込んでたただの勘違い野郎だったのです。25歳から3年間で廃業した苦い過去から脱却し、あれだけ夢にまでみた2号店目の出店はとりあえず踏みとどまることにした。

では、先に進みたい俺はどうしたらいいのかと考える中で、今度は2号店ではなく「移転」という選択肢が頭に浮かび上がってきた。

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