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英語にひそむザラブ星人2 〜過去完了形のなぞ〜

だんだんと、英語最難関の本丸、仮定法に近付いてきました。仮定法の理解には、この過去完了形が肝になりますので、どうぞ最後までお付き合いください。

「助動詞完了形のなぞ」で解説しましたように、本来、現在形から過去形になっても意味が増えないはずですが、完了形にも過去形になると増える機能があります。そう、過去完了形にもザラブ星人が潜んでいるのです。



コレ!は大過去、時差を表すものです。
澤井康佑著一生モノ英文法のp229「・・・この過去完了形には、完了形本来の意味はありません。つまり、「結果(+完了/経験)」や「継続」といった意味はないのです。「ある時点から過去にズレている」ということを表すために用いられている完了形なのです」
引用終わり。

ひっついている『コレ!』は、完了形の意味は無く、時差だけを示す過去完了形。ニセモノの過去完了形ですが、助動詞過去のザラブ星人とは違って、Past, Present form時空は越えられません。しかし、単独ではPresent formに現れませんが句や節で現れるので注意が必要です。

一方、『コレ!』について
T.D.ミントン著『ここがおかしい日本人の英文法』p69引用「過去の出来事をひと繋がりにして述べる場合には、しかも特にそれらの出来事を、起こった時間的順序に従って述べる場合には、過去完了形を使ってはいけません」

→確かに、二つ以上の出来事を順序立って説明するときに困ることになる。

p77「・・・過去完了形というのは、現在完了形を過去の時点に移したかたち、というのが主な用法であり、そのように使われるときには、必ず過去完了形でなければならないということです。・・・いわゆる大過去の用法もありますが、それは多くの場合、過去完了形を使っても、また過去形のままでもかまいません」
p74「過去完了形を絶対に必要とする用法を除けば、あとはみな、過去完了形でも過去形でもいいということになります」

まとめると
大過去、時差を示す過去完了形には完了形本来の意味は無い。その場合、過去形でも過去完了形でもどっちでもかまわない。過去完了形にしなければならないのは、本来の意味の現在完了形(言外に言いたいことがある)の時制が過去に移動した場合です。
以上。

ただし、時差を示す過去完了形で、絶対に使わなければならないのは仮定法過去完了形の時です。つまり、仮定法過去完了での過去完了は完了形本来の意味はなくニセモノのザラブ星人だということです(詳細は後日ココ

さらに、関正生著 真・英文法大全p83
「完了形はある明確な一点までの矢印でしたが、逆に言えば明確な一点という基準がなければ完了形は使えません。今回のWhen I was in Tokyoには明確な基準がないので過去完了形は使えず、単に過去形を使うしかないのです」
引用終わり。

つまり、完了形は話者の立ち位置よりも前のことを持ち出して話題にする用法なので、どの立ち位置にいるのかを現在でも過去でも必要だということでしょう。現在完了形にしても過去完了形にしても、完了形は立ち位置が動かない。しっかりアンカーしている。
過去完了形の時、一体どの過去(MacintoshのTimeMachine様)にアンカーして立ち位置にするのか、明確にする必要がある。なぜならば、そのアンカーした過去より前のことを持ち出すからです。


過去完了はどの過去にアンカーし復元するか



秒速40m以上の風が吹いていたかもしれない。
The wind may have been blowing more than forty meters a second.
The wind might have been blowing more than forty meters a second.
上は現在形のmay
下は過去形のmight
であるのに、共に日本語訳だと過去を意味している。
しかし、上の文は、過去の出来事を今現在と極めて関連がある文で現在完了形に属するので、過去に見えるけれども、今のことを言っているpresent form現在形にいる(日本語訳は過去形と現在完了形が変わらないように)。言外に言いたいことは(だから今来た車が飛んできた枝等で傷だらけなんだとか、だから、彼の傘は飛ばされてボロぞうきんのように濡れてきたんだetc…)
下の文は現在時制過去時制両方取れますが、本物のmightで過去時制の場合(下の表だとa)、過去のある一点を基準にし、それよりも前のことの出来事を、その基準と極めて関連がある文、過去完了形に属する。と言うことだから、この文中か、その前後の文(文脈)に基準とする過去の点、アンカーが無ければおかしい。
しかし、そうではなくて、mightが過去時制でなく現在時制(いわゆるニセモノの助動詞過去ザラブ)なら成立出来る(下の表だとc)。と言うことは下の文は現在時制である。
つまり、両文とも日本語だと過去のことを言っているように思えますが、今のことを言っているのです。

一方
風は1秒間に40メートル以上吹いているかもしれない。
The wind may be blowing more than forty meters a second.
The wind might be blowing more than forty meters a second.
ともに現在時制で意味は同じ。下の文は助動詞ザラブ。もし、下の文中に過去の文言やその前に過去の文脈があったら本物の過去助動詞なので「秒速40m以上の風が吹いていたかもしれない」
ただし、その場合、前述のmight have be blowingとの違いは、過去形と過去完了形との違いと同じである。

助動詞過去と過去完了に本物とニセモノ(ザラブ星人)が出てきたので
助動詞過去+完了形について整理してみます。

過去完了であっても助動詞が来ると原形完了形になってしまうので(元)過去完了と称しました

助動詞過去が本物の場合、助動詞本来の意味でpast from過去時制。
助動詞過去がニセモノの場合、past, present form超えるし助動詞本来の意味がない、いわゆるザラブ星人で現在時制。
過去完了が本物の場合、ネタフリの完了形本来の意味。
過去完了がニセモノの場合、完了形本来の意味は無く時差のみを意味する。

a、cは既述。dは助動詞過去の時制がPresent formの現在形で続く過去完了が過去の事というのは時制的にあり得ないので存在しない。aとbが共にpast formにいて、形からは区別がつきません。しかし、そのことが仮定法過去完了で意味を成してきます。

to be continuedーーーー→

ここまで読んでくれてありがとう。
お疲れ様でした。
あなたに幸あれ!

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