ローマ帽子の秘密/E・クイーン著 推理しながら読んでみた
こんにちは「最後まで読んだ私」です。
エラリー・クイーン著 「ローマ帽子の謎」を読み終えました。
ここから先、読み終える前の私が自分の推理を書き綴っておりますので、すでに結末をご存じの方は私の推理が当たっているか外れているか、後方腕組面で楽しんでいただければ幸いです。
※ここから先ネタバレ!!!
こんにちは、「読者への挑戦まで読んだ私」です!
一旦ここまでの時点での推理を書き記したいと思います。
「最後まで読んだ私」が後になって見当違いの推理に赤面すると思いますが対戦よろしくお願い致します。
まず、この事件の最大の謎ですが、「消えたシルクハット」になります。そこから犯人の条件を導き出すと……
①シルクハットを持ち出す理由がある=フィールドに弱みを握られている人物。
②シルクハットを劇場の外に持ち出す事が可能であった人物=男性。
このどちらも満たす人物が犯人であると結論付けました。
犯人は月曜の夜に、犯人の弱みとなる文書と5万ドルの取引のため、フィールドと劇場で待ち合わせをしていた。
何故かはわからないが、犯人はフィールドがその文書をシルクハットの中に隠していると知っており、始めからフィールドを殺してシルクハットごと文書を奪うつもりで計画していた。
犯人は待ち合わせ当日、自分のシルクハットは持たず、フィールドから奪ったシルクハットを被って外に出ても違和感のない正装で来たと考えられる。
そして事前にガソリンから抽出していたテトラエチル鉛をウイスキー入りのフラスクの中に混ぜた。
③シルクハットの隠し場所を知っている=フィールドと近しい人物、頻繁に会える人物
④フラスクにテトラエチル鉛を混ぜる機会があった=当日劇場の暗闇で混ぜることは不可能だろうから、事前に混ぜる機会があった=同上
ここまでの条件を全て満たしている人物はつまり、フィールドの事務所の所長であるオスカー・ルイン氏ではないでしょうか?
そもそも彼に関しては月曜の夜に何をしていたのか明確な記載が無かったのがずっと引っ掛かっていました。
そして、フィールドの元で働いているということは、弱みの一つや二つ握られていてもおかしくないのです。
さらに、モーガン氏の元へ届いたチケット。これはモーガン氏に罪を着せようとした犯人の工作に違いありません。
つまり、モーガンとフィールドが仲違いしている事を知っている人物でなければなりません。
すべて、フィールドの部下であれば知り得た情報です!
以上が私の推理です。
さて、今から解決編を読んできます。
読み終えた感想と反省
はい、いっそ清々しいまでの見当違いな推理でした。
①と②の条件までは良かったのですが……。
答え合わせだけさっくりといたしますと、当日舞台に立っていた役者の一人でフランシスの婚約者であるバリーが犯人でした。
舞台の出番が無い合間時間にフィールドと会う約束をし、衣装の中のシルクハットを被り客席に行き、フィールドを毒殺。被ってきたシルクハットを折り畳んでコートの内側に隠し、代わりにフィールドのシルクハットを被って次の自分の出番までに楽屋へ戻る。衣装のシルクハットは元の場所に返し、フィールドのシルクハットは取り調べが終わるまで楽屋に隠しておき、まんまと被って劇場の外へ。というトリックでした。
舞台の途中で5万ドルの取引をしていた事が明らかになったあたりで、私はすっかり役者全員容疑者から外してしまっていました。
まさかクイーン親子が「ピストル騒動」を観劇した理由が、舞台の役者の中で「死亡推定時刻にステージの上におらず、犯行をして戻ってくるだけの時間があった人物」を割り出すためだったとは。
よくよく思い返すと、書類の原本の隠し場所が自宅の天蓋ベッドの上だった事を知る人物がいたはずがないんですね……なので、そもそもシルクハットを奪う前提で自分のを被らずに待ち合わせ場所へ行けるはずがない。そのうえ、夜会服なのにシルクハットを被っていないのはかなり目立つからそんな危険は冒さないだろう、と解説編のかなり序盤で私の推理は見事に論破されていました。
折り畳めるタイプのシルクハットがあるのも初耳でしたね。
こういう現代とは違った常識を知れるのも海外古典ミステリーの面白いところですよね。
こちらの作品はエラリー・クイーンのデビュー作ですが、1本目でこれほど完成度の高い作品とは感服です。
自分の雑魚推理を棚に上げるとするなら、バリーだけが役者の中で夜会服を着ていたこと、バリーに動機が存在したこと、この2つの情報が一切出てこなかったので(出てきていたらすみません)バリーが犯人という推理の根拠が少し薄いように感じました。
読者への挑戦で「演繹法による推理と心理学的な観察の結果」犯人にたどりつける……と書かれているので、消去法でたどりつく前提なのかもしれませんが。
衣装の中のシルクハットを使ったというところが「消えたシルクハットの謎」のミソでした。
シルクハットを外へ持ち出せたのは誰か?を考えた時、不可能を排除していけばおのずと真犯人に辿り着ける構成になっていたと思います。
クイーンの作品は悲劇4部作(レーン4部作)は全て読んでいますが、探偵エラリー・クイーンシリーズは初でした。
親子てえてえですね~~~~親バカ子バカのクイーン父子。
しばらくは刊行順に読んでいきたいと思いますが、途中他のミステリー作品も挟みながらゆっくり読みたいと思っています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?