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~第108回~「古武道の話」

武蔵一宮氷川神社には多くの額や絵馬などが奉納されてきました。

その中の一つが、額殿にある昭和10年(1935)に奉納された「奉納各流派古武道型」額です。 これは日本古武道振興会から奉納されたもの。

同振興会は日本初の古武道の全国団体で、日本の貴重な文化遺産である古武道の保存振興を目的として昭和10年に設立されました。

設立年には全国各地の寺社仏閣で奉納演舞を行い、活動を記念した額を奉納しました。

氷川神社に現存する額もその中の一つです。 とはいえ、すべての奉納演舞で奉額されたわけではなく、資料によると鹿島神宮、香取神宮、氷川神社の順に納められ、最終的に全8社に奉額されたとのこと。

古武道家にとって、鹿島・香取そして氷川神社などが武の神として信仰対象だったことが伺えます。 氷川神社の主祭神である須佐之男命は全国的に厄払いの神様として信仰されておりますが、一方で、八岐大蛇を退治して大蛇の体内から草薙剣を取り出した武勇にすぐれた神様でもありますので、武道の信仰も集めたのです。 先人たちの祈りの心が今も奉納された額の中に息づいております。


〔 Word : Keiko Yamasaki Photo : Hiroyuki Kudoh 〕

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