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~第63回 ~「天叢雲剣(草薙剣)の話」
「三種の神器」という言葉をご存じでしょうか。
日本神話において天孫降臨の際に、アマテラスオオミカミがニニギノミコトに授けた三種類の宝物、すなわち八咫鏡・天叢雲剣(草薙剣)・八尺瓊勾玉を指し、歴代の天皇が皇位のしるしとして受け継いでおられる神宝です。
このうち、天叢雲剣(草薙剣)はスサノオノミコトが出雲の簸川(ひのかわ。斐伊川・ひいかわ)上流で八岐大蛇(ヤマタノオロチ)を退治した際にオロチの尾から出てきたもので、これがアマテラスオオミカミに献上されました。
退治の際、「ヤマタノオロチの頭上には雲がかかっていた」という事から、天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)と呼ばれておりました。
その後、ニニギノミコトと共に地上界に降りて以降、神宮創建に伴ってヤマトヒメの手に。
さらにその後、甥であるヤマトタケルの東征のために、ヤマトヒメは天叢雲剣(草薙剣)を授けます。
ヤマトタケルはその道中でだまし打ちに会い、野中で火攻めに遭いますが、その時にこの剣で周辺の草を薙ぎ払い難を逃れ、敵を破ったことから「草をなぎはらう剣」として、草薙剣(くさなぎのつるぎ)と呼ばれるようになりました。
ちなみに、火が野に放たれて焼け野原になったこの地を「やいつ」というようになり、現在の静岡県焼津市にあたります。
古代の神々の戦いに深くかかわって来た神宝は、スサノオノミコト無くして存在しません。
自身のためではなく、地域で暮らす人々ために八岐大蛇を退治したスサノオノミコトの雄々しさをこれからも語り継いでまいります。
〔 Word : Keiko Yamasaki Photo : Hiroyuki Kudoh 〕
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