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~第77回 ~「食物誕生とスサノオノミコトの話」

実りの季節になりました。
私たちが生きていく上で欠かせない食物の起源が日本神話に伝わっています。

スサノオノミコトが世界を暗闇にしてしまった行為の罰として、神々の世界(天上界)である高天原を追放された後の話しです。
空腹を覚えたスサノオノミコトは女神・大気都比売神(オオゲツヒメ)に食物を求めました。
その時、オオゲツヒメは様々な食物をスサノオノミコトに与えました。
しかし実は、オオゲツヒメは自分の鼻と口と尻から様々な食べ物を取り出していたため、その様子を見たスサノオノミコトは、なんて汚い方法で料理を出すのかと怒ってしまい、オオゲツヒメを殺してしまいます。
すると、オオゲツヒメの頭から蚕が、目から稲が、耳から粟が、鼻から小豆が、陰部から麦が、尻から大豆が生じました。
その時、女神の身体に生じた種を、天上界の神である神産巣日御祖神(カミムスヒ)がスサノオノミコトに取らせた、という話です。
なお『日本書紀』では天照大神(アマテラスオオミカミ)に命じられて月読尊(ツクヨミノミコト。月読命とも)が保食神(ウケモチノカミ)に会いに行き、オオゲツヒメ同様のもてなしをしたウケモチノカミを斬り殺す話となっています。

この後、スサノオノミコトの御力の使い方にも変化が生じます。
出雲に降りたったスサノオノミコトは美しい娘と老夫婦のために八岐大蛇(ヤマタノオロチ)を退治し、その娘の稲田姫命(イナダヒメノミコト)と結ばれます。

私たちの命を支える食物の神話は、初めて読むと驚く内容かもしれませんね。

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〔 Word : Keiko Yamasaki Photo : Hiroyuki Kudoh 〕

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