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~第107回~「鳥居とコクーン(繭)の話」

武蔵一宮氷川神社には日本一の長さを誇る参道があり、その参道には3つの鳥居があります。
その氷川参道は、一の鳥居から三の鳥居まで18丁(約2㎞)の長さでまっすぐに伸びています。
寛永5年(1628)当時の関東郡代である伊奈忠治が氷川参道入口から北に向けて新たな中山道を付け替えるまでは、氷川参道が中山道と併用されていました。
一の鳥居がある参道入り口の「武藏國一宮」の社号標は享保7年(1722)に建てられたもので、これは江戸時代中期の書家・佐々木文山の手によるものです。

二の鳥居は明治神宮の第二鳥居だったもので、これは日本最大級の木造鳥居でした。
昭和41年(1966)の落雷による破損で解体されていたものを、昭和51年(1976)に明治神宮より当社が譲り受けました。

そして三の鳥居。
一の鳥居から約2㎞続く氷川参道もここまで。
三の鳥居は昭和9年(1934)、片倉製糸紡績株式会社(現:片倉工業株式会社)の奉納によるものです。
片倉工業は世界遺産となった富岡製糸場を平成17年(2005)まで保存していた会社です。

なお、一の鳥居から始まる氷川参道は大宮駅とさいたま新都心駅の中間の位置にあります。
さいたま新都心駅東側に広がる商業エリア「コクーンシティ」の場所には、大正5年(1918)から平成4年(1992)に移転するまで、片倉工業の大宮製糸所がありました。
さいたま新都心の「コクーン」とは繭の意味で、製糸工場であったことに由来しています。

境内に至る氷川参道には鳥居の歴史はもちろん、郷土史や日本近代産業の歴史が息づいています。
そして三の鳥居をくぐると、いよいよ境内に。
現在、境内の新緑は今を盛りと色づいております。

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〔 Word : Keiko Yamasaki Photo : Hiroyuki Kudoh 〕

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