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~第94回 ~「スサノオノミコトと剣の話」

氷川神社の主祭神・須佐之男命(以下、スサノオノミコト)は、剣との関わりが深い神様です。
高天原から出雲の国に降り立ち八俣大蛇を退治した際の剣、そして退治した八岐大蛇の体内から出た剣の2つが特に有名です。

大蛇を退治した剣は、十拳剣(とつかのつるぎ)もしくは天十握剣(あめのとつかのつるぎ)などと呼ばれ、後に奈良県の石上神宮に祀られるようになりました。
平安時代成立の『古語拾遺』では「天羽々斬(あめのはばぎり)」と呼んでいます。
そして、大蛇の尾から出現した剣は天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)、もしくは草薙剣(くさなぎのつるぎ)と呼ばれ、後に三種の神器の一つになります。
こちらは現在、愛知県の熱田神宮に祀られています。

さて、この天十握剣は、奈良時代成立の『日本書紀』神代紀上・第八段第二の一書には「名づけて、蛇之麁正(おろちのあらまさ)という。これは今、石上宮(いそのかみのみや)に在(ま)す」とあり、現在、石上神宮では布都斯魂大神(ふつしみたまのおおかみ)として祀られております。
また、茨城の鹿島神宮にも布都御魂剣(ふつのみたまのつるぎ。通称韴霊剣)と称えられる直刀が伝わっております。
正式名称は「直刀/黒漆平文大刀拵(ちょくとう/こくしつひょうもんたちこしらえ)」。
現存する直刀として最大のものであり、奈良時代末期から平安時代初期の制作とされ、その長さはなんと270㎝ほど。
現在は国宝に指定されており、鹿島神宮の宝物館にて展示されておりますが、この剣も地域で大切に護られてきた剣です。

スサノオノミコトや神々の雄々しさを今に伝える剣が今も各地に伝承されていること…改めてスサノオノミコトへの信仰の広さを感じます。

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〔 Word : Keiko Yamasaki Photo : Hiroyuki Kudoh 〕

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