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~第51回~「郷神楽の話」

氷川神社では毎年3月15日に郷神楽祭を斎行しております。
古くから当社では神楽の奉奏が盛んに執り行われておりました。
江戸時代の寛政元年(1789年)には、徳川幕府から五穀豊穣の祈祷を命ぜられ、神前にて神楽を奉納したとあります。
また文政年間(1818~1831年)には、社頭で永代太々神楽を取り行い、8,000人ほどの人が集まったとの記録もあり、境内の額殿には往時を伝える額が残っております。

神楽は日本独自の芸能で、その語源は「神座(かむくら)」であるとされます。
この神座に神様をお迎えして行う芸能を、後に「神楽」と言うようになり、そこでは五穀豊穣や疫病退散などの祈りを込めた祭祀を行います。

神楽は宮中で行われる御神楽(みかぐら)と、民間で行う里神楽(さとかぐら)の2種類に大別されます。
昭和9年(1934年)に発行された西角井正慶氏の「神楽研究」を筆頭に、神楽の研究も多くなされ、民間の神楽は巫女神楽、採物神楽、湯立神楽、獅子神楽などに分類されます。
また、獅子神楽の中には、伊勢神宮や熱田神宮の神人が現地に参拝できない人のために各地を巡って神札を配りながら行う神楽「太神楽(代神楽)」があります。
社伝に残る「永代太々神楽」も、現在、各地で伝承されております。

この「神楽研究」をまとめた西角井正慶氏は氷川神社の社家出身の民俗学者・国文学者です。
日本の民俗(風習)に興味がありましたら、ぜひ一度ご覧下さい。

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〔 Word : Keiko Yamasaki Photo : Hiroyuki Kudoh 〕

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