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~第109回 ~「祇園信仰の話」

武蔵一宮氷川神社の主祭神・スサノオノミコトは多大な信仰を集める神様として知られております。

その信仰は疫病退散の神としてのもので、スサノオノミコト並びにスサノオノミコトと習合した祇園精舎(仏教の開祖・釈迦に寄進された僧院)の守護神・牛頭天王への信仰でもあります。

そして全国に拡がり、「祇園信仰」や「天王信仰」、東海地方に広まる「津島信仰」などと呼ばれるようになりました。 古来、日本人は災厄の原因を、不慮の死を遂げた霊魂だと考えていました。

これを御霊(ゴリョウ)信仰と言います。

そして平安時代になると、疫病が流行った際に、疫病に関わる神を祀ることによってそれを防ぐ祈りの祭事「御霊会(ゴリョウエ)」が定着します。

この御霊会の時、牛頭天王と習合した疫病祓いの神・スサノオノミコト(当時は「祇園神」とも)へ祈りを捧げたことから祇園信仰が発展しました。

京都の祭礼として有名な八坂神社の「祇園祭」は、この祇園信仰から生じた祭礼です。 八坂神社はもともと祇園感神院といい、神仏習合を体現しておりましたが、明治初めの神仏分離などの国の方針により、仏教に由来する牛頭天王とスサノオノミコトとの分離が促されました。

しかし、スサノオノミコトの疫病祓いの神としての信仰は失われることなく、祇園祭の中で息づいています。 全国各地で行われる「祇園祭」や「天王祭」も同様で、疫病祓いの神スサノオノミコトへの祈りを今に伝える祭礼なのです。

〔 Word : Keiko Yamasaki Photo : Hiroyuki Kudoh 〕

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