お子さんの鉛筆の持ち方と姿勢が気になったときは
〈整った文字を書けるために〉
文字を書く上で、持ち方と姿勢は重要です。それらが整っていないと、体が安定せず、疲れやすいです。疲れると何がよくないかというと、集中力が下がります。集中力が下がると、内容が頭に入ってこなくなったり、眠くなったりします。当然、字も崩れやすく、長い文章を書くことに苦労します。
持ち方がきたなくても、姿勢が悪くても、文字がきれいで頭のいい人はいます。しかしそれは、少数派です。集中力を保った状態で、整った文字を長く書き続けるためには、やはり持ち方と姿勢を整えてあげることが必要です。
〈持ち方を整えるために〉
できるだけ早い段階で、正しい持ち方を教えることが大切です。平仮名を書き始める頃がいいでしょう(ただし、お絵描きの時は、持ち方は自由でいいと思います)。子どもが自ら持ち方を意識することは不可能なので、たまに声がけをする必要があります。と言っても、子どもはまだ握力も十分ではないですし、人によっても違うので、あまりしつこくは言わない方がいいでしょう。1日に数回程度に留めておきましょう。
小学2年生くらいまでに身につけられるのが理想だと思います。もしお子さんが小学3年生になっても持ち方がきたない場合、少し注意が必要です。漢字ドリルに取り組む時などに、毎日付き添ってあげてください。高学年になるまでに、直してあげる必要があります。
それでも、しつこすぎるのはダメです。書くことが嫌いになったら、元も子もありません。最終的にはお子さん自身の問題なので、もし丁寧にサポートしても治らない時は、割り切ることも大事です。
〈姿勢を整えるために〉
書くときに体が傾いたり猫背になっている子は、学年問わずとても多いです。利き手しか出していない、椅子の位置を調整できていない、足を組んでいる、靴が脱げていることなどが関係しています(うちの教室では1種類の椅子と机しかないので、小さい子には申し訳ないと思っています)。
正しい姿勢を持続するためには、体幹と体力が必要不可欠です。一般的に、水泳や体操や武道などが体幹を鍛えるために効果的だと言われているので、そういった習い事をしてみるのもいいでしょう。
しかし、そのような習い事をしていても、姿勢の悪い子は少なくありません。習い事をしているからといって、うちの子は体幹があると思い込んではいけません。大人が自分で見て、しっかりとチェックしてあげることが必要です。
私がおすすめなのは、散歩です。長く歩くには、姿勢を保って動き続けることが必要です。それは、体幹がないとできないことです。体幹がない子はすぐに疲れたり、逆に歩くことに飽きて走り出したりします。体幹のしっかりとした子は、一定のリズムで長く歩くことができます。小学校低学年は2km以上、中学年は3km以上、高学年は4km以上、中学生以上は5km以上歩けるようになるといいでしょう(特にエビデンスはありません)。歩くというのは、案外走るのと同じくらい疲れるものですし、しっかり汗もかきます。腕を振って歩けば、肩甲骨周りがほぐれ、体もすっきりします。筋肉への負担も少ないので、怪我の心配も少ないでしょう。
姿勢を整えるというのは、急には難しいものなので、まずは親子で楽しめる散歩から取り組んでみることをおすすめします。車に乗っていては感じることのできない刺激がたくさんあって、とてもいい影響がありますし、親子の会話も増えますよ。
〈将来のために〉
受験生を見ていると、成功する子は姿勢のいい子が多いです。長く集中して勉強に取り組む力があるからだと思っています。これは勉強だけでなく、社会に出てからも必要なスキルです。いくらIQが高くても、すぐに疲れてしまったら、仕事を完成させることなどできません。
本当に優秀な人は、シャキッとしています。昭和のガリ勉のイメージではありません。体が整っていると、気持ちも安定します。持ち方や姿勢を整えることが、厳しい時代を生きていける土台の一つとなってくれると信じています。
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