夫のコピー__1_

夫が揉み消した私の問題について

33歳、バツ3。

これは私のスペックのひとつである。他にも、子供が二人いるとか、会社を経営しているとか、地元は福岡だとか、私についての情報はたくさんある。けれど「バツ3」というカードは強い。あまりにも強すぎる。ほかの情報を全部握りつぶすくらいの、圧倒的なエネルギーがある。

というかバツ3って何だ……なんかの病気か?パーソナリティ障害なのか?学習機能ゼロなのか?

バツ3は、自身の欠陥によるもの

私は長年、「きっと自分は色々な男性とお付き合いしては、面倒になって急にブロックしたり、別れ際の男性の行動を気持ち悪いと罵ったり、そんな風にしか生きていけない人間なんだ」というような事を思っていた。

これは他人を見下しているように見えて、実際のところはかなり自分自身がすり減っていく行為だ。自分は誰ともうまくはやれないのだから。
周囲がまともに恋愛や結婚をしている間、私はずっと、誰ともうまくいかない。自分は人として何かしらの欠陥があるのだと思っていた。

夫になる人と出会う

しかし転機は突然訪れた。2017年、友人から「仕事に繋がるだろう」と言われ呼ばれた席に、夫となる人がいた。前述の通り私は「自分には欠陥がある」と思いながら生活していたので、夫と出会った時の自己紹介は

「どうも~バツ3です~。4回目の結婚相手を探してます~」だった。
やさぐれすぎである。もちろん、女性として意識して欲しくてその言葉を発したという訳ではなく、「その場が盛り上がればいい」というような気持ちだったんではないかと推測する(記憶がない)。
ところが、夫にはこれが刺さってしまったらしい。「なんて面白い女性なんだ!」と、思ったそうな。奇跡か。

初めての喧嘩で貰った「改善提案書」

奇跡の出会いから数ヶ月、夫と初めて喧嘩をした。この時私は仕事や育児にいっぱいいっぱいで、「もう疲れてしまった。別れてください」というような事をきっぱりと伝えた。

その際夫は「ちょっと待ってくれ、時間をくれ!」と言い、その4時間後に以下のような提案書をくれた。(Iちゃん→私 H→夫 M→住んでいる地域)

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これは、驚いた。「疲れた、別れたい」という一言から、ここまで具体案を出してくるとは。

確かに、仕事や金銭面の事まで把握してくれて、家事と育児をサポートしてくれるというのなら、私の「疲れた」という状況はかなり改善される。「疲れたので別れたい」という結論は、疲れる事がなくなれば覆される話というのが、夫の考えた作戦のようだった。

初めて知った自分の性質

このとき私は「自分は、気持ちを人に伝える事が苦手なのだな」と言う事を初めて知った。
つまり、この喧嘩の時のように自分が「助けてほしい」だとか、「きついのだ」という弱音を誰かに伝える事が苦手なようだった。気持ちを上手に伝えられないという自分のマイナスポイントについては一切語らずに、突然別れまで持って行こうとするなんて、非常に自己中心的である。

要するに私は、甘え下手で面倒くさい人間だったのだ。それを全て払拭するように、夫は優しく寄り添ってくれた。私自身、知らなかった自分の一面を知ったことにより、人との向き合い方が少しわかった。

この人と結婚したいと思ったとき

改善提案書以来、夫は遊びに来ると、積極的に家事育児を手伝ってくれるようになった。「この人と結婚したら幸せになれるんだろうなぁ」と思ったのは、夫が我が家の皿を洗ってくれているときの事だった。当時3歳だった娘が大泣きしているのを聞いて、夫はすぐに皿を洗うのをやめ、抱き上げた。「どうちたの~」とかなんとか、言っていたと思う。

子育てをする人間からしたら、あたり前の行動かもしれない。けれど、独身の男性が指示をされるまでもなく、自分で考えてこの行動を取ったという事にとても驚いた。泣きそうになった。ちなみにこのとき私は校了前で、めちゃめちゃイライラしながら仕事をしていた……。実の母親である私ですらまともに出来ていないことを、独身だった夫が、あっさりと目の前で見せてくれたのだ。

笑いのツボが違う私たち

「結婚する人は、笑いのツボが同じ人がいい」というような事を聞いたことがある。私はどこかで聞いたその言葉をぼんやりと信じていた。しかし私と夫は笑いのツボが全然違う。

私が平野ノラで大爆笑しているとき、夫は隣で真顔になっている。
夫が和牛で大爆笑しているとき、私は隣で真顔になっている。

けれどそんな事はどうでもいいことだ。それよりももっと大事なのは、「違和感を持つポイント」が同じであることだ。私と夫は、人の悪口を言わないと決めている。汚い言葉やよくない言葉は禁止、というように2人でルールを作っているのだ。これは出会ってから1年ほど経った頃に私から提案したもので、私自身それまで多くの汚い言葉を使っていた。けれど、「よりポジティブでいるために」「より人生をいいものにするために」という、ふんわりした提案を夫は受け入れてくれた。
私たちは、「よくない言葉」で違和感を持つ。ここさえ合っていれば、笑いのツボが違っていても、仲良く、ポジティブに生活していける。

実際に、夫との出会い+よくない言葉を使わないという相乗効果で、人生の幸福度はかなり上がった。簡単に幸せになれるラッキー行為なので、ぜひみなさんもやってみてほしい。

夫といるときの自分が一番すき

夫に出会ってから私は、夫のことはもちろん、それと同じくらい自分のことが好きになった。人として欠落していて、それゆえにバツ3で、いつも孤独だった私は、自分自身に多くの欠陥を抱えていると思っていた。けれどそんなものは、全て夫が解決してくれた。

太陽のようなエネルギーで、全ての問題を消し去ってくれたのだ。夫の隣にいる私は、日々穏やかで、気持ちが優しくて、いつも満たされている。自分でも、こんな自分が存在しているなんて知らなかった。

あなたに出会えて、よかった。

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ぶりっ子だったわたし

完全に余談になるのだが、夫と出会うまで私は極端なぶりっ子だった。幼い時からブリブリやっていたので、もはや自分の性格が何なのかわからなくなるくらいだった。
正直ぶりっ子をするのは非常に楽しいのだが、ぶりっ子をしていると寄ってくる男の質がわけがわからなくなる。本来の自分とは違う自分に好意を寄せてくる男性ばかりが周囲にいるので、誰を選んでもなかなか長続きしなくなるのだ。本性を見せた途端、何もかも終わる。30歳にしてそれに気づき、「ぶりっ子をやめよう!」と思っていた矢先に出会ったのが、夫だった。

夫は先日、「私のどこを好きになったの?」と聞くと、「台風みたいなところ」と言っていた。これからも存分に、夫の周辺を台風していきたいと思っている。

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