小説『何ものでもない諸君よ』長谷川登2
母との話し合いが終わって僕を憂鬱にさせたのは、この話が父に伝わることだった。僕がいじめられていることを父に知られることは別によかった。いや、よくはないけど一緒に暮らしてる以上知られることはしょうがないと思って、あきらめるより他はないと思っていた。それよりも何よりも、母との話し合いのような時間をもう一度すごさなければいけないことがいやだった。その時の僕は、そっとしておいてほしかった。いじめを解決しようなんて気はなかったし、僕が我慢すればいいだけのことだと思っていた。
その日か