林田真季『Wondering Guide: A Wonder-Land on Ecology and Society 』/目は旅をする089(風景と人間)
林田真季『Wondering Guide: A Wonder-Land on Ecology and Society 』
(G/P+abp刊)
20年ほど前に、大阪港の埋め立て地「夢洲」で、野外アート展をプロデュースしたことがある。
それは大阪にオリンピック(万博ではない)を招致するための、さまざまなプログラムの一環であり、ちょうど僕はキリンプラザ大阪(KPO)という現代アートセンタープログラムを取り仕切るコミッティメンバーの1人であったので、東京のアーティストもよく知り、また、大阪出身ということから、プロデュースを頼まれたのだった。
プロジェクトの細部は、もうほとんど覚えていないが、今もはっきり覚えていることはいくつかある。
ポジティブなことは、その後、廃材で作品を創るアートユニット「淀川テクニック」を結成することになる柴田君と知り合ったこと。彼は当時、故郷の岡山からでてきてまもない野生児で、僕に蛇を生で食う話とかしてくれた。
淀川の橋の下に住んでいる快男児であった。
一方ネガティブなことは、夢洲という埋め立て地の人工島の地中からは「有害なガス」が出ていて、フェス中毎日島にいたのだが、実際に体調が悪化した。
2025年には、この同じ夢洲で関西万博が開催されるのだが、もう大丈夫なのだろうか?当時は地中からのガスを抜くためのパイプがあちこちに顔を出していたが、もう姿を消しているのだろうか?
いろんな顛末の挙句に、その埋め立て地=夢洲で、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマにEXPOが行われるとは、謎のような気分だ。
ノーベル化学賞受賞の気象学者、パウル・クルッツェンが「アントロポセン人新世」を提唱したのは、2000年を越した頃で、人間の産業活動が、地球全体の生態に悪影響を与えてきたことが具体的に感じられるようになった。
異常気象、制御不能な山火事、陸地の砂漠化、永久凍土や南北極の氷河の融解と海面上昇による沿岸部の浸水。また、温暖化が加速する動植物の絶滅や侵犯。
日常化する異常な酷暑や海水の温度上昇による巨大台風の招来も頻繁になってきた。
このような中で、エコロジカルアートは、ソーシャルプラクティスの中でも極めて危急かつクリティカルな分野として浮上した。
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目は旅をする・後藤繁雄による写真集セレクション
ヴィジュアルの旅は、大きな快楽を、与えてくれるし、時には長編小説以上に、人生についてのヒントを与えてくれます。 このマガジン「目は旅をす…
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