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全ての生活は旅である/一日一微発見455


閑話休題!
今、リヨン駅のスタバにいてこれを書いている。

きのうの午后にアルルから列車で移動してきて、リヨンについてブション(食堂)に行って、うまいメシとパスティス、ジュラ産のワインをのんでアパートメントへもどって爆睡した。
リヨンには特別の用はなく、アルルからジュネーブへの旅の途上の途中下車。

しかし、リヨン駅前の高層ビルがまさかの宿だった。14階の、それも何とテラスに出れる恐怖の部屋だが、リヨンの街が一望できる。
おそるおそるそこに椅子を出して、酒を飲む。

旅の「珍なるところ」は予想がつかないことだ。この世界が必然というもので動いていないことを実感する。この景色に出会うのは、もちろん想定外である。

そして、これを書いているのも、ジュネーブ行きの列車の時間まで1時間ぐらいあって、「間」があるからにすぎない。
逆説的に言えば、全ては、こんな風にアンチクライマックスな時空に満ちているのだ。

僕と渚は30日近く、ヨーロッパ10都市ほど、30数館の近現代美術館やアートフェア、国際芸術祭を巡り、見倒し、感じまくり。そして今はリヨン駅で座っている。

リヨンのアパートメントのようにムダに絶景なヴェラヴィスタ(よい景色)であれ、こうやって書き留めておかないかぎり、かならず忘却されてしまう。その場で書き留められない限り、全ては忘却されるだろう。

思えば、昨日のアルルのプラットフォームの待合室で、となりにすわっていたコリアンとおぼしき一人旅の女の子が、ひっきりなしに電話ではなし続けていたこと。
そして駅の天囲の板がはずれていたこと。
アルル駅が写真フェスとリンクして、福島の震災から復興した平和な景色(おばあちゃんが孫を背おっている)でつつまれていたことetc.も、こうやって書き留めておかないかぎりは忘却されてしまう。

忘却こそが人生さ。

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