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倒錯のすゝめアルモドバルの映画『パラレル・マザーズ』/一日一微発見358

僕はスペインの映画監報ペドロ・アルモドバルの映画が好きで、今までも、新作が公開されるたびに映画館で見てきた。

彼の映画が好きだというのは、ゴダールやデレク・ジャーマンやジャームッシュが好きだというのとは全く異なっている。

彼は自身がゲイであることを公言しているし、彼の初期の『ペピ、ルシ、ボンとその他大勢の娘たち』『セクシリア』『バチ当たり修道院の最後』などの作品を、近年はLGBTQの運動の高まりもあってクイア理論によって分析されることも多くなっている。

しかし、当のアルモドバルは、8ミリ映画のインディペンデントからスタートし、『オール・アバウト・マイマザー』でカンヌ賞やアカデミー賞を受賞し、「異性愛者」からも絶賛されるスペインの国民的人気の監督に登りつめた。
巨匠、しかし、とはいえ彼も73才だ。

もちろん3部作といわれる『オールアバウト』『トークトゥハー』『ボルベール』という連作は僕の最も好きな作品群だ。

なぜ好きなのだろう?
それはいったい何なのだろう?
アルモドバル好きな自分とは何だろうか?と思うのだ(まあ、単純には、マザコンなのだろう)。

彼の映画は、いつもあからさまで、乱暴でキッチュだ。
そしてジェンダーにおいてきわめて複雑な映画だ。
ストーリーも登場人物も、いつもマンガのようだ。
しかし、それであればそれであるほど彼の映画のトリコになってしまうのだ。

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