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短い話

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#電車

空席(短編小説)

 電車に乗る。歩き疲れているから座りたい。
 空いている席——ある。ひとつだけ。でもそこには幽霊が座っているかもしれないと考える。
 昔、聞いたことがある。
「どこにでも、時々ぽっかりとひとつだけ席が空いていることがあるでしょう? そこにはね、幽霊が座っているんだよ。だから誰も近寄らないの」
 とアキちゃんがだれかに言っていた。
 今もそんなことを言ったりするのかなあ?と、電車の中でぽっかり空いた

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