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市子
2024年1月4日 14:25
南口のバスターミナルで、名古屋行きの夜行バスを待っている。不運なことに傘はない。急に降り出した大粒の雨を五分ほど浴びた後、びしょ濡れの体でバスに乗り込んだ。「寒いですね」 と隣の席の女性に声をかけられる。雨で濡れた髪をタオルで拭きながら、「雨が降るとは思いませんでした」とため息と共にその人はいう。「そうですね、予報では晴れだったと思います」 そう言って、僕も長く息を吐く。「実は今日、彼