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実の証

あの人の目が落ちている
体がまるで物に見える

あの人の目が蛹になった
口に土をかけてしまって

影の中で交わした何か
名誉の大木に
斧が入る画を
みな心に掛けて
黒雲から生まれる声風が
沈黙の大流に針を刺し始めた

あの人の口がなくなった
あの人が言葉から消えているから
なくなったも同然なのだ

罪悪に青ざめながら
家を葬り続けている
遂にその身を裂かんばかり


叩き起こさなければ
私が居ることを忘れてしまっている
私の耳も口も及ばないという
錯覚に埋もれ
この命、終に供さないと言うのなら
何故私がここに在るのか
質さなければ居られない

何よりの証を示し出そう
あの人の目が開き
その身墜ちる時
この身朽ちる時だと知らしめ
その腕動く時
白日に家を質す時だと報せるために

私の美徳は
慰めや安らぎではない
沈黙や憂いが
私の仕事ではないのだ

あの人が私を選んだように
私は今この刃を選んだ


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