見出し画像

過集中王子の食卓【毎日パンとオムレツ】

王子は偏食家である。

毎日の食事は決まっている。

王子の好みに合わせて小麦粉を配合したパンと

滑らかに成形して焼いたオムレツだ。

最初に雇ったコックが国でも有数の腕利きで、様々な料理を作った。

しかし、王子は自分の好きな味のものだけを食べたいと

パンとオムレツだけを要求した。

そのコックはパンとオムレツだけ作り続けることに嫌気がさし

暇を請うてきたのだった。

次のコック選びは難航した。

その後、あまたのコックが城に入っては、やめていく。

パンとオムレツだけを作るコック選びになぜ時間がかかったか?

それは王子が小麦粉の微妙な味わいの違いを感じ取って

「これはちがう!」と怒り出して

食べなくなってしまうからだった。

オムレツも王子の好みの舌触り、塩加減を調えなければいけない。

試行錯誤の結果、小麦粉はダイバース国産の小麦粉60%、オート共和国産の小麦粉40%が最適の配合であることがわかった。

またオムレツは専用の型に入れて焼くと、王子の好みに仕上がった。

今のコックはその配合、調理法を発見した人なのだ。

以後、王子はその2つを好んで食べるようになった。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?