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童話「ぼくはピート、そしてレイじいさん」

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短編の連作童話です。全27話。最後に「あとがき」も。 魔法を使わない魔法使いのレイじいさんと少年ピートくんの物語。 グリーングラス島の人たちと動物たちと共に、成長していくピートく…
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#連作

ぼくはピート、そしてレイじいさん 第3話

第3話 「パシノン草のこと」 パシノン草は、 夜に咲く。 日暮れ頃から、 小さなつぼみが 顔を出し、 月が光る頃に、 ひとひら、 ひとひら、 花びらを開く。 夜に咲く 雲の花だ。 僕たちは、 さっそく、 パシノン草を 探しに行く。 昼間に、 大きな雲が出たら、 パシノン草が咲く 合図なのだ。 「いいかい。 ピートくん。 パシノン草に、 気付かれたら、おしまいだ。 パシノン草は、 人知れず咲く花だからね。 気を消さなければ 見ることができないぞ」 レイじいさんの言

ぼくはピート、そしてレイじいさん 第7話

第7話 「実りのパレードと青空マーケット」 実りのパレードには、 みんな、 とびきり背の高い竹馬に乗って参加する。 なぜなら、 雲の上の青空マーケットに 顔が出せないからね。 青空マーケットには、 大きな雲に乗った人たちが たくさん やってくる。 あちこちから 珍しい食べ物や 手作りの家具とか 鞄とか帽子を持ってくるんだ。 そして、 僕たちの 持っているものと交換する。 僕とレイじいさんは、 竹で、でっかいピーターを作った。 ピーターは、 竹でできた大きな人形。