リリスク推し曲語り #1~BEKIND REWINDより~

こちらの記事、多くのヘッズ(ファン)の皆さんにも読んでいただいたようで。

risanoさんやキムさんにも反応もらって、minanさんには引用もしていただくなどして、嬉しいヘッズデビューでした。

それからふた月。ものの見事に熱が続いています。地方住みですしこんな時勢なので現場はまだですが、曲を聴いたり動画を見返したりはすっかり一日の流れに定着してきました。

当然、曲も掘りまくる訳で(最新アルバムは買いましたし、Apple Musicで広く聴けました)

歌詞を題材(歌われている内容、ストーリー)と語り口(言葉のセレクトや配置の仕方)で分けて考えたとして。僕にとって日本語ラップの場合は、題材がどうであれ(ライミングの面白さがあるので)語り口は一定以上にポイントたまるんですよ。
RHYMESTERやAfro Parkerの場合は題材も好みなことが多いのですが、リリスクの場合、少なくとも現時点では、題材での刺さり方は少なめです。
けどライミングやサンプリング(既存の歌詞やモチーフの引用)はすごく面白いですし。メンバーのキャラクターに沿った作詞になっているのなら、メンバーを知っていくほど詞への愛着も募りそうです。

前記事ではこんな書き方をしていましたが、まあ、順当に曲自体も刺さってきています。

という訳で今回は、いま特に好きな曲たちについて紹介です……といってもだいぶ多いので、まずは最新アルバム「BE KIND REWIND」から。もちろん全部好きなんですけど、特に刺さったものを。

Over Dubbing 


冒頭のスキットに続き、曲では最初ですね。出だしのビートとverseの入りを聴いた瞬間に「これ!!」となりました。
TRAP系も好きなんですけど。HIP HOPで好きなの、やはりこういうブレイクビーツっぽい音で。余白は多いんだけどパーカスとかサンプリングがめっちゃ効いてる、みたいな。流石はALI-KCKさんです。

そして5人が次々とverseを蹴っていく、高速のマイクリレー。リリスクの格好いいラップが詰まってますし、ここまで細かい掛け合いが楽しめるラップ曲もそうないのでは。

そう、5人とも圧倒的に格好いい。バキバキ感が最高だし、たまに伸ばしたりする所もバッチリで。前記事では5人の声のキャラ立ちに触れつつ、例えばhinakoさんについては

声にしろ表情にしろ、ラップしながらも「照れ」が残っていることが多そうで。

とか書いてましたけど、甘いぞ僕、hinakoさん超クールで格好いいぞ!! それでいてあの爆レスだぞ!!

ラップ好き、それもオールドスクール寄りの速いラップやマイク回しが好きって人には、まずこれを聴かせれば間違いないと思います。RHYMESTERだと「Back&Forth」がイチオシって人間にはクリティカル……ちなみにこれもプロデュースはALIさんです。Romancrewも好きですし、最近は非常にALIさん案件が多い……

アルバムのテーマに映画が関わっていることもあって、映画人の引用もお洒落ですよね。1番の「トゥルー・ロマンス」はタイトル聞いただけだと純愛かラブコメっぽいですが、

硝煙だらけで危険な香りがプンプンです。

2番のエドガー・ライト前後の流れはこれかな、前から予告で観て惹かれていた映画です。

そしてアルバムタイトルの元ネタを邦題「僕らのミライへ逆回転」で引用。この映画で出てくる素人の名作再現、「LAST DANCE」のMVとも通じてそうですよね。

LOVE TOGETHER RAP

https://music.apple.com/jp/album/love-together-rap/1491423241?i=1491423546

みんな大好きNONA REEVESの名曲のアレンジです。西寺さんといえば、アトロクリスナーにとっては洋楽スーパースター特集でもおなじみですね。

まずはなんと言っても、原曲の踊れるパーティー感が最高なんですけども。そこにスクラッチみたいなHIP HOPっぽい音が散りばめられて(アレンジのSUIさんは「RUN and RUN」も関わっていたそうで)、5人それぞれの魅力が詰まったVerse回しもあって。よく聞くと裏でガヤが入っているのも楽しいですね。パート入っていない人がライブでどう動いているのかとかも想像ふくらみます。

himeさんのバキバキした格好よさは安定ですし、「down with us/感じちゃう/始まる」という踏み方もお洒落。
hinakoさんはやはり、誘いかける歌詞がお見事。2番での「大好き」も、聴いているだけで爆レスが浮かぶキュートさですし。
minanさんは響きの深さが良きですし、サビ前のボーカルもグッと来ます。「明日には幻だよ」と「さめたらまた見るよ次の夢を」みたいに、パーティーの儚さを認識しつつも前向き……という感情もminanさんらしいような。
yuuさんは2番verseが非常に好きです、「たまにパーツが欠けても/新たなカタチの前兆だよきっと」という歌詞も、その言い方も。前曲の「ドゥワチャライク」とも通じるエールに思えますし。
risanoさんはサビのソロとかで見せ場が多いですし、格好いいverseの中で突然ルー大柴さんがアピアーしてくるのもファニーで好きです。risanoさんなので妙に合ってしまう……

NONA REEVES、サ上さん、ZEN-LAさん、SUIさん、そしてリリスクという、年代も業種も越えた交流も楽しい曲でした。

YOUNG LOVE


過去形の青春グラフィック、ノスタルジックなジュブナイル。ときめきと寂しさが同居するようなムードが好きな身としては好みど真ん中でした。

断片的で走馬灯みたいなHookと、情景も感情も鮮明に浮かぶVerse。そして韻も非常にタイトなキムさんリリック。そこに絡む各人のカラーとスキル。ラップ映えする、しかしギュッと詰まっていて相当に難しい言葉選びが多かったと思います。それを見事にラップしていて、師弟間の熱いスパーリングを見ているような気分にもなりました。

まず耳に残ったのが1番のhinakoさんですね、「轍、俯瞰」みたいな固い響きと、「ナンセンス、ドローン」みたいな横文字、そして「ふわふわ浮かんで」という柔らかい響き……という風に、違うタッチの言葉を並べて景色を描きつつも、ガッチガチに韻を踏んでいるという。

続いて2番のrisanoさんの、「アジアの純真」から「津軽海峡冬景色」へのコンボ。徐々にトーンが上がっていくフロウも掴まれますし、一連のストーリーの「計画しただけで実行してない」という流れもビターですし。

日々をフィクションに喩えているフレーズも多くて好きです。「始まりの頃に貼った伏線もないがしろに」が特に刺さりました。年を取るにつれ、「ああなるはずだった」が増えていく、そんな苦さに寄り添ってくれているようで。
そして最後のHookの「なのにどうして、なのにどうして」の切実さが沁みる……

アイドルらしい「今、まっただ中の煌めき」な歌も好きですが、それがあるからこそ、こういうビターめな曲が響くように思います。

LAST DANCE

MVも可愛くて、かつ映画オマージュが満載なので是非に。映画好きほど刺さると思います(僕は元ネタが分からないシーンも多かった)

まずは曲調、コードもサウンドも大好き。ピアノとか弦がメインで柔らかい印象ありつつ、ダンスミュージックっぽい盛り上げの流れもあって。

ひと時の別れを描いている歌詞も大好きで。ライブともデートとも解釈できる曲ですけど、やはり僕はライブ曲……つまり、アーティストとファンの、ひと時の触れ合いを描いているという解釈を推したいです。
ずっと一緒にはいられない、出会うたびにその時間の終わりを意識してしまうような関係性だけれど。その瞬間だけはお互いが主役で、めいっぱいに楽しみきりたい……という感情が託されている、そんなHookの歌詞。
後半の掛け合い、「LaLa...last dance」のコーラス可愛いんですよね、最後に語尾を上げている人がいて(minanさんかな?)

Verseでも「いつか君に振るこの手を今夜、繋いでいたい」みたいな洗練されたフレーズあり、「ここにはいないドクとかマーティー」という直球のBTTFオマージュがあったり。
「no cap」が分からなかったんですが、「嘘じゃない、マジだぜ」というスラングだそうです。risano先生もそうですが、リリスク追ってるとカジュアルな英語表現が身につきます。

曲単体だけじゃなくて、アルバム中での流れも。全体を通してストーリー性のある並び……トラックがつながっていたりskitの演出が利いていたりするのですが。「YOUNG LOVE」があって、skitで「次が最後の曲です」というMCがあって、からの「LAST DANCE」という流れは特に好きです。その後にオフショット的な「パジャマパーティー」が来るのも良い。


……という訳で、ピックアップして4曲お届けしました。これ以外にもどんどん好きになっているので、また別の日に……とか言っている間に。

リリスク新曲がやってくる、ヤァ!ヤァ!ヤァ! な時期になってしまいました。次に書くとしたらこちらですね、就活と学業が落ち着いていたら、ですが……余裕持って推しを応援できる職場に行かねば……

お読みくださりありがとうございました。現場で音楽を味わえない日々が続きますので、自宅でゆっくり音楽に耳を傾けるきっかけになれたならと思います。




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