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「スクールカウンセリングに効果はある?」【現役SCが解説!】 

<はじめに>スクールカウンセリングとは

こんにちは、臨床心理士のいちかです。私は現在、公立の小中学校でスクールカウンセラーとして働いています。

しかし、スクールカウンセラーの仕事はまだまだ認知されておらず、保護者でも「スクールカウンセラーってどんな仕事をしているの?」と疑問に思っている方が多くいます。そこで、今回はスクールカウンセリングについてお話ししたいと思います。

スクールカウンセリングとは、学校で行われる心理的な支援のことで、生徒や教員、保護者などが様々な悩みや問題に対処できるように助けるサービスです。

スクールカウンセラーが全国で配置されている中でも不登校は増え続けている現状があり、スクールカウンセラーは効果があるのか?と疑問視されることも少なくありません。
しかし、スクールカウンセラーとして働く中で、明確な効果はあります。

これを知ることで、ご自身にお子様がいらっしゃる方は相談する目安になりますし、身近な人の子育て相談を受けたときも、一つの紹介先としてアドバイスすることができるようになります。

では、スクールカウンセリングにはどんな効果があるのでしょうか?
今回は、スクールカウンセリングの効果を具体的に紹介していきます。

スクールカウンセリングの効果とは

スクールカウンセリングの効果については、一般的によく言われる「ただ話を聞いてもらって心がスッキリする」だけではありません。具体的に話すとたくさん出てきてしまいますが、今回は主要な4つについて紹介します。以下の4つです。

悩みを聞くことで「治療」し、心の成長を促しメンタルを「開発」する
知能を見きわめ、学習支援をする
コミュニケーションスキルを高める
教員と児童生徒・保護者を「つなぐ」

これからこの4つについて詳しく述べていきます。

悩みを聞くことで「治療」し、心の成長を促しメンタルを「開発」する

まず、スクールカウンセリングは、生徒の心理的な健康を回復させる効果があります。学校は、勉強や友達関係、進路や将来など、多くのストレスを感じる場所です。そのため、生徒は不安や悲しみ、怒りや恐れなどのネガティブな感情を抱きやすくなります。


これらの感情は、放っておくと心の傷になり、学習や人間関係に影響を及ぼす可能性があります。スクールカウンセリングでは、生徒が自分の感情を認識し、表現し、コントロールする方法を学びます。


また、カウンセリングと聞くと、傷ついた心を癒すといった治療的なイメージがありますが、心の成長を促す「開発的な側面」もあります。自分の価値観や目標を見つけたり、自己肯定感や自信を高めたりすることもできます。これにより、生徒は心のバランスを保ち、ポジティブな気持ちで学校生活に取り組むことができるようになります。


知能を見きわめ、学習支援をする

次に、スクールカウンセリングは、生徒の学習能力を向上させる効果があります。心理的な問題は、集中力や記憶力、判断力などの認知機能にも影響を与えます。例えば、不安や恐れが強いと、注意力が散漫になったり、思考が固定化したりします。


また、悲しみや怒りが強いと、記憶力が低下したり、判断力が鈍ったりします。これらの状態では、効率的に勉強することは難しくなります。スクールカウンセリングでは、生徒が自分の感情を適切に管理することで、認知機能を回復させることができます。

さらに、学習方法や時間管理などのスキルも教えられます。これにより、生徒は学習へのモチベーションを高め、成績を向上させることができるようになります。

コミュニケーションスキルを高める

さらに、スクールカウンセリングは、生徒の人間関係を改善する効果があります。人間関係は、学校生活において重要な要素です。友達や先生と仲良くすることで、楽しさや安心感を得られます。


しかし、人間関係にもトラブルや葛藤が起こることがあります。例えば、いじめや孤立、対立や不信感などです。これらの問題は、生徒の心に深い傷を残すだけでなく、学習や進路にも悪影響を及ぼす可能性があります。


スクールカウンセリングでは、生徒が自分の感情や考え方を理解し、相手の立場や気持ちを尊重することを学びます。

また、コミュニケーションや協調性などのスキルも教えられます。これにより、生徒は人間関係の問題を解決し、良好な関係を築くことができるようになります。

さらに学習面においても、例えば小4までに他者を頼る力(援助要請スキル)があると学習が伸びやすくなるなど、学力にも関係してきます。


教員と児童生徒・保護者を「つなぐ」

一方で、別の角度から見ると、学校という組織の中で担任(教員)と児童生徒、担任と保護者を「つなぐ」役割もあります。


児童・生徒にとって担任は特別な存在でありますが、担任は多忙であったり、良き相談相手である一方、評価者であったりするため、コミュニケーションがうまくいかないこともあります。


また、学校で教師と子どものやりとりに誤解が生じ、子どもが過程で教員への不満を言えば保護者も心配になったりします。


このような時に、スクールカウンセラーは学校と家庭との間のつなぎ役となり、時には保護者の不安を傾聴し、時には生徒に起こった状況の翻訳者となり、コミュニケーションを円滑にします。

以上のように、スクールカウンセリングには多くの効果があります。しかし、スクールカウンセリングは万能ではありません。スクールカウンセリングは、生徒の自己治癒力をサポートするものであり、生徒自身が積極的に参加しなければ効果は得られません。

また、スクールカウンセリングは、学校内での問題に限定されることもあります。家庭や社会などの外的要因によって生徒の心理状態が影響を受ける場合もあります。

そのため、スクールカウンセリングだけでは対応できない場合もあります。そのような場合、専門的な治療や支援を受ける必要があるかもしれません。

スクールカウンセリングは、学校で行われる心理的な支援の一つです。スクールカウンセリングには、生徒の心理的な健康や学習能力や人間関係を改善する効果があります。しかし、スクールカウンセリングにも限界があります。

スクールカウンセリングは、生徒自身の意思や努力によって成り立つものであり、学校外での問題には対応できない場合もあります。そのため、スクールカウンセリングを受ける際には、自分の状況や目的を明確にし、適切なサービスを選択することが大切です。


まとめ

今回は、スクールカウンセリングの効果を具体的に紹介しました。

要約すると以下の4つになります。


悩みを聞くことで「治療」し、心の成長を促しメンタルを「開発」する
知能を見きわめ、学習支援をする
人間関係のスキルを高める
教員と児童生徒・保護者を「つなぐ」

これらを知ることで、ご自身にお子様がいらっしゃる方は相談する目安になります。

また、身近な人の子育て相談を受けたときも、一つの紹介先としてアドバイスすることができるようになります。
なんと言っても無料ですので、ぜひご活用ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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