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看護師が学ぶべき心理学とは?【医療系大学の心理学教員が公開】

<はじめに>看護師はなぜ心理学を学びたいと思うのか?

こんにちは。臨床心理士のいちかです。私は、カウンセラーとは別に、医療系の大学で「心理学」の講師もしております。

ただし、私の心理学の授業はよく大学で行われる教科書的な心理学の内容とは一味違います。これは、後程説明いたします。

ここ数年、私もコロナにかかったということもありますが、コロナ禍でも献身的に人々をケアしてくださった医療従事者の皆さまには心より感謝しています。
そんな皆様に自分も何か返せるものはないかと探しているところです。

看護師の皆さんは、患者さんの身体的なケアだけでなく、精神的なサポートも行っていますよね。患者さんの不安や苦しみを聞いたり、励ましたり、寄り添ったりすることは、看護師さんの大切な仕事の一つです。

また、近年増えている高齢者や発達障がいへの理解を深めてきめ細かい対応をしていくことも求められます。

しかし、そのような仕事をする中で、看護師自身もストレスを感じたり、心が疲れたりすることがあると思います。患者さんの気持ちに共感しすぎてしまったり、自分の感情をうまくコントロールできなかったりすることが原因かもしれません。

そんな時には、学校で学んだ理論的な心理学は実務には役に立ちません。
「実践的な心理学」の知識が役に立ちます。心理学では、人間の心の働きや感情のメカニズムについて学ぶことができます。自分や他人の心を理解することで、コミュニケーションや対人関係のスキルを向上させることができます。

また、心理学では、ストレスやトラウマなどの心の問題に対処する方法や技術も学ぶことができます。自分の心をケアすることで、メンタルヘルスを保つことができます。
看護師は、心理学を学ぶことで、患者さんだけでなく、自分自身も幸せになることができると思います。心理学は、看護師さんにとって有用で魅力的な分野です。

そこで今回は、看護師としてどのような心理学を学べば現場に生かせるのか、具体的にご紹介いたします。

医療従事者が選んだ現場で役立つ心理学とは

私は現場で医療従事者の方々に心理学を教えて5年目になりますが、私の心理学の授業はその学校の全授業の中で「4年連続生徒評価NO1」をいただいております。おそらく来年度も生徒評価はNO1になるでしょう。

なぜ私が自信を持ってそう言えるかというと、答えはとてもシンプルです。
私はこの授業を担当した1年目の初回の授業にて生徒全員にヒアリングし、心理学の中で生徒が学びたいテーマを聞き取ったうえで授業を組んだからです。

生徒の皆さんが「知りたい!」「できるようになりたい!」というテーマで授業し、生徒のニーズに応えるのですから当然と言えば当然です。
これこそが、私オリジナルの「実践的な心理学」のカリキュラムです。

つまりこれから紹介する「実践的な心理学」の各授業は、裏返せば現場で知っておくと役に立つ内容になります。その代表的なカテゴリーは以下の3つです。

・発達心理学
・親子関係
・モチベーション

それぞれについて、ここから詳しく解説していきます。

発達心理学

看護師が発達心理学を学ぶことは現場でも役に立ちます。
なぜなら、患者への理解や対応が深まり、気持ちの良いコミュニケーションが取れるようになるからです。

特に、病院は乳幼児や児童期、高齢者の方と接することが多く、対応に苦慮することが多いため、この時期の理解ができることは必須でしょう。

例えば、落ち着きがなく待合室を走り回ったり、大声出す子をどのように理解し対処したらよいか、高齢者の方で希望が持てず、ヤケになってしまい、コミュニケーションが取りにくいことをどのように理解し、対応したらよいかなどについて発達心理学の知識が役に立ちます。
このように発達心理学を学ぶことは医療現場で働くのに役立ちます。

親子関係

また、病院は親子で通院する場合も多いため、子どもだけでなく親子関係についての理解があると役に立ちます。

なぜなら、親子の微妙なパワーバランスや関わり方を理解しアプローチすることができればスムーズに治療が進む場合も多いからです。

実際、授業をしていると、生徒(看護師側)から「子どもへの対応は接しやすく、言葉遣いもなんとなくイメージがつくけど、親はどう対応したらよいかわからない」と相談される場合やその逆の悩みを持つ人もいます。

そのため、看護師側の年齢や個性によりますが、親子それぞれの立場に立ちにくかったりすることもあり親子関係について身につくと現場で役に立ちます。

モチベーション

一方、病院は治療や検査を行うことが多い場面であるため、これらに対するモチベーションをどう保つかということも大切です。

なぜなら、特に子どもや高齢者の中には検査や治療に拒否的な場合も多く、この状態に対応する看護師が苦慮するからです。

例えば、子どもの視力が落ち、検査が必要なとき、「何するの?怖いからいやだ。」と不安になって検査をやりたがらないとき、モチベーションを高めてあげる必要性がうまれます。

この時に看護師がどのような検査をしたり、その後どのようになるのか説明して見通しを持たせることで不安を解消させることができるという知識があれば、子どもが検査を受けるようになります。

これはほんの一例ですが、看護師はモチベーションをどのように高めたり維持できるかについて知っておくと現場で役に立ちます。

そのほか医療従事者からは「職場のコミュニケーション」「カウンセリング」についての関心やニーズが高いです。

ある転職サイトのアンケートによると看護師をやめてしまう理由の2位が「上司(医師や看護師長)との人間関係」だそうです。

病院では医師と看護師を始め上下関係が明確にある場合も多く、パワハラで苦しんでいる人も多いです。そのため、ハラスメントする側の理解や対処方法も大変人気です。

また、患者と接するうえで話の聴き方、声のかけ方を学べるカウンセリングも医療従事者から人気の心理学領域となっています。

<まとめ>看護師が学ぶべき心理学とは

今回は、看護師としてどのような心理学を学べば現場に生かせるのか、具体的にご紹介いたしました。

まとめると以下のようになります。

〇発達心理学
〇親子関係の心理学
〇モチベーションの心理学
〇その他、パワハラの対処やカウンセリングの心理学

これらの心理学を学ぶことで、自分や他人の心を理解し、コミュニケーションや対人関係のスキルを向上させることができます。


最後までお読みいただきありがとうございました。

※今回の内容については、看護師を始め医療従事者の方々にぜひ知っていた 
 だきたいと思っています。
 今後ブログでより詳しくお伝えしたり、オンライン講義として皆様にお伝 
 えしたいと考えております。
 詳細が決まりましたら、この記事に追記しアナウンスしたいと思います。


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