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ストーカー被害はでっち上げ?:イーロンのチームメンバーは「被害者ではなく容疑者」【記事翻訳】

『現地警察がイーロン・マスクが主張する疑惑のストーカー事件に関する最初の公式情報を発表』

警察は、イーロンのセキュリティチームのメンバーは、『被害者ではなく現在捜査対象の容疑者』であると述べている。

(ガーディアン紙、12月20日、ライター: ロイス・ベケット)

ツイッターのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、先週火曜日の夜、ロサンゼルスで自分の子供を乗せた車を、「狂ったストーカー」が「私だと思って」追跡し、車の動きを妨害し、ボンネットによじ登ったとツイートしていた。

地元警察からの新しい声明は、事件中に何が起こったのかについての最初の公式説明となる。サウスパサデナ警察署は、火曜日の夜に2台の車両が関与する事件が警察に報告されていることを確認したが、マスクのセキュリティチームのメンバーは現在、『被害者ではなく捜査の容疑者』であると述べた。

このコネチカット州出身の29歳の男性は火曜日、サウスパサデナ警察に、別の車の運転手が駐車場で彼に立ちはだかり、高速道路110号線で彼の後を追ってきたと言いがかりをつけ、駐車場を去る際に車をぶつけて行ったと主張している。

先週の木曜日には、「サウスパサデナ警察は、この事件に関与した容疑者がイーロン・マスクのセキュリティチームのメンバーであると思われることを確認した」との声明が同局から出されていた。

サウスパサデナ市の広報担当者は、警察は現在、マスクのチームに連絡を取り、事件に関わった双方を調査するために関係者全員から証言を入手しようとしていると述べた。 警察によると、今は事件のビデオ映像を確認しているとのこと。

イーロンのツイート。「リアルタイムの位置情報を投稿するアカウントは、(居場所を特定された人物の)物理的な安全を害するため凍結する」と投降した後に、その理由として子供の車がストーカーに追跡されたことを上げていた。
更に続けて投稿された動画、車を運転していたイーロンのセキュリティチームのメンバーが撮影した『ストーカー』を映したと思われるものだが……これを撮影した人物も「容疑者」として警察の捜査対象となっている。

ツイッターとテスラの広報担当者は、コメントの要請にすぐには応じていない。

(マスクのツイートで言及されている)「Lil X」とは、2020年に生まれた、ミュージシャンであるグライムスとマスクの子供を指していると思われる。「X Æ A-12」または「X Æ A-Xii」と名付けられている。

ワシントン・ポストは日曜日に、この事件のストーカー容疑者を特定したと報じていた。この男性は自身がビデオに映った人物であることをポストに証言し、サウスパサデナ警察にも何が起こったのかを証言している。

https://www.washingtonpost.com/technology/2022/12/18/details-of-musk-stalking-incident/

男性は、自分はUberEatsの配達ドライバーであると述べ、いくつかの奇妙で裏付けのない主張をしていた。 例えば、[子供の母親であるグライムス] がInstagramの投稿を通じて彼に暗号化したメッセージを送っている、マスクが彼のリアルタイムの位置を監視している、マスクはUber Eatsをコントロールして、彼が配達注文を受け取らないようにしている、などの主張だ。

グライムス、本名クレア・ブーシェは、口論が起きたガソリンスタンドの近くに住んでいるとポスト紙は報じている。 ガーディアンは、ワシントン・ポストの記事で名前が挙げられている男性からはコメントを得ることはできなかった。

サウスパサデナで警察に通報した男性の名前は、「調査が進行中」であるため公表されていないと市の広報担当者は述べた。

警察署のプレスリリースによると、12月13日の午後9 時51分、サウスパサデナ警察は、ミッション通りで起こった車両が関与した『致命的な武器』による暴行の通報に対応した。

コネチカット州出身の29歳男性は警察に対し、つい先ほど高速道路110号線を出て、駐車場で携帯電話を使用するために車を停めたと話した。そしてその間に別の車が彼の前に停車し、彼の進路を塞ぎ、その運転手が彼に近づき、「高速道路で自分の後をつけていただろう」と言ってきたと。

警察によると、この通報者と彼に迫った運転手は、お互いの論争をビデオに撮ったという。 そしてこの容疑者は駐車場から出る際に、「自分の車を通報者にぶつけてきた」と。

警官が現場に到着したときには、容疑者はすでにその場に居なかったとのこと。 コネチカット州出身の男性は、「容疑者が誰かは知らず、口論が偶然ではないことを示したりはしなかった」と警察は述べている。

マスクは自分の子供がその車に乗っており、その後を「ストーカー」が追ってきたとツイートしていた。 当局は、マスクはその場には居らず、彼の家族の誰かがその場に居たかどうかもまだ明らかになっていないと述べた。

先週ツイッターで多数の抜本的なポリシー変更を行った正当な理由として、マスクはこの子供と「ストーカー」との接触を挙げていた。

彼が行ったポリシー変更とは、アカウントがリアルタイムの位置情報を共有することを禁じるために行った、自身のプライベートジェットに関する一般公開情報を投稿していたアカウントの削除や、彼の行動を報道した米国の著名ジャーナリスト数名のアカウントの一時停止などである。

マスク氏はその後、ツイッターのユーザーに対する複数の公開アンケートの後に一部のジャーナリストのアカウント停止を取り消した。アンケートの結果は、ジャーナリストを復活させるべきと言うものだった。

ロサンゼルス警察は先週の金曜日、ストーカーに関するマスクのツイートを認識しており、「彼の代理人とセキュリティチームと連絡を取り合っている」が、「犯罪報告はまだ提出されていない」と述べていた。

ロサンゼルス郡保安官局は先週、この事件について何の報告も受けていないと述べていた。

(このレポートにはジョアナ・ブイヤンが 貢献している。)

【記事翻訳以上】



以下に情報をまとめます。

イーロンの主張:
・ストーカーが(自分が乗っていると思って)子供の乗っている車を追跡してきた
・これはツイッターで公開されているような位置情報を基に行われた非常に危険な行為だ
・だからツイッターでは(プライベートジェットの移動・発着など)個人の位置情報を投稿するようなアカウントは禁止する

ストーカー容疑者の主張:
・[子供の母親であるグライムス] は、Instagramの投稿を通じて自分に暗号化されたメッセージを送ってきている
・マスクは自分のリアルタイムの位置を監視している
・マスクはUber Eatsをコントロールして、自分の受注を妨害している

イーロンの子供が乗っていたとされている車を運転し、被害を警察に通報したコネチカット州出身29歳男性(イーロンのセキュリティチームメンバー)の主張:
・高速道路110号線を出て、駐車場で携帯電話を使用するために車を停めた
・すると別の車が目の前に停車し、進路を塞いだ
・その運転手が近づいてきて、「高速道路で自分の後をつけていただろう」と言ってきた
・ その運転手は駐車場から出る際に、こちらの車をぶつけてきた

警察の発表:
・マスクのセキュリティチームのメンバー(↑)は現在、『被害者ではなく容疑者』として捜査されている
・イーロンの子供が実際に車に乗っていたかは不明
(警察が付いた時にはいなかった?)
・双方の関係者全員から事情聴収中
・動画なども検証中

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イーロンが「危険だ」として禁止したのは、Flightrader24などの『一般に公開されている情報』を基にした投稿なので、イーロンの主張のこの部分にも議論の余地があります。

そしてイーロンはこれらの一般公開情報から位置情報を投稿したジャーナリストだけでなく、この件で既に凍結されたアカウントとこのウェブサイト(↑)について言及しただけのジャーナリスト(過去にイーロンを批判的に描いたことがある)まで凍結し、おまけにこの『ストーカー』事件についてコメントを求めただけのジャーナリスト(ワシントンポスト紙、テイラー・ロレンツ氏)まで凍結しました。

この事件について詳しく聞かれることを、快く思っていないのは明らかに見えます。

ロレンツ氏に関してはその後、ツイッターアンケートの結果を受けて解凍したが、再度凍結し、「(特定の)ツイートを消さなければ解凍しない」と削除を要求し、取り下げて再々度解凍した模様……。

(現在ロレンツ氏のツイッターアカウントは鍵アカに……イーロンの信望者たちからの嫌がらせが多いのかなと予測)

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事件はまだ調査中ですが、イーロンの主張する通りの状態ではなかったことは確かなようです。

もしこの「ストーカー」事件が完全な嘘だった場合、イーロンはこれを、自分を批判的に書いたジャーナリストの発言を弾圧するために捏造したことになります。

詳細はまたの機会にしますが、イーロンは過去にも、自分に対して批判的な発言をする人物を糾弾するために、情報を誇張した言いがかりをでっち上げています。

(関連記事をまとめたスレッド↓↓↓)

(この方はイーロンに否定的な投稿を連発していますが、結構な額をツイッターやテスラに投資しているので凍結されていないのだろうなと……)

私は既にツイッターを見るだけの運用に切り替えましたが、彼のビジネスの成功だけを基にイーロンを信頼している人は、もう少し注意した方がいいかもしれません。

イーロンがツイッターで何をしているかに言及した、こちらの記事も参考にどうぞ↓↓↓

それでは、また次回。

翻訳者/著者、瀬道

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