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(映画感想) ベイビーブローカー

先日、Twitterで是枝監督の新作、ベイビーブローカーの試写会抽選会があり、何の気なく応募したら当たってしまってビックリ!
こんなこと初めてで、ありがたしーとその日は勝手にノー残業デーを決め込み、試写会に行ってきた。

こんなありがたい機会は滅多にないので、お礼とともに感想を書きたいと思います!

この映画のテーマは、赤ちゃんポスト。
産んだけど、育てられないお母さんがそっと病院のポストに赤ちゃんを預けて育ててもらう仕組みだ。

日本には熊本の慈恵病院が有名で、他に北海道にあり、全部で2箇所。
試写会のアフタートークで聞いたところ(なので少し記憶が曖昧)、
この映画の舞台の韓国は7ヶ所程度あるそうだ。
日本ではこの10年で250名程度が預けられ、韓国では1500人程度。日本は病院がやっていて、韓国ではキリスト教などの宗教団体がやっているそうだ。

日本では最近、内密出産という母が匿名で出産し、預けるということもしている病院ができたそうだ。

この赤ちゃんポスト、賛否両論だとは思うけど、嬰児殺し、墜落分娩、といった最悪の事態を避けるためのセーフティネットとも言えて、どちらの国も赤ちゃんを安全に預ける、社会の一車輪だと思う。

本当はちゃんと育てられない親のために子供を預ける、里親や特別養子縁組という制度があって、その仕組みを使ってちゃんと預けたら良いじゃないか、とも思うけど、まだまだ認知されていないし、そうすることに偏見をまた人もいるのが現実だ。

里親、特別養子縁組を描いた映画や小説のコンテンツまとめはこちら↓参照。

映画の内容はたくさん示唆に富む内容だったけど、是枝監督の他の作品、万引き家族、そして父になる、にも共通してるのは、

家族ってなんなんだ?

家族になるのに血のつながりは全く関係なく、
心の交流と愛情が有れば、それは家族と呼ぶのじゃないのか?

というメッセージだと思う。

それは常々、そう思っていることだ。

血のつながりのない子供を愛せるのか?
と言う人もいるけど、
妻や夫は血が繋がってないけど家族ですよね?
と思ってしまう。

今回のベイビーブローカーも、赤ちゃんポストに入れられた子供をめぐって、2人の男性と産みの母が旅をする話だ。そこで、もう1人の施設育ちの小学生も一緒に旅をすることになり、段々と家族のようなカタチになっていく。お互い血の繋がった家族とは心のつながりができなかった人同士が、血のつながらない人達と家族になっていく過程が映画で描かれていく。

赤ちゃんを産んだ若い女性が、赤ちゃんポストに入れたことを責められた時、産まずにお腹の中にいるこは殺してよくて、産んで棄てるのはなんでこんなに責められないといけないんだ、というようなセリフで取り乱すシーンがあり、何がよくて、何がダメかなんて当事者じゃない他人がジャッジするものではないなと、本人しかその苦悩はわからないし、中絶、赤ちゃんポスト、里親、養子、施設と社会のセーフティネットがあるのだから、赤ちゃんにとっても産んだ人にとってもベストな選択肢が選べたら良くて、誰か他人が価値観を押し付けるものではないと感じた。

映画の内容に細かく触れなかったけど、私は是枝監督の映画にいつも救われるし、家族とは、と考える時に、もっと広い概念であってほしいと思う。