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【霞ヶ関の人の生態⑰】霞が関の人キャラ濃い問題

「官僚」ってどんなイメージですか?
私がこの業界に入る前に想像していたのは、冴えない猫背の7-3分けの髪型の眼鏡をかけた生気のないオジサンでした。ザ・没個性。国会の時に後ろで無表情に座ってるところから感じたのかなあ。事なかれ主義の保守的、現状維持こそすべて、みたいなイメージでした。

ドラマでは、よく赤坂あたりの料亭で政治家と密談して
「先生よろしくお願いします」
「おぬしも悪よのう…」
「フォッ、フォッ、フォッ…」
といった感じで官僚が出てきますよね~

ドラマといえば、「半沢直樹」で出てくる片岡愛之助さん演じる金融庁官僚の黒崎駿一はお姉キャラが濃かったですね。

ほかに官僚が出てくるドラマとしては、
チームバチスタシリーズ「ジェネラルルージュの凱旋」白鳥圭輔
厚生労働省大臣官房秘書課付技官・医療過誤死関連中立的第三者機関設置推進準備室室長。
→これは実在しない役職名ですね。

「アンナチュラル」 
松岡豊さん演じるUDIラボ所長
元厚生労働省医政局職員で、東日本大震災の身元不明遺体調査を機にUDIラボへの転属
→厚生労働省医政局は実在してますね~。死因究明も死因究明等推進基本法という法律ができたので、架空のラボですけど、かなりリアルな設定ですね。

「シンゴジラ」は、官僚ドラマですね。これはとってもリアルな官僚ドラマだと思っていて、以前ブログにも書きました。


他には、見たことはないけれど、「官僚たちの夏」とか、最近だと「新聞記者」などですかね~。
まあ…総じて官僚が出てくるドラマは、結構好感度低めの脇役が多いですね。

話が脱線してしまいましたが、リアル官僚はドラマよりもキャラ濃いと思います!

私が入省した時に、最初に思ったのは、
「めっちゃ早口!!」
「(しょぼくれたオジサンかと思ったら)めっちゃ頭キレキレやん!」

でした。

ある局を横断する話し合いで、幹部の人もたくさん集まる会議だったんですけど、専門でもないITの話を話していて、ふつーだと
「よくわからんわ~」で終わると思うのですが、
IT業界の人ですか?ってくらいよく知ってるんですよ…
後になって情報がどんどん集まってくるし、勉強しないとついていけないから、結構みんなひたすら強欲にインプットしながら、同時にアウトプットしていってるんだなあ~とわかってきましたが、ホントみんな知識欲がスゴイ高いです。
知らないことは面白い、という性質の人が多くて、新しいことをする時はワクワクする、私が思っていた保守的公務員像とは真逆です。外見は想像していた通りなんですけどね。。。

総じて、頭がよくて、ロジカルで、早口、そして結構思いがアツい。
好奇心が強い分、変化を好み、刺激中毒。
知らない話だと、オジサンがキラキラした子供のような瞳で聞いてくる。
たまに、ちんたら話をするとイライラされちゃうんですけどね…

入省当時、ある幹部に説明しないといけないことがあり、いつも全部説明する前に
「え、これはどういうこと?どういう意味?」
と話を遮られ、うまく説明しきれないことが続いていました。

そしたら、課長から
「熊かライオンを倒すと思って、5秒で仕留めるんだ!吹き矢で倒すみたいにね!」
とアドバイスされました。

どういうこっちゃ?と思いましたが、とりあえず簡潔に言うんだな!と思って
「はい!そうです。」
「いいえ!違います。」
みたいに、脊髄反射みたいに返答していたら
「いちかさんも役人らしくなってきたなあ。」
と褒められ(?)、めでたく霞が関の人として生き残る話し方をマスターしたのでした(!?)
まあ、みんな忙しいので、長々と話を聞いてはくれず、それから上司に相談や報告するときには、簡潔に、ロジカルに、ということを心がけるようにしています。

そういう新しいこと大好き役人たちですが、役人という言葉の妙で、オフィシャルな会議とか国会では、黒子になりきるんですよね。無個性の化身のように、原稿を読み、保守的に答えます。守秘義務もあるから、なかなか尖ったこと言えない立場なんだと今だとわかりますけどね。
まあ、そういうのが「何も答えてない!」と怒りを買うのだと思うんですけど、組織の末端の人が言えることは限られちゃうし、言えないことが多すぎて我慢するから無表情になっちゃうんですよ…そのへんは板挟みの苦しいところです。

その替わり、中では個性まるだしです。
そして百戦錬磨の上の人になるほど、個性が強烈です。

それこそ、お姉言葉の人もいるし、
なんか新しい仕事ができると「きゃ~楽しい💛」って言って喜んでいる人もいます。(その知的好奇心がどんどん部下の仕事を増やすこともあるんですけどね…)

物知りすぎて、
「いちかさんはどこ出身?」と聞いてきて、そのあとずっとその地名の歴史を縄文時代から語ってくれる課長もいました。。

長く霞が関にいるオジサンは、生き字引のように戦後からの制度の歴史を語ってくれたり、地下鉄サリン事件の話をしてくれたりと、話していてとっても面白いです。
自衛隊から出向してきたオジサンは爆弾処理の方法を教えてくれたりしました。

他省庁の偉い人でしょっちゅう電話をかけてきて「な~るほどですね~~~」といって切るので、その人からの電話は「〇○さん、なるほど君から電話です~」と言われていました。

市民からの電話問い合わせが2時間以上続いていた時に
「ちょっと、トイレ行ってきていいですか?ホント、トイレです。5分で帰ってきますから!ホントですって!」と話していて、トイレから帰ってきたら切られていた、というエピソードがあったりと、色々と個性豊かな人たちです。

霞ヶ関の人、何万人。役所によってもだいぶキャラが違うと言われます。よく言われるのは、経産省は肉食系、たしかにガツガツしています。環境省は草食系、穏やか系が多いです。農林水産省の人も方言強めの人が多くて、温和なイメージです。厚生労働省は、経産省の人が「草食系と見せかけて肉食ですよね」と言っていました。う~ん確かにそうかな、見た目は地味だけど、打たれ強いというか、メンタルは鍛えられている気がします。

どの会社でもそうだと思いますが、個性が活かせる職場だといいですよね。
霞が関の人も個性が活かせる職場であり続けてほしいと思います。