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2022/10/08 読むことについての手紙

「私はあなたに書くでしょう。あなたはここにいず、自分の血を飲むこともできず、川の上流の透明な水に、静かに足を通すこともできないのですから。思考とは抑制によって生まれ得ると信じられていますが、抑制の解放によってのみ、先へ進むのです。文字は抑制の凝縮とも言うべきものです。だから、打ち込んで書くことはその凝縮を取捨することであり、信じることによってのみある言葉の神性が、音律を持って、絶えず移ろい、それを前への運動と捉えることもできますが、そもそも書かれたものは直線で進むのではなく、一文字目を書いた瞬間に未だ書かれていない最後の一文字目までの、論理では捉えることのできない透明なある柔らかさ、その強度を持ったかたまりは、方向を持ち、しかしそれはかたまりとしてであって、コップの水を宇宙と捉えるような、純粋な覚醒があります。その水を飲むことこそが、読むということなのです」

(未完)

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