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地政学入門

  『地』は山脈、『政』は宗教・・・それが地政学の基礎?

 地政学はナチスドイツがありがたがった学問で、そのため禁書とされたものだけど、やはり影響のある意味のある学問。
 ドイツ人は、地図を見て、その高低差も認識できるだけの教育を受けているそうな。つまり、地図を三次元で見れるとか。

 ユーラシア大陸を北のハートランドと言い、そこを支配できれば、全世界が支配できると言われている。南のハートランドはアフリカ大陸で、だから、両者をつなぐ中東はいつも不安定になるそうな。
 じゃあ、なぜユーラシア大陸の大部分を支配しているロシアが世界制覇できないのか。かつて南下政策を打ち立てていたものの、アメリカ同様山岳地帯ばかりのアフガニスタンで消耗し、かつ欧米からの経済制裁と人口減でそれどころではないらしい。
 また、地政学の基本は山脈にあるけど、ロシアにはほとんど山脈らしい山脈はない。その代わり、いわゆる緩衝地帯を置くことで間に合わせているそう。だから、南にモンゴル、チベットを置き、西にバルト三国やらポーランドやら、クリミアやらウクライナを配置して、山脈代わりにしているとか。

 筆者佐藤優は中国が何を考えているのかわからないと言う。
 西からイスラム国がいつ攻め入るかわからないのに、シーパワーを目指して海軍力を高めている。シーパワーを高めることで、親切な日本まで敵に回し、当然シーパワー世界一のアメリカをいよいよ逆なでしている。
 しかし、チャレンジャーは歴史的に見て、負けるものと見られている。
 かつて、シーパワーの日本が大陸に進行してランドパワーを目指してもろくも敗れ去ったように、ランドパワーの中国がシーパワーを目指すのは見当違いなのだ。
 もっとも、ロシアにちょっかいを出すと思いきりしっぺ返しを食らうけど、尖閣諸島問題など日本にちょっかいを出しても日本はへらへらと笑っているだけなので、手が出しやすいのもあるらしい。
 そもそも、妙な空母(カタパルト技術はアメリカとフランスの特許らしい)を作って、巨大な攻撃標的を用意している神経も理解できない。国威のためとはいえ、攻撃されて沈没しては逆効果だろう、と。

 地政学は、あまり動かないものが基礎になっているそうで、その伝で『政』は宗教に影響されると言う。
 世の中にはキリスト教、仏教、イスラム教が古よりある宗教で、その影響で民族(この定義も難しい)という固まりを形成している。
 じゃあ、なぜ多民族、基本的に宗教を持たない中国が中華民族としてまとまっているのか。
 この本はそれについては言及していないけれど、地学的に、北に不毛地帯、西に山岳=イスラム世界、東南に海と囲まれて・・・かつて北からはモンゴルによる征服を受けて潜在的な恐怖心もある。ロシアにちょっかいを出さないのはそれもある?
 別の著書やら何やらで言うところは、中国は被征服への潜在的な恐怖心から、漢字という文字を使うことで民族としてのまとまりを見出したらしい。もっと言えば、漢民族の主流とでも言うか、客家(はっか)語を話すことが民族の証であると。
 そういう伝で、日本人も漢字を使えるので、中華民族の一員であるらしい。チベット迫害も、漢語を強要することで漢民族化したい面もある。
 言葉も時間という物差しの長さから、宗教の一つに匹敵するのかも。
 なんとなく、ユダヤ教でまとまるユダヤ人に似ていなくもない。だからか、毛沢東が共産党と言う名(実は抗日民族統一戦線という民族主義)で中国統一⇒世界統一を図ったとき、ユダヤ人が協力したという話につながる。
 どちらもグローバリズムが根っこだから。
 今も黒幕として息づいているらしい。

 結局、中国って、恐怖による支配が可能な国なのでは。
 他民族に支配されるよりは、何千万人もの犠牲を強いた文化大革命、天安門事件があっても大きな反乱にならなかったのは、同じ漢民族に支配される方がいいから、と。それより、族間での闘争の方が激しいらしく、文化大革命の比ではないと何かにあった。国民が互いににらみ合っているのだから、共産党もやってられるのかも。
 西欧の植民地政策が、国民同士を反目させてまとまらせないようにする、それがもともと中国にはあるわけだ。

 なんか、やっぱり中国はフシギの国ですね。

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