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買い込んだ公演チケット

 今年も「さっぽろ落語まつり」が5月24日から26日まで開かれるというので、発売日早々に、5公演分のチケットを買い込んだ。それなのに病魔に襲われて入院を余儀なくされてしまった。
 どうなることやらとベッドの上でしきりに心配したが、手術後の経過がよく、何とか無事に退院できた。あとは体調を崩さぬよう、公演のその日を指折り数えて待つばかり、というわけだ。
 今年は桂文珍師匠がプロデュースするという。会場は道新ホールと札幌文化芸術劇場ヒタル。3日間に両会場で12スージの公演。1公演ほぼ5人ずつ出演するので、延べ60人の東西の芸人が得意の出し物で競い合う。
 初日の昼は午後1時の開演。 道新ホールは三遊亭萬橘、柳亭小痴楽、三遊亭兼好、桂宮治、林家たい平ら。ヒタルは桂文珍、桂南光、滝川鯉昇、立川志の輔ら。夜は午後5時半の開演で、メンバーが少し入れ替わって柳家花緑、三遊亭小遊三、春風亭一之輔らが登場する。
 どの芸人も素晴らしいが、筆者が好きなのは春風亭一之輔。 少し照れた感じがとてもいい。柳亭市場はその美声が売り物だが、今回のメンバーには残念ながら入っていない。もう一人、若いがずば抜けた芸風を持つのが柳亭小痴楽。前回の落語まつりで初めて見て、ぞっこん惚れ込んだ。 以後、札幌にきたら必ず見にいく、と決意したほどの有望株だ。
 それにしてもいい時代になったものだとしみじみ思う。まだ4、50代のころ、仕事で上京するたびに、時間を惜しむようにして新宿・末広亭やら浅草演芸ホールに出かけて、本物の噺家の話芸に時の経つのを忘れて聞き惚れた。
 何かの拍子で隣席の客から「どちらから」と訊ねられ、「北海道の札幌から」と答えて驚かれたことがある。いまも熱心な落語ファンが全国各地から押しかけるという「笑いの殿堂」だが、その後、どうなったか、懐かしく思い出される。
 今回の「さっぽろ落語まつり」も東西の人気落語家が勢ぞろいする。テレビ「笑点」でお馴染みのメンバーはもとより。嬉しいのは女流の落語家が二人も登場することだ。桂二葉と林家つる子。どんな芸風を見せてくれるのか。いまから早々と購入したチケットを握りしめ、首を長くして待っている。

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