2022/12/05(すずめの戸締りのネタバレを含む)

「あれ、こんなに冬って寒かったっけ?」と言いながら薄着で過ごして体調を崩すのを毎年繰り返している。そしてもう既に夏の暑さなんかはすっかり忘れてしまって、また来年の7月ごろに「あれ、こんなに夏って暑かったっけ?」と言っている事だろう。何も学ばずにただただその時を刹那的に生きている。気づけばこうやって一年が終わり、あっという間に20年がたち、そのうち寿命を迎えそうである。
ただ、温度感覚のストレージはカスでもずっと覚えている事や今に至るまで考え続けていることが少なからずある。例えば旅行先の沖縄で初めて飲んださんぴん茶(ジャスミン茶)の味だったり高校生の冬に聴いた中村佳穂の「きっとね!」の衝撃だったり、小学5年生の時に起きた大地震のことだったり。

日々暇だ暇だ言っている割には直近でもいくつかイベントなり(小)旅行なりに行っていた。10月の始めにはもはや恒例となったボカコレがあり、その後はこれまた恒例のライブおひとりさまで大喜利をしたし直後に熱海で温泉卵も食べた。11月になるとボーマスもあったしbetcover!!んoonのツーマンライブとかカクバリズム20周年のライブにも行き、ネットでしかつながりの無かった人と初めて話せたり好きなアーティストの生演奏を大音量で聴けたりとかなりいいインプットになったはず。最近あまりアウトプットが出来ていないので活かしていきたいな~と思いつつ(何でもかんでも創作の糧にしようとするのはあんまり健全じゃない)、寒かったり暑かったりの室内で惰眠や袋ラーメンを貪っている。寝ても寝ても寝足りないし食べても食べても食べ足りない。どうして??

ともあれ一人だとどうしても腰が重くて家に籠るだけなのでイベントやライブに一緒に行ってくれる人達のおかげで退屈しないで済んでいる。11月のボーマスなんかは特にいろんな人と話せて楽しかったし朝までとーずさんの家で騒いでいた。次の日の昼に起きてさすがに解散したけどもっとめちゃくちゃになりたくてみずみずナマズと特に理由もなく稲城市の辺りを北に向かって歩いていた。素敵な造りの団地を見つけたり偶然温泉施設を発見してお湯に浸かったりして、最後は極めつけに映画でも見に行こうという話になり公開したばかりの「すずめの戸締り」を見る為にまたすこし歩いた。

((以下ネタバレを含みます。ネタバレ無しで見た方が絶対面白いので見て!))

新海誠作品は「君の名は。」が流行ってたから初めて見て、「天気の子」は金曜ロードショーで偶然やってたから見ただけのにわかなのだが、それでも最新作の「すずめの戸締り」は明らかに一番好きだったし自分の中に強く響く作品であった。廃墟が好きとかロードムービーが好きなのはあるけど、やっぱり一番衝撃だったのは地震という身近且つ人智を超えた底知れない現象をテーマに、東日本大震災を真正面から描いていたことである。冒頭の地震が起きた後の街をすずめと草太が歩くシーンや東京上空を巨大なミミズが覆うシーンで「あ、これは現実世界の話なんだ!」と気づかされ、終盤の芹澤の車で北上していく(ドライブマイカーと同じだ!と思った。あれも良かったです。)シーンは夏に車でずっと北を目指していた自分と重なったようにさえ感じられた。
当然ファンタジーでありながらも所々で現実とリンクし、結局災害は人類が抗いきれるようなものでは無いがそれでも希望を見出すには愛の力がキー(戸締りだけに!)になるというインターステラーみたいなオチだけど、諦めが横たわりながらもそれでも!という落としどころが真摯で、今の時代性とも合致しているように感じた。

特典として配布されていた冊子の中で監督が「この映画を観ても震災を連想しない方が1/3から半分くらいはいるんじゃないでしょうか。だからこそ今のうちにこの映画を作らなければいけないという思いはありました。」と語っていて衝撃を受けたが、確かに自分も当時小学5年生でギリギリ覚えているくらいの世代だ。実際自分も当時はあまり実感が湧かずに「なんか大変なことになっている」くらいの認識でいたがテレビを見たり旅行に行ったりと折に触れて震災のことを知り少しずつ事の重大さというか、異質さを実感を持って感じられるようになってきた。
別に何かを得て活かさなきゃいけない訳じゃないしまして音楽でどうにかすることも無いけれども、それでもなるべく知って、覚えておかなきゃ、と思う。記録することは大切ですね。日記も然り。

あ、年末年始はいくつか告知があるのでチェケラお願いします!


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